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ユニット名:西条院加絵奈(メイド服)
タイプ:メイド
コスト:3 攻撃力:1 防御力:2
「メイド長の号令」・・・自軍のタイプ[メイド]のユニット全てを[攻撃力+1]する
ユニット名:音瀬五葉(メイド服)
タイプ:メイド
コスト:2 攻撃力:0 防御力:3
イニシアチブ-1
「おまじない」・・・全てのプレイヤーのダイス目が対象。
対象を手札を1枚捨て、[2Dして小さい目]に変更する
ユニット名:天城仁
コスト:5 攻撃力:7 防御力:7
「硬派のカリスマ」・・・このユニットが対象。対象は全ての能力の対象にならない
ユニット名:セルリアン=ディースバッハ
コスト:1 攻撃力:2 防御力:1
「意地悪い薬」・・・ユニット一体が対象。対象の攻撃力と防御力を入れ替える
「魔力増幅剤」・・・ユニット一体が対象。対象の攻撃力を+3する
ユニット名:スレート=グレイ
コスト:3 攻撃力:2 防御力:3
イニシアチブ+2
「獣化」・・・このユニットが対象。対象が先手を取った場合攻撃力+2する
ユニット名:五臓六腑大二郎
コスト:2 攻撃力:0 防御力:1
イニシアチブ-1
「お金で解決」・・・全てのダイス目が対象。自軍の山札からカードを2枚破棄することでダイスを振りなおす
ユニット名:翠歌
コスト3 攻撃力3 防御力:3
「絶対必中武装」・・・敵プレイヤー一一人が対象。プレイヤーの捨て札から一枚ランダムに選びゲームから除外する
ユニット名:玲人
コスト:0 攻撃力:1 防御力:1
「御主人様の素質」・・・このユニットが対象。自軍パーティにユニット名[紗雪]がいる場合、このユニットは[コスト+4 攻撃力+3 防御力+3]を得る
ユニット名:紗雪
コスト:2 攻撃力:1 防御力:3
タイプ:メイド
イニシアチブ+1
「アブソリュートゼロ」・・・ユニットすべてが対象。対象に2ダメージを与える、ただしこの能力は自軍にユニット名「玲人」がいる場合のみ使用できる
「氷のメイド」・・・このユニットが対象。このユニットを指定した全てのダイス目は他の能力の影響を受けない
ユニット名:国枝実
コスト:3 攻撃力:2 防御力:1
「夢への策略」・・・山札から3枚、手札に入れる。その後手札から二枚選び捨て札に送る
ユニット名:五臓六腑家御主人様専属警護部隊隊長アクセル
コスト:3 攻撃力:3 防御力:2
タイプ:メイド
「戦闘状況分析」・・・自軍のユニットが対象。自軍ユニットにユニット名「ラピス」が含まれているユニットがいる場合そのユニットに[攻撃力+1]し、自軍ユニットににユニット名「ラズリ」が含まれているユニットがいる場合そのユニットに「防御力+1」する
「コード000、キーワードは───」・・・ユニット一体に3Dダメージを与える。この能力は自軍ユニットにユニット名に「ラピス」と「ラズリ」が含まれている場合のみ使用できる
ユニット名:五臓六腑家御主人様専属警備部隊ラピス
コスト:1 攻撃力:0 防御力:2
タイプ:メイド
ユニット名:五臓六腑家御主人様専属警備部隊ラズリ
コスト:1 攻撃力:1 防御力:1
タイプ:メイド
ユニット名:神楽坂恭治
コスト:2 攻撃力:2 防御力:2
「逆境の硬派」・・・このユニットが対象。このユニットが自軍パーティの最前列にいる場合防御力+2する
「意地」・・・このユニットが対象。敵軍コストと自軍コストを比べて自軍コストが低い場合対象の攻撃力+2する
ユニット名:神々の書記官
コスト:5 攻撃力:3 防御力:6
イニシアチブ-2
「汝の名を記す」・・・ユニット一体が対象。対象のユニット名を「プレイヤーの好きな名前」に変更し[攻撃力+1 防御力+1]する
「はいはい、それは凄いですね」・・・全てのプレイヤーのダイスが対象。対象のダイス目が「6」の場合「1」に変更する
ユニット名:白幼女
コスト7 攻撃力:0 防御力:0
手札上限枚数+1
「あるがまま」・・・このユニットが対象。このユニットの攻撃力と防御力は自軍プレイヤーの手札と同じになる。
「さようなら」・・・ユニット一体が対象。対象をゲームから除外する
ユニット名:高杉遼子
コスト:1 攻撃力:0 防御力:1
「唯一の理解者」・・・手札を一枚捨て札に送ることで、捨て札から一枚山札に加え、山札をシャッフルする
ユニット名:幻=クレイド
コスト:4 攻撃力:4 防御力:3
イニシアチブ+1
「ソリチュードストライク」・・・敵ユニットに前列から2Dダメージを与える
ユニット名:影咲狼牙
コスト:1 攻撃力:1 防御力:1
「中二的妄想力」・・・このユニットと敵ユニット1体が対象。対象のコストを+2する
ユニット名:生物化学班セツナ
コスト3: 攻撃力:2 防御力:2
イニシアチブ-1
「妄信的な愛」・・・ユニット一体が対象。対象の防御力を3に変更する
ユニット名:マーキュロクロム
コスト:1 攻撃力:1 防御力:1
イニシアチブ-3
「カテゴリー3」・・・このユニットが対象。このユニットはデッキに何枚でも入れることが出来る
「水銀中毒」・・・敵ユニット1体が対象。このユニットをゲームから除外し対象に[このユニットの防御力分]ダメージを与える
ユニット名:五臓六腑家暴徒鎮圧専属メイド シリウス
コスト4: 攻撃力:4 防御力:3
タイプ:メイド
「ライバル意識」・・・このユニットが対象。敵軍にユニット名「シリウス」が含まれているユニットがいる場合、このユニットの[攻撃力+2 防御力+2 イニシアチブ+2]する
ユニット名:エクル=ヴェージュ
コスト:4 攻撃力:5 防御力:2
タイプ:メイド
イニシアチブ+1
「吸血衝動」・・・敵ユニット1体が対象。対象に2ダメージを与える。その後敵軍プレイヤーの手札を2枚ランダムに捨て札に送り、自軍プレイヤーは山札から2枚カードを手札に加える
ユニット名:エルフの行商人シャトルーズ
コスト:3 攻撃力:1 防御力:3
「恋するエルフ」・・・ユニット一体が対象。対象の防御力が[このユニットの防御力以下]の場合、このユニットと対象ユニットは手札に戻る
ユニット名:新堂景一
コスト:0 攻撃力:0 防御力:1
イニシアチブ-1
