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「いってらしゃいませ御主人様」
五葉の言葉を背にオレは喫茶店「リチェルカーレ」を出た、心地よいカウベルと少し肌寒い
秋の風が心地よく吹き抜けていく
精神的にはどん底だったがな、なんだろうここまで精神的に疲れたのは初めてかもしれない
今さっきのなかったことにはならないんだろうか?
とりあえず心を平穏に家へと歩き出す、オレの実家は「リチェルカーレ」から大通りへ一度出て反対側、
少し奥に入ったところにある一軒家だ
なんでもこの一軒家オレの親父が母さんを嫁にしたいがためにプレゼントしたものらしい
なんていうか変なところで親父はやることがおかしい
並木の並ぶ大通りの信号を越えて角のタバコ屋を左折、しばらくすると家が見えてくる。
「い、家が見えてくるはずなんだがな」
本当そう、本当ならここで一軒家が見えてきてオレが「ただいま」って言って母さんが「おかえり」って
そうゆう感じに進むものだろ?
だがオレの目の前にはあるべきものがなく、奥に広がる田んぼだけがそこにあった
一年ぶりだから道を間違えたか?
そんな淡い期待もすぐに裏切られる
「あらっ!恭くんじゃないの!」
妙に甲高い声が聞こえる、小さい頃から聞き覚えがある隣に住んでいる鈴木さんの声だ
オレより八つ上で昔はどこかのキャンペーンガールをやってたこともあって一児の母親とは
思えないほど美人で今つけているピンクのエプロン姿が良く似合っている
鈴木さんはなぜか更地になっている俺の家のすぐ隣、洗濯物を取り込んでいる最中なのか両手に
大量の洗濯物を抱えていた
「あ、どうもお久しぶりです」
「恭ちゃん最近見なかったけどどこに行ってたの?」
「いやまぁちょっと修行の旅にでてまして・・・」
「修行?相変わらずなにか面白そうなことやってたのね」
鈴木さんはオレの言葉にクスリと笑う、正直修行の旅なんてちょっとこっぱずかしくてあまり言いたくはない
んだけど実際行ってきたんだからしょうがない。
「あーそれで、あのオレの家ってどうなったんですかね、オレ携帯とか持ってないんで何にも知らないんです
よ」
「そうそうそれなんだけどね、恭ちゃんのお父さん長靴の国に単身赴任になったんだけど奥さんと離れるのが
嫌で家を売り払って一緒に行ったのよ」
「奥さん想いのいい旦那さんですねー」と笑う鈴木さん、いやそこ笑うところじゃないですよ。
長靴の国ってイタリアだよな、栄転なのか左遷なのか知らないけど親父も家を売り払うことはないだろうが、
オレのことは無視かよ
まぁ連絡手段もないままいきなり旅に出ていったオレにも責任はあるだろう
「あ、もし泊まる場所ないんだったら恭ちゃんまた家に来ても良いのよ」
鈴木さんのウインクに思わず身の毛がよだつ、これは語るべきか語らずべきか過去のトラウマなんだが
以前鈴木さんの家にお邪魔することがあってそこで酷い目にあったんだ
それ以来鈴木さんの家に立ち入ることはオレの中で危険度最大級の行為に値する
「いやそれはご遠慮しときますよ」
「えーそれは残念だなぁ、久しぶりに恭ちゃんと楽しめると思ったのにぃ」
そう言って鈴木さんは一児の母とは思えないプロモーションの身体をくねらせる。
というかオレのことを恭ちゃんと呼ぶの止めて欲しい、これでも硬派な男なんですよ
もっと言えば鈴木さんだって下の名前京子だから京ちゃんじゃないか、自分の名前を言ってる感じで
恥ずかしくないのか?
・・・言い出したらキリがないので硬派なオレはそこのところは黙っておこう
「それじゃオレこの辺で失礼しますよ」
「あらそう?お姉さんいつでも待ってるわよ」
鈴木さんに軽く一礼してその場を後にする。鈴木さんの家に厄介になるって選択は今のところ最後の最後だ、
まだ修行の旅で培ったサバイバル能力で野宿っての方がありかもしれない
なんで地元に帰ってまで野宿をしなければならないのかもわからないがな
「はぁまったくなにが幸せになるおまじないだよ」
だたっぴろく広がる田んぼ道を歩きながら思わずぼやいた。
音瀬五葉のおまじない、今日日おまじないなんてもので幸せになれるんだったら今頃全世界幸せだ、
それでもほんの少しあんな安易で幼稚なおまじないを信じてたオレがいる
「御主人様、今から少しだけ幸せになるおまじないを教えますから一緒にやりましょう」
そう言った五葉の顔が思い浮かぶ、穢れのなく笑ったあの顔が
ただなにかのせいにしなければいけないくらい苛立っていたのかもしれない、それがあのできそこないの
おまじないだった、それだけだ
「しょうがない、今度会ったら文句でも言ってやろう」
気持ちは既に切り替え終わった、流石オレ硬派だね・・・でも文句を言うのは硬派でない気もするがまぁいいか
そんなわけで一日に二回も更新しちゃう夕雅です、褒めて!!
そして後二回で第一話が終わるって言ってたんですけど
「終わりません!!」
今回で本当は硬派のカリスマ天城仁さんがでる予定だったんですが文章が思ったより長くなってしまって
次回に持越しです、なんで次の次で終われる・・・・か?
終わったところで第二話すぐに書き出すんですけどね(;´Д`)
そ ・ し ・ て
「今回よその小説から勝手にキャラもって来ました、すいません!!!」
許可を取るか、驚かすかで悩みました・・・問題あれば同姓同名の別人ってことで(*_ _)人ゴメンナサイ
今回だけの出演なので(*_ _)人ゴメンナサイ
そして相変わらず駄文で(*_ _)人ゴメンナサイ
本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!
名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
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