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いつから始まったのか、いつになったら終わるのか
漠然とした気持ちのまま僕は屋敷の玄関から表へ出ようとしていた、その矢先だった
「御主人様!お待ちください、アッシュ御主人様!!」
少し遠くから僕の名前を呼ぶ声がする、振り返ると僕のメイドであるウィステリアがその長くて美しい黒髪を揺らしながら僕の鞄を持って走ってきている
「ウィステリア走らなくても大丈夫、僕はここにいるよ」
「あ、いえ・・・申し訳ございません、御主人様の大事な鞄をお忘れになっていたのでつい」
息を切らして駆け寄ったウィステリアを少し嗜めるように僕は言う
実の所僕が鞄を忘れたのはわざとだ、わざと忘れればこうやってウィステリアが気づいて持って来てくれるとわかっていたから
「でもありがとうウィステリア」
僕は鞄を受け取ると優しくウィステリアの頭を撫でる、すると予想通りに彼女は恥ずかしそうに俯くと顔を逸らした。そしてただ小さく「アッシュ御主人様」とだけ呟く
それが僕にとっては愛おしくて堪らなかった
「ウィステリアっ」
気持ちは直ぐに行動となって動いた。僕は鞄を手放すとその愛しい彼女の身体をぐっと引き寄せ抱きしめる
「え、あっ・・・御主人様っ!」
ウィステリアは抵抗するように身を捩ったがそれは演技だ、強く抱きしめるとすぐにその抵抗はなくなり僕に身を預けるように身体を寄せる
「ダメです、いけませんこんなところで御主人様」
僕はウィステリアの言葉を無視して彼女の背中から腰に掛けてゆっくり味合うように弄る。ウィステリアは僕の攻めに小さく身体を震わせ耐えている、それが僕の中でぐっと熱く、愛おしくなっていくのを感じる
「二人っきりの時はアッシュって呼ぶように言ったじゃないか」
「で、でもアッシュ様・・・こんなところでは誰かが来てしまいます」
「誰も来ないさ」
「けどそこにヴァンダイクが・・・」
ウィステリアは消え入るような小さな声で僕達の側を悠然と歩く猫、ヴァンダイクを指差す
ヴァンダイクは僕が小さい頃からこの屋敷に住んでいる猫だ。どうゆう種類かまでは知らないが白い毛むくじゃらの体でいつも朝御飯を用意しているウィステリアを探していたように見える、キョロキョロと首を振りながら辺りを見渡している
「なにヴァンダイクはお腹が空いてるだけさ、ウィステリアがここにいるからやってきたんだろう。大体僕達のやっていることなんてヴァンダイクにはわからないさ」
僕の言葉にヴァンダイクは「にゃーご」と鳴き声をあげると静かにその場から離れ庭のほうへと歩いていった
「ヴァンダイクも自分がお邪魔虫だってわかったんだよ、そんなことよりウィステリア・・・」
しっぽを振りながらその場を立ち去っていくヴァンダイクの後姿を横目で見送ると僕は抱き寄せたウィステリアの顔を引き寄せる
「好きだよウィステリア、君は僕のことを好きかい?」
「勿論、お慕い申しておりますアッシュ様・・・」
「そうかよかった、なら」
頬を染めて答えるウィステリアに僕はゆっくりと顔を近づけその柔らかい唇にキスをする、そしてそのまま熱く甘い彼女の舌を感じるように自分の舌を絡ませていく
「んっ・・・んっ、ふぁ御主・・・様っ・・・」
ウィステリアの必死に応えようと発する甘い吐息が僕の気持ちを高揚させていく
僕はそれを楽しむように舌を動かすと少ししてそれを止め、顔を離す
厭らしく僕とウィステリアの唇の間を唾液の糸が垂れる
「御主人・・・アッシュ様?」
恥かしがり屋のウィステリアが顔を真赤に染めながらも何故突然行為をやめたのかという不満の表情を見せる。
そう、ウィステリアのその表情が僕は見たかったんだ
「ウィステリア、キスが上手くなったね。あれかな僕の知らないところで幼馴染のジェードと練習でもしたのかな?」
僕は彼女の耳元に顔を近づけると彼女を困らせるような悪戯な言葉を吐いた
