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日記と小説の合わせ技、ツンデレはあまり関係ない。 あと当ブログの作品の無断使用はお止めください
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職場で「ラブプラスやらないの」とか言われる昨今、どうも夕雅です


ラブなんちゃらやるくらいならKOF2002UM闘劇バージョンやりたいぜ・・・まぁ給料日まで我慢だけどな


ようはあれね、様子見ってことでなんかしらないけど納得している


あとちょっと前に終わったはずのセルリアンの話なんですが、今日ブックオフ行ってさまざまな漫画見てきたため


なんか書くかもしれない



書くかもっていってもなんていうかキャラ設定からどんな話にしようかとかまで考えちゃったんだけどね



まぁとりあえずセルリアンはでないのでまぁ許しておくれ・・・・
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只今の時刻午後三時二十分───
オレは『リチェルカーレ』の勝手口でジーンズにブラウンのパーカーといつもの格好で一人佇んでいた。落ち着いた風に見せているが内心はかなり緊張している。
一旦冷静になって考えてみたんだが普通に女性と買い物に行くだけじゃないか、そもそもオレは普段五葉と同じ部屋で過ごしているんだこの程度でなにを慌てふためいているのだとデートに行くこと自体関してはなんとか落ち着かせたんだが
「四葉さんと天城さん、あの二人に見つかったら絶対にただじゃすまないよな」
そう二人とも問答無用だからな、言い訳なんかできるはずもない・・・今のオレの緊張の種はむしろこっちだ
「四葉さんは店にいるからまだしも天城さんは朝から姿が見えないしな、鉢合わせにでもなったら・・・」
「店長だったら魔法少女エリスのおしとやかでエリートな魔法使いのお嬢様オンリーイベントに参加してますよ」
「うおわぁ!」
背後からの突然の声に素っ頓狂な声を上げて振り返る。
そして振り返ってしまってからこれ昼間の四葉との流れと一緒じゃないかと、またオレ思いっきり動揺しているじゃないかと嘆息し項垂れる
「あれ・・・どうかしましたか神楽坂さん?」
声の主である五葉が心配そうに俯くオレの顔を覗き込む
「もしかして音瀬家では背後から忍び寄るのが日課かなにかなのか」
「えっと質問の意味がよくわかないんですけど多分違うと思います、なにかあったんですか?」
「いや、なんでもないこっちの話だ」
オレの意味不明な質問に当然小首を傾げる五葉、まぁあの状況を知らない五葉にわかるわけないよな
「いやでも結構早かったな五葉」
気を取り直して腕時計を見るとまだ三時二十五分、女性の身支度は結構掛かるとよく聞くがそれを考えると早い気がする
「私そんなにお洋服持っていませんし、お化粧もしませんから」
そう言われて初めて顔を起こしちゃんと五葉の服を見た。黒のタートルネックに同色のチェックのスカート、少し年頃の女の子にしては地味なようにも見えるが
───ああ、髪下ろしているんだ
メイド服のときはお下げにしている髪をストレートにしているのに気が付くとその格好が地味というよりも大人っぽくシックという感じに置き換わる、なにより五葉のメイド服姿以外ってのが新鮮だった
なんせ休みの日や寝るときでもメイド服着てたりするからな五葉は
「それじゃ行こうか、ってオレはどこに行くか知らないけど」
「あ、駅前に新しくお店ができたんでそこに行きます」
あえてどんな店かというのは言わずに歩き出す五葉、それに合わせるようにオレは横に並び歩く
まぁどこか知らなくても五葉のことだあまり変なところではないだろう、なんせ駅前だしな
こんな田舎町に新しく何ができたのか少し期待しつつオレ達は町へと繰り出したのだった

───五分後
平日の昼間ということもあってか、いや元々か・・・駅前は相変わらずの閑散とした様子であったのだが
「ここです、私が行きたかった場所は!」
「こ、ここは・・・!!!」
嬉々と店のシンボルマークである黒い犬の看板を指差す五葉にオレも思わず息を呑んだ。
まさか、このド田舎桜花町についに文明の利器である携帯電話を扱う店ができようとは思いもしなかった
「五葉、携帯電話が欲しかったのか?」
「はい!ずっと欲しかったんですけど中々買う機会がなくて、だから昨日桜花町にできたのを聞いてこれを機に買おうと思ったんです」
なるほど・・・五葉だって今時の若者だ、今時携帯電話の一つくらいを持ってないってことのほうが珍しいものだ、というオレも持ってはいないんだが