「星鎧:スターライトメタモルフォーゼ」・・・自軍プレイヤーが対象。山札から5枚選びその中にユニット名「終焉に導く騎士スターナイト」を含むユニットがいた場合1枚だけ手札にくわえる。その後それ以外のカードは山札に戻しシャッフルする
ユニット名:終焉に導く騎士スターナイト
コスト:3 攻撃力:4 防御力:4
イニシアチブ+2
「基礎元素充填」・・・このユニットが対象。対象は通常配置ができず戦闘中にユニット名[新堂景一]が含まれるユニットと入れ替えてしか配置できない
「剣具ガイハルド」・・・敵ユニット2体が対象。対象に2ダメージを与える
ユニット名:闇と死の使いスリティ=クレイド
コスト:5 攻撃力:6 防御力:5
「滅びの瘴気」・・・全てのユニットが対象。対象の防御力が1以下の場合行動することができない
「ソリチュードストライク」・・・敵ユニットに前列から2D+2ダメージを与える
ユニット名:杉崎理恵
コスト:1 攻撃力:0 防御力:1
「ストーリーテラー」・・・全てのプレイヤーが対象。このユニットを破棄し戦闘を終了する
「時間の止まった教室」・・・このユニットが対象。このユニットが破棄された場合捨て札にいかず山札の一番下へ戻る
ユニット名:進化する命スターナイト
コスト:2 攻撃力:4 防御力:4
「進命:エレヴォリューションフォーム」・・・このユニットが対象。対象は通常配置ができず戦闘中にユニット名[終焉に導く騎士スターナイト]が含まれるユニットと入れ替えてしか配置できない
「剣星火炎:フレイムバードストライク」・・・敵ユニットが一体が対象。対象に4Dダメージを与える。この攻撃で倒されたユニットはゲームから除外される
ユニット名:第二変身スターナイト
コスト:4 攻撃力:6 防御力:3
「再鎧:セカンドメタモルフォーゼ」・・・このユニットが対象。対象は通常配置ができず戦闘中にユニット名[終焉に導く騎士スターナイト]が含まれるユニットと入れ替えてしか配置できない
「アークフェザークラッシュ」・・・敵ユニット全てが対象。対象に1D-1ダメージを与える
ユニット名:アッシュ家のメイド ウィステリア
コスト:1 攻撃力:0 防御力:2
タイプ:メイド
「罪状:傲慢」・・・自軍プレイヤーが対象。山札から手札を1D枚加える
ユニット名;御曹司アッシュ
コスト:3 攻撃力3 防御力:2
「繰り返される日々」・・・自軍ユニットすべてが対象。対象がユニット名[ウィステリア][アザレア][ジェード]を含む場合、対象が破棄される時に山札の一番下に戻る。この能力は自軍ユニットにユニット名「「化け猫ヴァンタイク」が存在しないと使用できない
ユニット名:アッシュ家のメイド アザレア
コスト:2 攻撃力:1 防御力:2
タイプ:メイド
「罪状:嫉妬」・・・ユニット一体が対象。対象が[タイプ:メイド]を持っている場合[攻撃力-2 防御力-2]する
ユニット名:緑河空(私服)
コスト:2 攻撃力:0 防御力:4
「ラーメン狂い」・・・全てのプレイヤーが対象。対象の振るダイス目の結果に関わらずダイス目は全て「3」で処理する
ユニット名:ホムンクルス エメラルド
コスト:0 攻撃力:0 防御力:0
イニシアチブ-1
「急速成長」・・・このユニットが対象。対象のコスト、攻撃力、防御力は全て[戦闘に参加している自軍ユニットの数]に等しい
「ホムンクルス」・・・このユニットが対象。対象は何枚でもデッキにいれることができる
ユニット名:ノスフェル=ドクトル上層幹部
コスト:1 攻撃力:0 防御力:4
イニシアチブ-6
ユニット名:アッシュ家の庭師ジェード
コスト:1 攻撃力:1 防御力:1
イニシアチブ-1
「罪状:欲情」・・・このユニットが対象。対象が後攻を取った場合、攻撃力+3する
ユニット名:スティールメイデン 円月凛
コスト:3 攻撃力:3 防御力:2
タイプ:メイド
「アンインストール」・・・プレイヤー1体が対象。対象の手札から1枚ランダムで選び捨て札に送る
「インストール」・・・このユニットが対象。対象は手札からユニットカードを1枚選びそのユニットカードが持つ能力をしようすることができる。発動タイミングは使用カードに準じ、使用したユニットカードは捨て札に送られる
ユニット名:音瀬四葉
コスト:2 攻撃力:2 防御力:1
タイプ:メイド
「絶対領域」・・・全てのプレイヤーが対象。戦闘中対象が振ったダイス目は[1-3]は全て[1]に[4-6]は全て[6]で処理する
ユニット名:南風章
コスト:1 攻撃力:2 防御力:1
「真名;ガルフォード」・・・このユニットが対象。このユニットはSR(スーパーレア)として扱われる
ユニット名:化け猫ヴァンダイク
コスト:2 攻撃力;0 防御力:1
イニシアチブ+1
「永遠を生きる」・・・このユニットが対象。対象は戦闘終了時に手札に戻る
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ユニット名:音瀬二葉
コスト:4 攻撃力:2 防御力:2
「隠れコスプレイヤー」・・・このユニットが対象。対象の攻撃力と防御力は敵軍の最前列のユニットと同じになる
ユニット名:愛華
コスト:4 攻撃力:2 防御力:4
イニシアチブ+1
「絶対閃熱武装」・・・ユニット全てにダメージ。対象に[敵軍のイニシアチブ合計-自軍のイニシアチブ合計]のダメージを与える
ユニット名:八豪傑リーダー ゼロ
コスト:1 攻撃力:2 防御力:1
「操られし愚者」・・・このユニットが対象。自軍パーティにユニット名[麻衣]がいる場合、このユニットは[コスト+4 攻撃力+4 防御力+4を得る
ユニット名:麻衣
コスト:4 攻撃力:5 防御力:3
タイプ:メイド
「能力制御」・・・このユニットが対象。自軍パーティにユニット名[ゼロ]がいる場合、このユニットは[コスト-3 攻撃力-4 防御力-2を得る
「鋼のメイド」・・・全てのユニットが対象。対象がイニシアチブ±Xを持っていた場合、2ダメージを与える
「ちょこれぃとくろすえっじ」
「あなた、遺伝子異常を起こしていないカカオの種子のありそうな所知らない?」
赤茶けた砂漠の廃墟に一人蹲る老人に私は問いかける