「そ、そんなことしてないです!ジェードとはただの幼馴染でそんな関係じゃないんですっ・・・私が、私が好きなのはアッシュ様だけですっ!」
「そうだよねウィステリア、ごめんね変なこと聞いて」
この答えが返ってくることはわかっていた、そしてこの喜びを幾度となく味わいたかった
僕は再びウィステリアの唇にキスをする、その幸せがいつまでも続くようにと
「それじゃ行ってくるねウィステリア」
「はい、御主人様・・・いえアッシュ様」
私は頭を下げアッシュ様を見送る。大丈夫だっただろうかちゃんと笑顔を見せれただろうか?いつものそれが不安になりつつも今は御主人様が私を愛して求めてくれたことの方が気持ちを高揚させていた
「顔、紅くないかな・・・ジェードやアザレアさん、私が御主人様とこんな関係になっていること知ったらどう思うだろう?」
少し乱れた服を直しながら考える。いつからだろう私が御主人様とその、恋人のような関係になったのは今となっては何故か凄く昔の話のように思えてくる
私の御主人様であるアッシュ様は幼い頃に両親をなくし自立するまで親戚の間をたらい回しの様にされてきたらしい、誰からも愛されることなく誰も愛することもなく
だから御主人様が私のことを愛していると仰ってくれたとき物凄く嬉しかった
それは私がメイドとして御主人様にできる最高の奉仕だからだ
「にゃー」
「あらヴァンダイク、戻ってきたの?」
先程庭のほうへ行ったヴァンダイクが小さく鳴き声をあげながら戻ってきた
私はヴァンダイクを抱きかかえるとその白い毛並みを優しく撫でてやる
「ごめんね、すぐに朝御飯を用意してあげるから。あ、あとさっき貴方が見たことは誰にも内緒よ?って猫だから喋れないか」
冗談っぽく言うとヴァンダイクは「にゃー」と一鳴きして私の腕からするりと抜け屋敷の奥のほうへ駆けていく
「あ、待ってヴァンダ・・・あっ!」
思わず私は声をあげてしまった
ヴァンダイクが駆けていく先を目で追いかけようとして顔を上げた私の先には長い金髪のメイド、私の同僚であるアザレアさんが立っていたからだ
「アザレアさん・・・」
「同じ猫でもヴァンダイクも泥棒猫とは仲良く出来ないって感じね」
「えっ?」
そう言うとアザレアさんはカツッ、カツッとハイヒールの音を鳴らし私の方へと近づいてくる、もうそれが怒っているというのを表しているのは想像しなくても分かっていた
「ウィステリア、貴女さっき御主人様となにをしていたの?」
「別に何も・・・ただ御主人様が鞄を忘れられていたからそれを渡していただけよ」
「嘘つき!」
アザレアさんはそう叫ぶと私を力任せに突き飛ばす。思わずつんのめってしまい私は壁に叩きつけられた
「い、痛いですよアザレアさん」
「わかってるんだから!!そうやって隠していても・・・!貴女と御主人様がどうゆうことしてるかって事くらい!」
抵抗する私の腕を壁に押し付けアザレアさんは更に続ける
「貴女御主人様のこと好きじゃないって言ってたじゃない、私に譲ってくれるって言ってくれたじゃない!!それなのにっ!!」
アザレアさんは金髪の長い髪を揺らし声を荒げる
ああ、アザレアさんも御主人様のことが好きなんだ
確かにそんな話をアザレアさんから聞いた覚えがあるし約束した憶えもある
けどそれも今となっては虚ろに消え行く記憶の中にしかない
「ごめんなさい、あの時はそう言ったかもしれないけど今は私も御主人様のことが好き・・・さっきだって御主人様から求められてキスをしたのよ。このさいだからはっきりと言います、アザレアさん貴女は御主人様のこと諦めたほうがいいです」
「・・・・・・そう、やっぱりそうなんだ」
私が呟いた一言にアザレアさんは静かに押し黙るしかなかった
だって仕方ないじゃない、アッシュ御主人様は私を選んでくれたんだもの
自分に魅力がなくてアッシュ御主人様に振り向いてもらえなかったからって私をいじめるなんて筋違いよ
「あはは、じゃあねぇウィステリア・・・貴女にキスしたら御主人様と間接キスになるかしら?」
突然錯乱しているのかアザレアさんは私に顔を近づけ意味不明なことを呟く
「な、なにを言っているんですかそんなわけないでしょアザレアさん!」
私は近づくアザレアさんから顔を逸らし否定する、いくらなんでも何を変なことを言っているんだこの人はそう思った
───けど逸らしたから気が付かなかった、アザレアさんの表情が残忍に歪んでいたことを
「ウィステリア・・・」
「な、なんですか!私ヴァンダイクに朝御飯を準備しなくちゃいけないんです、そろそろ離してくれませんか?」
「・・・死んじゃえ!」
一瞬アザレアさんの言った言葉の意味が理解できなかった、だがすぐに私の腹部に激痛が走りその言葉の意味と彼女のやろうとしていることに戦慄する
「あっ・・・・がぁっ、アザレ・・・アさん!」
銀色のナイフが、私の腹部に押し付けられじわりと白いエプロンを鮮血に染めていく。必死に抗おうとするも痛みに力が入らずそれに更にアザレアさんは体重を掛けて私の身体にナイフを押し付けてくる
「死んじゃえばいいのよ、いつもいつも私に見せ付けるように御主人様といちゃつく貴女なんか!!」
「あ、ぐぅっ・・・!」
必死に痛みに堪えようとするも意識は朦朧としゆっくりとしかり確実に死に近づいていった
「はぁ・・・はぁ・・・・!!!」
息が切れる、動悸が激しい、目の前には力なくぐったりと壁に凭れ掛かるようにしてもう二度と動かない同僚がいる
「私、殺しちゃったのねウィステリアを」
誰に言うことなく私は呟く。けどいいんだ、いずれにしろ彼女はこうなる運命だったんだから
生きて抵抗されていたさっきまでと違い死んでしまえばどうということはない、ただの塵だ
そう考えたらすぐに気持ちは落ち着いた、そうして次に自分がやらなくてはならないことを行動に移さねばと思考を巡らしていく
だってそうでしょ、死んでいる人間の幸せなんて誰が望むものか!生きている私が最大限にその幸せを享受すればいいだけなのよ、ウィステリアはそのための踏み台にすぎないのだ
「とりあえず返り血がついた私のエプロンは外して・・・と、後は死体を隠さないといけないけど」
私は辺りを見渡し手短で私の言うことを聞く僕とも言うべき存在を探す
「・・・ふふ、いた!相変わらず暢気に薔薇の世話をしているのねジェード」
窓の外に見える緑色の髪をした青年の姿を確認すると私は満足して笑みを浮かべる
自分の幸せのためならあらゆるものを利用してやる
私は薔薇園に出るとゆっくりと歩を進め庭師であるジェードに近づいてく
「ああ、今日も綺麗に咲いているなぁ・・・」
「はぁ、相変わらず暢気なものねジェード」
本当は驚かそうと思っていたのに薔薇に向かって独り言を呟くジェードに思わず私は溜息まじりに声を上げてしまっていた
「え、あっアザレアさん!どうされたんですか」
少し驚いた様子で目を泳がせながらこちらを振り向くジェードに彼がなにを考えているのか私にはお見通しだった、だから私は見せ付けるようにわざと胸元のボタンを二つ外してみせる
「ジェード・・・今、お話しする時間あるかしら?」
「時間ならありますけど」
「良かった、貴方に頼みたいことがあるのよ」
「お、俺にできることだったらなんでもしますよ」
思ったとおりに少し顔を赤らめ頷くジェードをみると本当男って単純だと再認識する。
けど変に勘繰られるよりこのほうがずっといいわ
私はジェードが望むように身体を近づけ彼の首に腕を回し抱きついてみせる
「あ、あのアザレアさんいきなりなにを」
「なにをってこうして欲しかったんでしょ?私の言うことを聞いてくれればこの間みたいなことしてあげてもいいわよ」
「この間みたいなこと・・・」
生唾を飲むとは実にこうゆうことをいうらしい、この間の情事がよほど興奮を覚えたのかジェードは凄く早口になって応える
「や、やります!な、何をすればいいんですか?」
「簡単なことよちょっと庭に穴を掘ってほしいのよ、人一人が入るくらいのね」
「わかりました・・・それでそれをやったら本当に」
恐る恐る尋ねてくるジェードに笑いを堪えそうになりながら私は答える