やせ細り皺だらけ老人は光を失ったその目でじっとこちらを見つめるとしばらくして首を横に振った
「そう、ありがとう」
私は礼を言うと肩からかけている雑嚢から数種類のカプセルを取り出すと老人の前に置く、食料が食べられなくなったこの世界では人間が生きていくためにはサプリメントで栄養を補充するしかなくなっていた
人間以外の全ての動物、植物が突如遺伝子異常を起こすという現象が起きてから約二千年の歳月が過ぎた。一説には当時の大陸を支配していた国の軍事兵器の影響だとか自然を破壊しつくした人間への罪だとか色々言われてきたが今となっては定かではない
ただ、間違いなくこの世界において人間が生きることはとても難しくなったのは間違いない
「ちょっと、ちょっと待って!」
老人の下を立ち去ろうとした私に背後から若い男の声がする。振り返ると小汚い布切れを纏い無精髭を生やした男が大きく手を振りながらこちらへと走って来ているのが目に入った
「カカオの種子のあるところ、知っているの?」
「いや、それは知らない。そもそもカカオってなに?」
「なら用はない」
私は軽く嘆息すると踵を返し歩き出す、こんなところで油を売っていられるほど私は暇ではないのだ
「待って、待ってって!君のその胸の紋章、『管理局』の人だよね!」
男の言葉を無視し駆け足気味に歩を進める。こうゆう人間を相手にしてしまっては面倒だ、こいつらの次に言うであろうまず言葉は決まっている
「管理局は遺伝子異常を起こしていない生き物を集めているんだよね?だったら───」
「食べ物ならない、管理局から配られているサプリメント以外はな」
「それでもいい!この辺の地域の管理局の奴らサプリメントを俺達に配らずに自分達だけで独り占めしているんだ!」
男の言葉に私の足を止めた。管理局にそういうことをする人間がいるという報告は聞いていたがそれよりも気になったのが
「私がその管理局の奴等だったら、お前死んでるぞ」
管理局の配るサプリメントなくてはもはや人間は生きていくことはできない、管理局に逆らうことはこの世界での死を意味する
「あんたの紋章、奴等のとは違うもっとお偉いさんがつけているものだ、わかるんだ」
確かに私の紺色のコートに刺繍された紋章はこの地域のものとは色が違う、ここのような僻地にいる管理局は管理局の中でも一番低い位を示す茶色であるが私は管理局本部の人間でありその中でも特殊な遺伝子管理者と呼ばれる立場であるため紫色をしている、それを知っている人間は少ないはずなのだが
「詳しいな、だが管理局の悪口をあまり言わないほうが長生きできるぞ」
私は振り返りそう言うと雑嚢からサプリメントのビンを取り出すと男に向って放り投げる
「さっすがお偉いさんは話が分かる!あ、俺がそうゆうことに詳しいのは情報屋やってるからで名をドニチエコ、ドニーって呼んでくだせぇ」
「呼ぶつもりはない」
再び踵を返し私は歩き出す、先ほども言ったが私には時間があまりないのだ
「いやちょっと待ってよぉ!名前、君の名前教えてよ!」
「翠歌だ、満足か」
「翠歌ちゃん!いい名前だ!!でも情報屋としてはまだ気になることあるんだよ、そのなんだっけ君が探しているなんとかの種子っての」
「カカオの種子だ」
「そうそれ!それって美味いの?」
パッと顔を輝かせながら矢継ぎ早に質問してくるドニーに対して私の歩く速度はどんどん早くなる
「味は───知らない、管理局のデータベースだと『ちょこれぃと』と呼ばれるものの材料になるらしい。それは甘くて少し苦いと聞いた」
「苦いのかぁ、それはあんまり食べたくないなぁ」
「・・・・・・っ!」
残念そうに項垂れるドニーを他所に私は何かを違和感を覚えその足を止めた
この人を惹き付ける様な甘い香り、だがそれが食べ物に飢えた人間をおびき寄せる奴等の手口だというのは認識している
「あれ?どうしたの翠歌ちゃん?」
「五月蝿い、黙れ、私に近づくな!!!」
叫びと共に私は後ろにいるドニーを蹴り飛ばす。それは苛立ってのことではない、私の足元乾いた砂漠の砂が異常な盛り上がりをみせたからだ
「っってぇ!!!いきなりなにするんだよ翠歌ちゃ・・・えええっ!!!」
地面を勢いよく転がりながらも顔を上げたドニーが思わずその盛り上がった砂山、そしてそのなかに見える異形の生物に叫び声を上げる
「カテゴリーエラー!」
盛り上がる砂山から飛び降りながら私は叫ぶ。
「クケクケクケクケクェェェェヤァァァラァッァァ!!!!」
奇怪な声と共に異形の生物の姿が露になる。身の丈人間である私の六倍あろかという胴体に六つの顔、六つの右手、六つの左手、六つの右足、六つの左足が合わさった異様な姿におもわず嫌悪感を覚える
「な、なんだこの化け物は!?」
「情報屋という割には知らないのね。こいつはカテゴリーエラー、管理局の警告を無視して遺伝子異常生物を食べた人間の末路よ」
「これ人間かよ!」
「クックックッ!ニンゲン、ニンゲンニンゲン!!」
ほとんどの顔がだらしなく涎をたらしどこを見ているのか分からない中、一つの顔がじっと私達を見つめ声を上げた
「カンリキョクは、管理局は───遺伝子異常生物を食べるなと警告しているが俺は思う。もっともっともっともっともっと食べるべきだと!!そうすればほらこんなにニンゲンは強くなれる!!ヒヒッ、ヒヒヒッ!!」
カテゴリーエラーが両腕を振り上げ巨体に似合わず俊敏な動きで砂を巻き上げ飛び上がる
「う、うわぁぁぁ!」
「ちっ、叫んでいる暇があれば逃げろ!」
腰を抜かしているドニーに向って私は叫びながらカテゴリーエラーから距離をとり雑嚢から剣装布を取り出す
「人間のカテゴリーから外れた者っ!」
「外れた?ちっがぁぁぁぁぁぁぅっ!越えたんだよ俺はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
地響きのようなカテゴリーエラーの怒号と共に跳躍ひとつで私の前に着地すると力任せに両腕を振り下ろす
「腕が六本で六倍パンチ!!両腕あわせて十二倍のイリョクダァァァァ!」
「翠歌ちゃん危ない!」
振り下ろされた腕が地面を殴り砂漠の砂がカテゴリーエラーの身の丈ほどまで舞い上がる。確かに当たればただでは済みそうにはないな、当たればだが
後方へ跳躍すると剣装布から両刃の投剣を数本取り出しカテゴリーエラーへと投げつける。投剣は神速をもってして空を切りカテゴリーエラーの肉体を貫かんと飛ぶ、が───