「どうせウィステリアは貴方の気持ちに応えてくれないんでしょう?私だったら貴方を愛してあげられるわ」
正直こんな初心な男だからウィステリアみたいな女を好きになるんだろうと私は思う・・・けどそれを考えるとアッシュ御主人様だって同じか
「はぁはぁ、掘れましたよアザレアさん。けどなんのためにこんな穴を?」
「貴方が気にすることではないわよ」
服を土まみれにしながらスコップ片手に穴から這い上がるジェードに対して私は冷静に呟く、数時間過ぎ庭にはジェード一人にしてはそれなりの深さの穴が出来ていた
「・・・死体の臭いが犬に発見されないためには約7mは掘らないといけないと文献で読んだことあるけど、まぁここにいるのは猫のヴァンダイクくらいだから大丈夫か」
「なにか言いましたかアザレアさん?」
「なんでもないわよ」
私はぶっきらぼうに言い放つと考えこむように腕を組む
後はこの場にいるジェードをどうにかしなければいけないんだけどどうしたものか・・・
なんだったらこいつも殺してしまおうか、ウィステリアだって殺してしまったんだ今更人の一人や二人殺すのなんて私にはわけないことだ
殺してしまおう───その結論に至った矢先だった
「アザレアさんっ!!!」
「ちょ、ちょっとなによ!」
発情した犬のようにジェードが私の腰当たりに抱きついてきたのだ
「や、約束ですよね!!俺、言うこと聞きましたから!!」
「わ、わかってるわよ!!けどなによいきなりこんなところで盛ってるんじゃないわよ!」
必死にしがみ付くジェードを引き離そうとするが私以上の力で抱きつき声をあげる
「もう俺ダメなんですよ、アザレアさんとあんなことした日からアザレアさんのことが忘れられなくてさっきもずっとアザレアさんのことばかり想って!!」
ちょっと前までウィステリアのことが好きだったって言ってたくせにちょっとからかうつもりで一度身体を許したらこの有様だ
「好きです、好きなんですアザレアさん!!」
「わ、わかったから離れなさいよ!!」
気持ち悪い、ジェードがただただ気持ち悪く嫌悪感を剥きだしに彼を突き飛ばそうとした瞬間───
「えっあ・・・きゃぁぁぁ!!」
私はジェードが掘った穴、ウィステリアを埋めようとした穴に足を踏み外しジェードごと穴に落ちた
そして運が悪いってのは本当こうゆうことを言うんだろうとまじまじと思い知らされた
「あがっ・・・・」
言葉にならない声が漏れる、頭の中に鈍い音がする、私の後頭部からナニカが流れているのが首筋を通り感じていく
なんで、なんでこんなことに・・・私はなんて運がないのだろう
この屋敷にウィステリアがいなければ今頃アッシュ御主人様は私を愛してくれていたに違いない、そしてあの女さえいなければ私が───こんな死に方することなかったのに
それ以上は考えることもできなかった、私の意識は私の意志に反して一気に断線した
「あ、アザレアさん?」
俺はハッとなりアザレアさんの頬を軽く叩く、けれども彼女は無反応だった
「嘘ですよね?」
抱きかかえるように彼女を身体を起そうとして俺は気が付いた、彼女の長くサラサラとしたはずの金髪にべっとりとしたナニカが付着していたことに
「しっかりしてくださいアザレアさん!!」
身体を揺すり声を張り上げるが俺の言葉は彼女には一向に届くことなく、ただただ力なくぐったりと頭を垂れる
死んでいる・・・言葉には出来なかった。彼女が倒れたであろう先に土から剥き出しになった石があり血で濡れている、彼女はこれに後頭部をぶつけ死んだんだ
俺はなんてことをしてしまったんだろう
時折辛辣な言葉を使う彼女だがあの晩、肌を重ね合わせて俺は彼女が本当は優しい女性なんだと気がついた
だからこそウィステリアのことを忘れ心から彼女のこと愛そうと思ったのに
今となっては遅い、行き過ぎた自分の感情が彼女を殺してしまうことになるなんて
「どうする・・・どうすればいいんだ!」
心臓が破裂してしまうんじゃないかというくらいに波打ち思考がまとまらない
最良の最良の選択はなんだ?
「これは事故だ、事故で・・・俺が殺したわけじゃない!!」
結局行き着いたのは自らの保身でしかなかった、愛すると決めた女性でも死んでしまったらどうすることもできない、俺にそんな力なんてない!
けどもし俺が殺したということがアッシュ御主人様にわかってしまったら俺はもうこの屋敷にいることができなくなる───
「とにかくこの場を離れなくては・・・」
俺はアザレアさんの身体を離すと穴から這い上がる、一刻も早くこの場から立ち去らなければ、その意識が強すぎて這い上がった先に人がいることに一瞬気が付かなかった
「ここでなにをしているジェード・・・」
「あっ、アッシュ様!!」
俺の目の前には白いシャツのところどころを赤く血で染めたアッシュ様が苦悶の表情で立っていた
その表情を見た時点でもう俺には逃げ場はないと確信した
そして・・・ああ、何故アザレアが俺に穴を掘るように言ったのかということも理解した、ウィステリアもう君は───
「ウィステリアを殺したのはお前だな、ジェード!!そして更にはアザレアまで・・・お前というやつは!!」
「ち、違います!」
「なにが違うというんだ!!」
俺は叫ぶが到底言い逃れなんてできそうになかった、なんせ証拠が揃い過ぎている・・・そりゃそうだ何も知らなかったはいえだって実際に片棒を担いでいたんだから
「そんなに僕にウィステリアを取られたことに怨恨を抱いていたのか、けどだからといって彼女を殺すなんて・・・お前のその罪は僕自ら裁かねば!!」
アッシュ様は腰に帯刀したサーベルを引き抜くと俺に突きつける
「さよならだジェード、あの世で罪を悔いるがいい!!」
サーベルが振り下ろされる、肉を絶つ鈍い音が庭中に響き渡った
日は落ちて屋敷を闇が覆う
僕はそんな中、自分の部屋で途方にくれるしかなかった
なぜ、なぜこんなことになってしまったのだろう
愛する者を失い、使用人を二人も失った・・・もうこの屋敷には僕しかいない
悲しみにくれる僕の目の前をどこから入ってきたのかヴァンダイクが横切る
「ああ、お前がいたかヴァンダイク・・・ごめんな」
僕の言葉を理解しているのかヴァンダイクは鳴き声をあげると太った見た目とは裏腹な華麗な動きでテーブルに飛び乗ると僕の腕に擦り寄ってくる
「慰めてくれるのか?優しいなお前は」
ヴァンダイクの白い毛を優しく撫でてやるとまさに猫撫で声というべき鳴き声を気持ち良さ気にあげる
「けどなもうどうしようもないんだよこの苦しみから逃れる術なんてないんだ、こうなったら僕も死んで・・・」
そこまで言いかけてヴァンダイクを撫でていた手が止まった、いつの間にかヴァンダイクが紫色の小瓶を抱きかかえていたのに気が付いたらからだ
「ヴァンダイクお前、これ・・・僕の鞄に入ってたはずなのにいやでもこの魔術師から貰った薬を使えば!」
僕は小瓶を手に取り確認する、間違いないこれは今日会った魔術師に貰った薬だ