「ろぉぉぉぉぉく倍の防御力!!きくかぁぁぁぁぁっ!!」
カテゴリーエラーは両腕を振り回しいともたやすく投剣を弾き飛ばす
「クックックッ!管理局とはいっても所詮、しょせぇぇぇぇん小娘だな!!ここんところ遺伝異常生物しか食べてなかったから美味しくいただいてやるぜぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「管理局をなめないほうがいい」
長い銀髪が風に靡き真紅の双眸がカテゴリーエラーをじっと睨みつける
「───絶対必中武装“ソードビッカー”」
「はぁぁぁぁぁ?何をいってやがっ───」
次の瞬間、声を上げていたカテゴリーエラーの首が飛んだ
「すげぇ!弾かれた剣が戻ってきた!」
「あばぶるびゃぁぁぁぁぁっ」
残りの頭達が涎を垂れ流し身体を大きく揺らしながらこちらに向ってくるがもはや勝負は決していた
「あぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
弾かれた投剣は空中で向きを変え、再び神速をもって次々とカテゴリーエラーの身体を刺し貫いていく
何本目かの腕が、頭が飛び宙に血しぶきを巻き上げたところでカテゴリーエラーは身体機能を停止───死んだ
「管理局すげぇ!!なになに翠歌ちゃんその武器なに!?」
先程まで腰を抜かしていたドニーが打って変わって嬉しそうにこちらに駆け寄ってくる
「くっ、邪魔だ!全く時間が無いというのに」
そう言ってドニーを振り払うと私はどこまでも続く砂漠を見つめ深く息を吐く
「えーなに?翠歌ちゃん、なにをそんなに急いでるんだい?俺に協力できることだったら言ってよ」
「今日はバレンタインだ───」
私は消え入るような声で呟いた
つづかない
「あんめいどおぶおーるわーくす 後編」
「あの御主人様、私“五臓六腑家御主人様を学校へお連れする専属メイド”彼方と言います、今からなら高速戦闘機を飛ばせばまだ間に合いますがいかがしましょう?」
「いやごめん、今日はどうしても決着をつけないといけないことがあるから休むよ」
「そうですか、それでは“五臓六腑家御主人様の代わりに学校の授業を受ける専属メイド”椎名を派遣しておきます」
そう言うと彼方は一歩後ろへ下がると深々と頭を下げ踵を返し帰っていく
俺の代わりに授業を受けるだって?おい、大丈夫かよ明日から俺学校行けるのか?なんか学校に着いた途端囲まれて『おいー昨日代わりに来た子紹介しろよー』とかなんとか言われそうで怖い、しかし今は決闘集中しないと俺は雑念を捨て少しはなれたところでなぜか一人仁王立ちしている加絵奈へと向きなおす、それとほぼ同時に辺りに大音量の声が響き渡る
『さぁ!こちら五臓六腑家敷地内室内第十三コロシアムよりお送りしております御主人様対メイド長の世紀の一戦が今まもなく始まろうとしています!!実況は私“五臓六腑家御主人様の決闘を実況する専属メイド”うるめがお送りいたします!!そして解説はもちろんこの方“五臓六腑家御主人様の決闘を解説する専属メイド”棗さんです!今日はお願いします棗さん』
『はいーどうも、解説専属メイド、略して解専メイド棗でございますぅ。』
『えー棗さん、今日の決闘どう見ます?』
『そうですねー御主人様は朝から一発発射してますからね、賢者モードで冷静な判断が期待できますね』
『おお、流石棗さん最新の情報を仕入れての分析流石です!』
いつの間にかコロシアムには観客に実況解説、ジュースやお弁当の売り子にチケット販売のダフ屋まで揃って大掛かりなものになっていた
「それで決闘ってなにをやるんだよ」
俺はこんな状況を生み出した張本人である“五臓六腑家御主人様が決闘をするさいの仕切り専属メイド”雅に少し苛立ちながら言葉を吐く
「いいでしょうそれでは今回の決闘をご説明します。まずは御主人様、メイド長様と一緒に戦っていただけるメイド達に登場してもらいましょう!」
雅が指を鳴らすとコロシアム内の照明がグッと落ち、ちょうど俺と加絵奈二人の背後にある扉にスポットライトが当たる
ああ、ちなみに今俺の周りにはメイド達はおらず俺一人だ。雅が決闘をする際の戦力分析として一旦俺からは離された、そりゃそうだアクセルさん達は心強いが着せ替え隊のメイドたちがいたら決闘どころではないからな
『さぁ御主人様、五臓六腑大二郎様と一緒に戦うことになったメイドはぁ!!ご存知、“五臓六腑家御主人様の警護部隊専属メイド”隊長アクセル、ラピスラズリ姉妹です!!』
実況の声の中スポットライトに照らされながら先ほどまで僕の周りを警護していてた三人は歩を進め僕の前にやってくる
「アクセルさんが俺と一緒に戦ってくれるんですか?」
「ええどうやらそのようですね、しかしご安心ください御主人様。その御身は必ず私達がお守りいたしますので」
「・・・ラピス、頑張ります」
「ラズリ達が居ればどんな敵にも負けませんよ!」
アクセルさんの言葉に双子のラピスとラズリが続ける、アクセルさん達は実に戦力として心強いのだがこの決闘の場ででてくるってことに一概の不安が過ぎる
確かこの決闘を仕切っている雅は言っていたはずだ、この決闘は「お互いの戦力を分析し平等な戦力で」と、つまりだ俺の味方にアクセルさんみたいないかにも強そうな人がついているってことは当然加絵奈のほうにも───
『それでは次はメイド長加絵奈様と共に戦うメイドが入場します!!』
実況の言葉と共に加絵奈の背後の扉にスポットライトが当たる、先ほどからずっと仁王立ちで黙っている加絵奈の様子が不気味で余計に不安を煽る
『登場するのは“五臓六腑家暴徒鎮圧専属メイド”シリウスだぁー!!』
暴徒鎮圧?また仰々しい役職のメイド名前だと思ったが彼女がゆっくりとその姿を現したとき、思わず俺は心の中で思った
───これはまずい、と
出てきたメイド───いやもうこれメイドと言っていいのかわからないが180cmはあるだろうという長身に腰まで伸びる黒髪、そして両手には鋼鉄製のブレードのようなものとハンドガンをそれぞれ装備しており目元は黒いバイザーので覆われているので表情こそわからないがその彼女を取り巻くオーラというか殺気のようなものは俺みたいな素人でもわかるほど恐ろしいものだった
一応なのかメイド服着てるけどもうこれメイドじゃないよ!