───もし苦しみから逃れたいと思ったらこの小瓶を開けなさい
魔術師の言葉が蘇る、苦しみから逃れたい状況とはまさに今の状況じゃないか
僕が望んでいた薬は難癖をつけてくれなかったのに押し付けるようにこの薬を渡したのはあの魔術師はこの状況をもしかして予測していたのだろうか?それを確認する方法はないがもう頼れるものはこれしかない
「頼む、この苦しみから解放してくれ」
僕は意を決して紫色の小瓶の蓋を開ける、小瓶からは紫色の煙が湧きあがり部屋中に漂っていく
その煙には眠りを誘うなにかが含まれているのか急激な眠気が僕を襲う
「こ・・・これで元に・・・幸せなあの日に戻・・・・・」
遠くでヴァンダイクの鳴き声がするのが聞こえるとともに僕は意識を失った
D.C
・・・かなり酷いです(ノ_・。)
妄想と構想を履き違えた駄作、それがこの作品
まだ書いてないけど間違いなくそうなるね、もしならなくて万が一面白かったとしても私の中の駄作感は変わらない・・・だから予防せん張って置くよ!
まぁでもハズレなしの方々のおかげでもしかしたら助かる・・・かも?
ちなみに幻想少女ではないです、かと言って前回みたいな話でもないです
メイドさんはでます!(やったね(^o^)v
そして間違いなく「○○みたいな話でつね(キリッ」って言われること間違いない
妄想は頭クラクラでベットの中で5分くらい、書くのは2時間もあればできるでしょう
話は短いですのでね
ちなみにメイおまは恭治の過去編を二話にするって言ったもののこのままだと二話がやたらと長くなりそうなんで三つに別けてもいいかもしれない、特に盛り上がりも無いけどモチベーション的にね
エウ゛ァリーフォースは結局年内無理かな・・・なんせ誰も期待してないしな
そもそもラストどうなるかわからなくたってきたし
まぁ頑張るしかないか
それでもメイおまが進まないわ!!
なにこの重さ、重いんだわなにかしらないけど一文字、一文字が・・・・やたらとね
なんだろう幻想少女が今一番書けるわ、あれなら一話書け言われてもすぐ書ける気がするけど
メイおま、エヴァリーフォースはもう酷いくらい書けないね
なんだろう今丁度厄介なシーンなんだけど個々のキャラクターの心理状況とか考え出すとセリフ一つとっても簡単には書けない
もっと気楽に書くべきなんだろうか、よくわからないわ
最初は“マネージャー”と“アイドル”だったのよ・・・まぁ結構すぐ今の状態にしたんだけどね、アイドルというよりも偶像崇拝って言葉使いたかっただけさ
どうもそのアイドルに愛着がわかなかったのよ、そりゃメイドさんと比べたらそうなるわな
んでまぁそんな設定あったなぁと今日松屋の帰りに歩きながらブラブラしながら妄想してたの
某知名度の低い国民的アイドルの選抜メンバーを殺し合いで決めるという妄想
「今度の選抜はじゃんけんなんかじゃねぇ・・・・実力で殺しあうんだよッ!!」
そんな感じの、どこの世紀末?
主人公はほらあの研究員ってやつでいいじゃん、で選抜争奪戦が始まってまもなくAチーム、Kチーム、Bチームをレギュラー陣は組むことで選抜争奪戦をチームで生き残ろうとしたのね
そこに主人公と・・・えっとなんか引っ込み思案で殺しとか無理ーな女の子一名が戦いを挑むわけ
んでとりあえず選抜メンバーが何人か知らないけどまぁ15人くらいまで残ったところが第一部
第二部はその引っ込み思案の子をラスボスにするか、第一部のラストで「私を殺せば選抜メンバーは決定する!」とか言って主人公に殺されようとするんだけど主人公が殺せない!とか言ってるところに他のやつらに殺されて→私の怒りが有頂天なんだが→
「もう選抜メンバーなんてどうでもいい。アイドルは私一人だけ───
もはや偶像崇拝など意味を成さない、私は偶像を越え神になる!」
とか言い出して他のメンバーを一人残らず殺していくという妄想、妄想だけにしておいてよかったな
書いてみるとあんまり面白くないな
『幻想少女』仮題
インタールード シフォン
私には、私には夢があった
それは自分のデザインした服を世界中で有名にすること
しかしそれは今の荒廃した世界には不釣合いで無意味なもの、けどそれでも構わない───
あの時・・・夢は壊れ失われたと思った、けど大丈夫
───私には新たな力が目覚めたのだ
その能力に気が付いたとき夢は───私の夢は私の世界で再生した、そう不死鳥のように
「なんで御姉様がエルグランデの仕事の後始末なんてしなくちゃいけないのぉ?しかもこんな辺境の土地にさ」
「仕方ないじゃない、私八豪傑じゃ一番下っ端なんだから。こうゆう雑用は当然なのよ、ちょっとそのエルグランデの片腕を吹き飛ばした氷のメイドと御主人様ってのもの気になるしね」
大きな紙袋にお菓子を一杯つめてフラフラと歩きながら不服を漏らすメイド服の彼女───茶髪のおさげをしたマロンに私はたしなめるように言葉を返す
私達は荒廃した街を歩いてく、もはやこの世界に綺麗な服なんて必要ないんだ
今日を生きる食料だっていつまでもつかそんな世界なんだから
「御姉様と私の能力の方がエルグランデなんかよりも上なのに」
「大丈夫、大丈夫。エルグランデは乙葉の光の能力を失ったわ、だからすぐにちゃんと認められるわよ私達の方が上だってことは」
私が八豪傑になった理由は───
「そんなことより食べないならシナモンドーナツ貰っちゃうわよー♪」
「あー御姉様、それ私が一番好きだから取っておいてるのにぃ!!」
「ダメダメ、一番美味しいものは先に食べないと誰かに取られちゃうわよ?」
マロンの持つ紙袋からシナモンドーナツをひょいと取り上げると軽いステップを踏みながら口に咥える
私が八豪傑になったのはそんな世界においても私の夢を継続するためだ、八豪傑であれば今日の食べ物に困るような苦しい生活をしなくていい・・・そして世界が荒廃したときよりも物が八豪傑には集まっていく
いずれ八豪傑が世界を支配したらそこからゆっくりと積み上げていけばいい、私の世界を私の服が世界の衣服の基本であり全てになるんだ
私の夢は加速する───
私は夢を追い続けてもいい、神様がそう言っている、そのためにあるのが私の力だ!!!!!!
「そこのお前、止まれ!!」
「お前達能力者だな、これより先はD都市地区現在進入は禁止されている!抵抗するなら容赦はしないぞ!!」
立ち塞がるものは消し去ればいい、奴等は持たざる者・・・私の力で吹けば消し飛ぶ他愛もない存在!
自動小銃のようなものを持った持たざる者達が叫ぶ、どうやらマロンのメイド服姿に能力者だってことがわかったらしい、まぁ当然か
そもそもD都市地区に警備が配置されているなんて話聞いてなかったわね、これも無駄にエルグランデが暴れまくってくれたおかげかしら?