「御主人様、気をつけてください彼女───シリウスは私が知っている中でも最高クラスの兵(つわもの)です」
「そ、そんなに強いの?」
「見てもらえばわかりますがこちらの戦力が三人に対してあちらは一人、現に私も彼女と戦場で幾度か戦ったことがありますがまず勝てたことがありません」
淡々とアクセルは事実を述べているけどその言葉に俺は気が気でならない
鼓動が異常に早くなり冷や汗が頬をつたっていくのがはっきりと分かった
「いや、それって俺達勝てないって事じゃないの?」
「それは早計でございますよ御主人様、確かに戦場で私はシリウスに勝てた試しはありませんでした。敗北しおめおめと逃げ帰るしかありませんでしたが今は状況が違います。ここは戦場ではなく、決闘と言えど命を取り合うこともない言わばゲーム───ならばこちらにも勝機はあります」
「ほ、本当なのかよ」
あくまで冷静なアクセルの言葉に思わず不安な俺の気持ちを代弁する言葉が出る、ただそれでも彼女の視線はじっとシリウスと加絵奈を見つめていた
「お願いねシリウス、大二郎に厳しい現実を教えてやるんだから」
「御意」
加絵奈の言葉にただ一言漏らすとシリウスは静かに頷く、悠然としたその様子にむこうはむこうでなにか余裕のようなものさえ見える気がしてならなかった
「それでは双方舞台を彩る役者が揃ったところでルール説明と行きましょうか」
雅が分厚い本をペラペラと捲りながら俺と加絵奈のちょうど間に立つ
「今回のルールは簡単です、お互い持った銃火器で双方のキング・・・つまり御主人様かメイド長に命中させたほうが勝ち、当然アクセルさん達の持つベレッタM12ペネトレイーター、シリウスさんの持つハンドガンベレッタM8000クーガーには実弾ではなくペイント弾を装填させてただいていますが当たるとそれなりに痛いので覚悟してください。そして人数的に加絵奈メイド長様の方が少ないため“五臓六腑家暴徒鎮圧専属メイド”シリウスさんには追加武装を容認してあります、簡単に分かるのは鋼鉄製ブレードに特殊移動装置“ローラーブースター”などですね、これら全てを含めてお互いの戦力をイーブンといたします、ただしあくまで勝敗を決めるのは銃火器による命中のみなのを心してください」
「あのアクセルさん、ブレードはわかるけど特殊移動装置ってのは?」
「ローラーブースターというのは彼女バイザーと連動したブーツ底面に装着された球状物質が随時高速回転することにより瞬時に自己の思った方向へ移動できるものです、恐らく正面からただ銃を撃つだけでは絶対に当たらないでしょう」
「まじかよ」
「逆に連携攻撃でなら命中させることのできる可能性は有ります、こちらのチームワークが勝利の鍵となるのは間違いありません」
そりゃ確かにアクセルさんの意見は最もだけど言うが易し行うがなんちゃらだ
はたしてあのメイドとは形容しがたい悪魔じみたシリウスを倒すことが出来るのやら
「それでは次に大事なことを決めましょう、それはもちろん勝者が敗者になにを命令するかです!!」
雅が高らかに宣言するとコロシアム内は一気に歓声が大きくなる。それに満足そうに雅は頷くと更に続ける
「さぁではお聞きしましょうかまずはメイド長西条院加絵奈様、貴女が御主人様に勝った場合いかがいたしましょう?」
「そうねぇ、ここまで盛り上げるのなら徹底的にしたいからなぁ」
腕を組みじっとこちらを品定めするように加絵奈はこちらを見つめている
ううっ、なんかそういう風に見つめられるのは嬉しくないな
そんな俺の気持ちを知ってか知らずかしばらくして加絵奈はポンっと手を叩き
「それじゃあ“私が大二郎の代わりに御主人様になる”ってのはどうかしら。そして下男として徹底的に扱き使って現実の厳しさを教えてあげるわ」
可愛いらしい口からなんとも恐ろしいことを言ってのけた
「ま、まじかよ」
「なるほど、中々面白い話ですね。では次は御主人様五臓六腑大二郎様が勝利した場合はいかがいたしましょう?」
「え、ええっとそれじゃあ」
雅に話を振られたじろいながらも俺は頭を巡らして考える。どうすれば加絵奈の奴に一泡吹かせることが出来る?
───『言ったわよ、あんたの専属メイドなんかしてたらいつ押し倒されるんじゃないかと不安で仕方なかったわよ、本当にキモイんだから!』
加絵奈のことを考えたら思わずさっきA棟執務室で言われた言葉を思い出した
くそっ、なんて胸糞悪い。しかし、しかしだいいことを思い出させてもくれた
俺は一度大きく深呼吸をして言葉を告げる
「俺が勝った場合は“加絵奈を押し倒す”それでどうだ?」
「えっ押し倒すってちょっと!」
「ふふふ、それは面白いですね。いいでしょうそれで行きましょう」
動揺する加絵奈をよそに雅は楽しそうに手を叩く
『えー実況担当うるめですが、これは面白い展開になってきましたね棗さん』
『そうですねー流石御主人様高校生ということもあって盛ってますねー』
「では御主人様対メイド長の決闘を始めます!!」
そんなこんなで雅が高らかと宣言し俺と西条院加絵奈の戦いは始まったのだった
「押し倒されるなんて絶対に嫌なんだからっ!頼むわよシリウス」
「御意。メイド長様の御身を守り、敵対勢力を殲滅する。ローラーブースター起動!」
心配そうな加絵奈の言葉にシリウスは鋼鉄製のブレードとハンドガンベレッタM8000クーガーを構えあくまで機械的に答えると辺りに金属が高速回転するような音が響き渡る
これが高速移動を可能にするって言うローラーブースターってやつか
「御主人様、この決闘中たとえ動悸、息切れ、気付けが起きようとも私の指示に従ってください。戦場では冷静さを欠き慌てふためいた者から───死にますので」
「は、はい善処しますです!」
鬼気迫る様子のアクセルさんに俺は思わず語尾がおかしくなりながらも答えた。死ぬとかいうか普通、いやというかアクセルさん戦場での話が多いけど何者なんだろう
「では、ムーン1より各員へコード000を行う、キーワードは───」
「・・・・・・“有無を言わさず”」
「“先手必勝!”だよっ!」
アクセルさんの指示で俺の左右にラピスとラズリがベレッタM12ペネトレイーターの銃口をシリウスではなく少し離れたところに居る加絵奈を方へ向ける
「標的目標“西条院加絵奈”、各員掃射開始!!」
「えっちょっと、そんなのありなの!?」
うろたえる加絵奈を無視してアクセルさんの掛け声とともにラピスとラズリが銃の引き金を引く、俺はこのとき思わず心の中で「勝った!」と思っていた
そりゃそうだ、だってシリウスの装備はハンドガンと鋼鉄製のブレードでこちらは機関銃遠距離戦ならこちらの方が圧倒的有利。
そしてゲームの勝利条件である「俺か加絵奈のどちらかにペイント弾を命中させる」これは加絵奈に一発でもペイント弾が当たればその時点で俺の勝利が確定する
先手必勝は理にかなった作戦、そう思っていたんだ───目の前で起きた異様な光景を見るまでは
「賢しいぞアクセル!!我が力を舐めてもらっては!!」
弾丸が命中するよりも速くシリウスは加絵奈の前に滑るように高速移動すると手にもった鋼鉄製のブレードを振るう
その行為を無駄な行動と安直に捉えていた俺はすぐに唖然とした、シリウスが振るったブレードはラピスとラズリの銃撃を正確に弾き飛ばし加絵奈を間に位置する左右の壁に鮮血と似た赤いペンキが見事に次々と飛び散っていく
「う、嘘だろ・・・」
「情報解析完了、攻勢にでる!」
思わず狼狽する俺を前にシリウスはブレードで銃撃を弾きながら何かをこちらへと投げる
「あれは・・・・・・くっ、まずい!各員掃射停───」
ゴロゴロと転がるその鉄の球体のようなものがなんなのかそれはすぐにわかることになった。それは俺達の目の前で勢いよく爆ぜ、アクセルさんの叫び声をかき消す激しい音、そして灰色の煙を巻き起こし一気に俺達を飲み込む
「うっ、これは」
咳き込みながら俺は目を開くが視界は煙で遮られ近くに居るだろうアクセルさん達の姿すらはっきりとしない
「煙幕手榴弾を使ってくるとは・・・各員御主人様から離れるな!」
「ムーン2・・・・・・了解」
「ムーン3了解ですよ!」
ラピスとラズリが俺の身体に密着するように後退する、柔らかい彼女達の身体を押し付けられているこの状況、普通だったら嬉しい状況なんだけど今は全然嬉しくはない
「ふん、女の子に守られて情けないわね!シリウスさんやっちゃってください!」
攻勢に出て余裕が出たのか加絵奈が俺を挑発する、だが今の俺には加絵奈の挑発に反論する余裕すらない
くそぅ、大体アクセルさん達を雇ったのは加絵奈お前じゃないか!女の子の背中に隠れて怯えるしかないってのは確かに情けないけど俺が出て行ったところでシリウスにブレードで真っ二つにされるのは目に見えているからしょうがない
「御意、敵勢力を殲滅する」
視界が遮られている中ローラーブースター回転し地面に当たる金属音が激しくなる、耳を劈くようなその音はまるで死神が鎌を研ぎながら近づいてくるような恐怖感すら覚える
「敵対象、五時の方向!ラピス!」
「・・・了解!」
アクセルさんの指示とシリウスが攻撃を仕掛けたのはほぼ同時だった
金属と金属が激しくぶつかる音と共にラピス、シリウスの声がする
「・・・・・・御主人様はやらせない!」
「我が一撃を受け止めるとは雑兵にしてはできるな、だが───」
耳を劈く銃声が辺りに響き渡る。
多分ラピスさんがシリウスのブレードを受け止めたんだろう、と思う。俺には全く何も見えないこの状況で強敵シリウスの一撃を防いだ、それだけでも彼女達の能力は俺とは比べ物にならないものを持っているんだと思う
しかしその後起きた銃声はまぎれもなくシリウスのものだった
「くっ・・・すいません御主人様、アクセル隊長」
殺傷力のないペイント弾だとしても当たればそれなりにダメージはあるのかラピスは痛みを堪えながら細い声を上げ崩れ落ちる音がする
そのラピスの言葉で彼女がシリウスとの戦いに負けたことを俺は悟った
「よくもラピスお姉ちゃんを!!」
「待てラズリ!冷静さを欠くな!」
アクセルさんの怒号を無視しラズリがフルオート射撃で闇雲に銃を乱射する
───戦場では冷静さを欠き慌てふためいた者から───死にますので
思わず俺の脳裏にはアクセルさんが決闘前に言った言葉が過ぎる、その刹那
「戦場で肉親の名を呼ぶとは愚か者のすることだ!」
シリウスの叫びと共にラズリのフルオート射撃をかき消すただ一発の銃声が響き渡った
「そんな何時の間に背後に・・・っ!!」
結果は歴然、その言葉と共にラズリは力なくその場に崩れ落ちる。アクセルさんの部下であるラピスとラズリを意ともたやすく倒すその技量、もはやシリウスの強さには圧倒されるしかない
「次に仕留めるのはアクセル、貴様だ」
「くっ、このままでは・・・・御主人様、一旦後退します!」
「あ、ああ!」
アクセルさんに言われるがまま俺は半ば駆け足で後ろ向きに全力疾走する
いや本当はもうこのまま走り去りたいくらいだよ
「ぶはっ!はぁ・・・なんとか表に出られたか」
息を切らしながら地面に転がり込みなんとか俺達は灰色の煙幕から逃れることができた、いや多分あの状況シリウスならいくらでも俺達を仕留めることはできたんじゃないかと思う
『おーっと煙幕からでてきたのは御主人様とアクセル隊長のみ!御主人様チームの有無を言わさぬ先手必勝から一転この状況は予想だにしない展開です!』
『えー御主人様は早く謝ったほうがいいですねー』
実況の声がコロシアム内に響く中俺は体勢を戻しながらアクセルさんに問いかける
「な、なんで今シリウスは攻撃してこなかったんですか?」
「御主人様、シリウスは戦場では“殲滅女王”と呼ばれるほどの戦闘狂、一度戦場に出れば敵軍を一人残さず倒さねば気がすまない人です。彼女の思考からすれば今は御主人様を倒すことよりも私を倒すことに意識を集中しているのでしょう」
「それって俺はいつでも始末できるってこと?」
「言い方は悪いですがまさにその通りです、しかし彼女がそのつもりならば付け入る隙はまだあります!」
俺のほうを振り返ることなくアクセルさんは銃を構えたまま煙幕をじっと見つめ答える
「付け入る隙っていっても正面から撃ったって当たりっこない、連携攻撃をするにもラピスさんやラズリさんがいないんじゃ───」
「戦闘状況解析終了。───いえ、まだこちらには御主人様がいらっしゃいます。チャンスは一度しかありません私がシリウスの攻撃を抑えます、その隙を見計らって私が御主人様に銃を渡しますのでそれでシリウスを!」
アクセルさんのいうことはわかる、わかるんだけどこのシリウスやアクセルさん達が戦う中に俺が入ってどうなるものか不安が過ぎる
俺になにができる?俺なんて所詮親の金ではなんでもできるけど俺自身じゃなんにもできやしないんじゃないか?