「御姉様、どうしよう?」
「んー面倒だなぁ、殺しちゃおっか・・・どうせ生きていてもしょうがないし」
「・・・っ!!」
警戒して銃を構える彼等に対してシナモンドーナツを口に咥えたまま私は金髪のツインテールを揺らし前に立つ
「んぐぐぅっ・・・んぱぁっ!まぁやってみるだけやってみたら?どうせ無駄だろうけどっ♪」
口元からドーナツがポロリと落ちる、それが地面に落ちた瞬間戦闘は始まった
「これ以上街を好き勝手にさせてたまるか!!撃てぇ!!」
「キャー御姉様!!」
自動小銃が弾を吐き出す激しい音に合わせる様に私は能力を展開させる、御主人様として私が得た能力を
「な・・・なんだとっ!?」
「だから無駄だって言ったじゃない、そんな鉄砲玉で私は殺せない!」
彼等の銃から吐き出された弾丸が全て私の目の前でなにかに遮られるようにその動きを止めていた
「こ、こいつ何者だ?」
「聞かれたら答えてあげるのが私の優しいところよ、しかと聞きなさい私は───」
「あはっ、御姉様一気にやっちゃうの?」
マロンの栗色のおさげ髪がふわふわと浮き上がらせ一気に辺りに風が吹き上がる
「八豪傑が八番目、風のシフォン様よ!!」
瞬間私の周りに激しい風が巻き起こり全てを吹き飛ばした
ACT 5 玲人
エルグランデとの一戦から二日が過ぎた、“御主人様”という能力者になって初めて使った能力の負荷というものはかなり大きかった
体力というのとは違うらしい、能力を使うことで起きる身体への負荷というものは
「玲人さん、お食事・・・今日も作ったんですが」
「あ、ああ・・・」
紗雪の声に僕はベットからゆっくりと身体を起す、一応ここは僕の部屋だ・・・とは言っても今となっては屋根もなければ壁も吹き飛んで無くなっているけど
「すいません、大したものできなくて」
「いや、別にそんなことない」
紗雪から雑炊の入った茶碗を受け取ると一口、口へと運ぶ。その味ははっきりいって最近まともな食事をしていなかったこともあるのかもしれないがそれでも今まで食べたこと無いくらい美味かった
けどそれを素直に喜べない自分がいた
「なぁ紗雪、あんたいつまでここにいるつもりなんだ?」
僕は礼も言うことなく冷たい言葉を投げかける、紗雪はその言葉に小さく肩を振るわせたのがはっきりとわかった
「僕に色々してくれるのは感謝してるがはっきりと言っておく、僕は紗雪達の仲間にはならないぜ」
「玲人さん・・・」
わざわざ言葉にする必要なんかなかっただろうがはっきりとその言葉を告げた
紗雪だっていつかその言葉が返ってくるのは予測できていたんじゃないかと思う
「確かに僕には“御主人様”としての能力があるのかもしれない、けどだからって僕が戦う必要なんてないだろ・・・エルグランデと戦ったのだってあんただけじゃ頼りなかっただけだ!」
巻き込まれるのは勘弁だ、そう嫌悪感をむき出しにして突き放すように言い放つ、その僕の様子に紗雪は静かに言葉を選ぶように口を開く
「それは充分わかっています・・・そして私は玲人さん、貴方に戦いを強要することはできない、けど!!」
「けど・・・なんだよ!!」
茶碗を乱暴にテーブルに置くとベットから身体を起こし僕はがなるように叫んだ
「別に僕が戦わなくたって、あのスティールメイデン・・・凛とかいうやつがなんとかするだろっ!!」
「・・・けど貴方には力があります、それもあの八豪傑と渡り合えるほどの力が!!その力を持ってすればこの世界を救えるかもしれない・・・私にはかつてそれを約束した人がいました、一緒に平和な世界を作ろうとした人が!だから・・・無理を承知で言います、私と戦ってください!!」
紗雪の悲痛な叫びに胸が苦しくなるのがはっきりとわかった。紗雪の言う“約束した人”、それはおそらく僕がエルグランデの前に飛び込む前に見た幻影の男・・・一方的に紗雪のことを僕に託した男のことだろう
僕には能力がある、そしてあの幻影の男から紗雪を頼まれたそれはわかる、わかるけど!!
・・・けど!!!
「悪い、外の空気を浴びて来る」
「玲人さん!!」
僕は全てから逃げるように言い放つと外へと飛び出した
本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!
名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
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