「大丈夫です、加絵奈メイド長は私を雇う際言っていました。『あんたの御主人様は一見頼りないけどいざとなったらキッチリ決める奴なんだから』と。私は弱い主人には就きません、メイド長のその言葉を信じているからこそ───ここにいます!」
あ、あいつそんな事言っていたのか?それはちょっと意外と言うかなんというか
しかしそれをアクセルさんに問いかけるよりも先にアクセルさんは銃を構え叫んだ
「御主人様!シリウスが来ます警戒を!!」
「あ、ああ!」
アクセルさんの背中に隠れながら俺は煙幕の先をじっと見つめる。灰色の煙幕の中からゆっくりとそのシリウスの姿が浮かび上がっていく
「アクセル、貴様と戦うのは幾度のことか。貴様は戦場で会う度、戦う度に強くなり私を高揚させる。何時我を越える力を持つかな」
シリウスはゆっくりと一歩づつこちらに銃とブレードを構え近づきながら静かに言葉を吐く、それに対しアクセルさんは警戒するように銃を構え叫んだ
「───私はただの敗北者でしかない、だが今回は違う。私と、そして御主人様の二人でシリウスお前を倒す!」
その叫びと共にアクセルさんは手に持ったベレッタM12ペネトレイーターのトリガーを一気に引きシリウスへ向ってペイント弾が飛ぶ、しかし───
「貴様ならともかく後ろに構えている腰抜け御主人様になにができる!!」
シリウスのローラーブースターが金属を削るような音とともに高速回転しアクセルさんの弾丸を縫うように素早く左右へとかわす
ていうか一応俺御主人様だよな?なんか今かなり貶された気がするんだけど
もっと言えばほんの数時間前まで可愛いメイドさんに囲まれたっていうのに本当なんだよ、これ
「アクセル、貴様の命貰ったッ!!」
そんなことを考えているうちにシリウスは一気に銃弾の雨を潜り抜け飛び上がるとアクセルさんに向ってブレードが振りかぶった
「今です御主人様、銃を!」
アクセルさんはそのタイミングを待っていたかのようだった。言葉と共に振り返ることなく銃を後にいる俺へと放り投げる
「う、うおっ重っ!!」
放り投げられた銃を身体で何とか受け止めたが勢いで一瞬よろめく、だがそんなことよりも目の前で今にもシリウスのブレードがアクセルさんの眼前に迫っていくその光景に俺は声を張り上げた
「アクセルさん、危ない!!!」
「お心遣いありがとうございます御主人様、ですがご心配なく!」
しかし俺の焦りよりもアクセルさんは冷静だった、振り下ろされるシリウスのブレードを前に構え───
「意を一にし心を専らにす!」
振り下ろされたブレードを前にアクセルさんの赤い髪が揺れる、その瞬間思わず俺は目を逸らしてしまった
「くっ、まさか我が剣を素手で受け止めるとは!!」
しかし次の瞬間声を発したのは.シリウスのほうだった
ゆっくり目を開けるとアクセルさんがシリウスのブレードをものの見事に真剣白羽取りで押さえ込んでいる
「慢心し、功を焦ったなシリウス!ここは戦場ではない、今の一撃でもし私を切り伏せれたとしてもお前の敗北は揺るがない!!今です───御主人様!!」
「あ、ああっ!」
惚けていた意識がシリウスさんの声で一気に覚醒する、そしてすぐに理解したチャンスは今しかない!と
俺は銃の重さにふらつきながらも周り込み銃口をシリウスに向ける
「ちぃっ!」
「いっけぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
シリウスがハンドガンを向けるよりも速く俺は引き金は引けた───と、思う
「うっうおぉわっ!」
引き金を引いた途端に起こった激しい音と振動に思わず情けない声と共に腰を抜かし地面へと倒れ込んでしまったので正直命中したかなんてわからなかったが
「いってぇ・・・」
「御主人様、お見事です。お手をどうぞ」
「ありがとう、ってアクセルさんその服!」
手を差し伸べてくれたアクセルさんのメイド服にはまぎれもない真赤なペイント弾が付着している、もしかして俺オウンゴール決めちゃいました?
「ええ、戦場ならば私も一緒に死んでいましたね」
そう言うと珍しくアクセルさんは笑みを零した
「“私も”ってことは?」
「御主人様のおかげでシリウスを倒すことが出来ましたよ」
アクセルさんの手を掴み起き上がると片膝をつき苦渋の表情を浮かべるシリウスの姿が目に入った、それでやっと俺が・・・いや俺達がシリウスを倒したことを理解した
「やった、やったのか俺!?」
「その通りです。ですが私がお供できるのはここまで、あとは御主人様お一人で───」
アクセルさんはそう言うとゆっくりと視線を今まさに晴れていく煙幕へと動かす、俺もそれに合わせて視線を動かした
そうだ本当の意味でまだ戦いは終わっちゃいない
「ありがとうアクセルさん、ここまでこれたのもアクセルさんのおかげだよ」
「いえ、御主人様こそ御武運を」
敬礼するアクセルさんに背を向け俺は歩き出す、そして晴れていく煙幕の奥から加絵奈の姿を捉える
「えっ、嘘でしょシリウスが負けた?」
今回の決闘、半ば途中から傍観者となってしまっていたメイド長西条院加絵奈は起こっている状況に戸惑いながら後ずさりする
「残っているのは俺と加絵奈、お前だけだぜ。ペイント弾それなりに痛いらしいから俺としては撃ちたくないんだが?」
俺は加絵奈に向って銃を突きつけながらゆっくりと近づいていく。いくら加絵奈がスポーツ万能といってもこればっかりは避けるなんて無理だと思う、俺がちゃんと撃てれば
「う、ううっ。私の、負けよ」
結局加絵奈はしばらく悩んだ後消え入りそうなくらい小さな声で自らの敗北を認めた。それと同時に静まり返っていたコロシアム内にいままでにない歓声が沸き起こる
『いやぁ今回の決闘は思わず手に汗握る白熱した戦いでしたねー棗さん』
『そうですねーえっとこれから先起こることに関しては、えー『この物語に登場人物は全員18歳以上です』と私から付け加えさせていただきたいですね』
「ええまぁ御主人様もメイド長も高校一年生ですがー18歳以上ということですね、わかります。では五臓六腑家第十三コロシアムより実況担当うるめと解説担当棗さんでお送りしましたーではまたの機会を!」
「───とまぁこれで御主人様の勝ちが決まったわけでして、となるとメイド長西条院加絵奈様、御主人様のご要望どおり押し倒されていただきます」
雅が淡々と告げる中、加絵奈は俺から離れるようにどんどん後ずさりする
「え、ちょ、ちょっと待ってよ、本気なの?」
「当たり前だろ、さぁて覚悟してもらおうか」
銃を捨て両手の指をわしゃわしゃと動かしながら加絵奈との距離を狭めていく
間違いない、今の俺を人は『変態』と呼ぶだろう、だがもうそれでもいい
「はいはいはーい、お待たせしました“五臓六腑家ベットメイキング専属メイド”愛華がお二人のためにベットをご用意しました!」
「ちょっと、余計なことしなくていいわよっ!」
円形をした淡い桃色のベッドが加絵奈の進路を阻むように配置される。どっからどうみてもこれラブホテルのベットじゃないか
「それではごゆっくり御主人様、メイド長っ!」
満面の笑顔で愛華は一礼するとそそくさとその場から離れていく
「ありがとう!いやぁいいメイド達だなぁ、加絵奈も見習って欲しいよ」
「い、いやよそんなの!というかこれ以上近づかないでよバカ!キモイ!変態!」
やけくそになったのか罵詈雑言を加絵奈は飛ばすものの足が震えていてもうその場から動くことが出来ないみたいだ、俺は罵詈雑言を聞き流しながらゆっくりと加絵奈に近づきその細い肩を両手で掴むと───
「加絵奈ぁぁぁっ!」
「きゃぁぁぁっ!」
覆いかぶさるように加絵奈をベットへと押し倒した。
淡い桃色をしたベッド、光沢のあるシルクのシーツに加絵奈の長い黒髪が広がる。それと同時に加絵奈の使っているシャンプーの薔薇の芳醇とした香りが俺を包みこむ
薄いピンク色の唇に高校一年生とは思えないほどの二つの胸のふくらみ、魅力的な肢体に思わず興奮し息を飲んだ
「うっ、うう・・・やめ、てよ・・・」
加絵奈は俺から目を逸らし小さく呟く、その目には薄っすらと涙が滲んでいる
なにをしているんだ俺、好きな子を泣かすなんて最低じゃないか
「加絵奈・・・ゴメン」
思わず言葉が漏れる。加絵奈の涙を見て俺は思わず自分のやっていることの愚かさに気が付いた
「確かにその決闘する前はムカついて本気で押し倒してやろうと思ったけどその、なんだ無理矢理はダメっていうかなんていうか」
「でも私をメイドにしたのってこうゆうことしたかったからでしょ!」
シーツをギュッと掴み叫ぶ加絵奈の言葉が胸に突き刺さる
「ち、違───わないか。そりゃ加絵奈みたいな綺麗で可愛い子とこうゆうことしてみたいってのはあるよ、それはある!」
俺は支離滅裂になりながらも必死で言葉を選ぶ
「でも本当はずっと寂しかったんだ、だから傍にいて欲しかった、いや誰でもいいって訳じゃなくて一杯いればいいっわけでもなくてだ!だからそのつまりあれだ俺の専属メイドは加絵奈さえいてくれればいいんだよ!」
自分でも何を言っているのかわからなかった、ただ加絵奈にはなにかが伝わったのかじっとこちらを見つめると小さく「そうなんだ」と呟き
「大二郎ならいいよ」
と静かに目を閉じた。
頬を少し赤らめ唇を差し出す加絵奈に一瞬驚きを隠せないかったが自然と吸い込まれるように加絵奈の顔に近づいていく
「加絵奈・・・」
「んっ・・・」
加絵奈の口から吐息が漏れ、顔に触れる、心臓の鼓動が回りに聞えるんじゃないかって言うくらい緊張していた
そしてあと数センチで加絵奈の唇に触れるそんな距離で───
なぜか加絵奈の唇に触れるよりも先に加絵奈の拳が俺の腹をおもいっきり叩き込まれた、それはもう抉るような強烈なボディブローで
「あがっ・・・い、いてぇ!!」
「おっと危ない危ない」
思わず声を上げ倒れ込む俺の身体をするりと器用に避けると加絵奈はベットから抜け出す
「か、加絵奈お前どうゆうつもりだよ!」
「どうゆうつもりって今思い出したのよ。あんたが決闘で勝ったら押し倒すんでしょ?それではい、押し倒されてあげたからこれで終了よね、そっから先のことなんて思えば私やる必要ないし」
スカートの埃を払いながら加絵奈はいつもの調子に戻ってきっぱり言い放つ
さっきまでちょっと泣いていたくせにすぐこれだよ
「ちょ、てかさっきの『大二郎ならいいよ』って言ったじゃないか」
「そ、そんなのあんたを騙す演技に決まってるでしょ!てかなに?さっきのプロポーズみたいなの、はっきり言ってキモイんだけど!」
「だからキモイっていうなぁ・・・俺は御主人様だぞ!」
腹を押さえながら俺は反論するが意に返さず加絵奈はスカートを翻すと
「はいはい、私に御主人様って言わせたいなら精々頑張ることね!!」
と小悪魔っぽく微笑んだのであった
終わりました
全作品観てるけど毎回オチがわからないし(まとめはわかるけど)
BGMでRPGツクール3を使っているところが懐かしくてたまらないわ
最近のだとこれの二つ前、妹が作った痛い RPG「えろえろクイーン おっぱいの章」が面白かったよ
無論タイトルは完全に関係ないけど
そんなわけで、いざ決戦のバトルフィールドへ!!
本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!
名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
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