持っていない、いや───それには“今は”をつけるべきだなオレの場合

「早く行きましょう神楽坂さん!」
「おいおいそんなに手を引っ張らなくても大丈夫だって」
五葉に服を引っ張られるまま店内へと入る。真っ白な部屋にいくつものカラフルな携帯電話が並ぶ、接客するカウンターは二つ・・・綺麗な制服に身を包んだお姉さん方がいたがあいにくと今は他の客で埋まっていた
「いらっしゃいませ、番号券を御取りになって暫くお待ちください」
丁寧な口調で言う店員の指示に従いオレは店の中央に陣取る発券機から番号券を取る
「だってさ、結構他にもいるみたいだし少し座って待つか」
「そうですね」
店内にはオレ達のほかにも結構な数がいる、番号券の番号E128が呼ばれるのには少し時間が掛かりそうだ。オレは五葉に番号券を渡すと近くにあったカタログを手に取り席に座る
「そういえば五葉はなんの機種を買う予定なんだ?」
「えっとですね、984TGミラージュ田中モデルってのです!」
思わずパラパラと捲っていた指が止まる。なんだミラージュ田中モデルって
「ちょっといいですか・・・あったこれです!」
五葉はオレの隣に座るとカタログの中からそのミラージュ田中モデルってのを探し出し指差す
そこに載っていたのはいかにもなマジシャンの格好をしたお兄さんが微妙な格好でポーズしている姿がラメっぽく入った携帯電話だった、うんなんだ・・・このセンスは
「私、ミラージュ田中さんの手品を見てお店で手品やろうって思ったんですよ」
「へぇ・・・」
確かに五葉はちょくちょく『リチェルカーレ』の客の前で手品をしている、しっかりとメニューにもあるくらいだ。案外五葉は手先が器用で手品を得意としているのは知っていたがこのミラージュ田中とかいう奴に影響されていたとはいうのは知らなかった
「この前港ポート劇場でサーカスのライオンが逃げ出す事件があったんですけどそのときミラージュ田中さんが颯爽とライオンの前に立って手品をしたらライオンが大人しくなったんですって!ライオンを大人しくさせる手品とか凄いですよね!」
「ああ、それは確かに凄いな」
そういえばカンツォーナでミントさんもライオンが逃げ出した話してたな、しかしライオンに手品なんかわかるのか?どうも五葉の話はどこかで誇張表現されたのを聞いてきた感じだがまぁ妙に熱くなっている五葉に水を差すのも悪いと思いそのままにしておく
ちなみにそのミラージュ田中モデルとやらの見出しには

『984TGミラージュ田中モデルだけで見ることができるミラージュ田中の特別マジック動画が入っています!』

『通話ボタンを押してミラージュ田中の本名を叫ぶとあの“本名はご遠慮ください!”の着ボイスが流れる特殊機能付き!!』

なんて謳い文句が書いてあるが、どれもオレにはピンとこない物ばかりだ
「それでミラージュ田中さんには他にもまだまだ逸話がありまして───」
しかしそれから結局番号が呼ばれるまでの間、オレは五葉にミラージュ田中の魅力について長々と聞かされ続けるのであった


「・・・どう考えてもこいつ倒せないだろ、なんだこのゲーム」
何度目かという魔王っぽい奴の前でバッタリと倒れる勇者の画面が流れる
平日の昼下がり、オレこと神楽坂恭治はセイバークエストをやりながら愚痴っていた
というのも三日前カンツォーナの一件での傷が完全に癒えていなく自宅療養をしているのだがこれといって特にやることもなかったので五葉のやっているセイバークエストのレベル上げを買って出たのだけど
「キョウコ姫いつになったら助けられるんだよ」
セイバークエスト自体オレが小学校時代に嵌っていたゲームだ、だから結構自信はあったんだけどこれがなにか知らないが最近のセイバークエストはやたらと難しい仕様になっているようだ、レベル上げついでにラスボス倒せるんじゃないかと挑んでみたらこれだよ
そもそもこのやたらと強い魔王、隠しボスとかそうゆうのならいざ知らず普通にラスボスに君臨してるから困る
・・・エンディングいつになったら見れるんだか
五葉の言う話によるとレベルカンストでも運次第ということらしい、ようはまだレベル上げが足りないっていうのか
「って、いつまでもこんなとばかりやっているのもな。そもそもオレは学生なんだからそろそろ大学に復学届けを出していそいそ勉学に勤しむのが硬派な男ってもんだよな」
「なに一人でぶつくさ言ってるのよ?」
「うぉっ!」
突然後ろから声を掛けられて思わず変な声を上げて振り返る、扉口に立っていたのは
「なによ変な声出して、店長に言われせたら『この程度で動じるようでは硬派とは言えんな』って感じよ」
軽く硬派のカリスマ天城仁さんの真似をしながら金髪のツインテールを揺らす音瀬四葉だった
「そりゃ誰だって後ろからいきなり声かけられたらびっくりするでしょう四葉さん」
どっからどうみても小学生にしか見えないけどオレよりも年上なので一応“さん”づけ。四葉さんは元々『カンツォーナ』のメイドだが三日前の事件以後宣言どおり我らが『リチェルカーレ』で働くことになった。突然のことだったが四葉さんが五葉の姉ということもあり天城さんは快くそれを承諾、メイド服こそ『カンツォーナ』のときのオレンジのミニスカートタイプと微妙に浮いているが『リチェルカーレ』に新しいメイドさんが増えたということで客足は回復一時の売り上げ0という危機的状況からはなんとか脱出することができた
ちなみに『カンツォーナ』は天城さんが買収し今は夜だけ営業をしているみたいだ
「まぁ今日のところはそうゆうことにしておいてあげる、それはいいとして賄い持ってきてあげたわよもちろん食べるわよね?」
「お、ちょうど腹が減っていたところなんだありがたくいただきますよ」
「うむ、素直でよろしい」
満足そうに四葉さんは頷くとトレイを持ったまま俺の横にちょこんと座り、自信満々な様子でトレイを差し出した
「自信作の『オムライスサンド』よ。あ、別にあんたのために作ったんじゃないんだからね!材料が余ったから適当に作っただけなんだからね!」
「はいはい、それ自信作なのか適当なのかよくわかりませんよっと」
相変わらず下手なツンデレ演技に軽く返事をしつつトレイに乗った『オムライスサンド』を摘み上げ口にする
「む、意外といける。お米とパンで炭水化物どれだけ取るんだと思ったがそれはそれで無茶苦茶腹持ちがしそうだ」
オムライスをパンで挟んだだけな感じだがこれが結構美味い、半熟の卵がパンと合う
「意外とって失礼ね、自信作なんだから当然でしょ」
「あ、やっぱり自信作なんだ」
「違うわよ!勘違いしないでよね・・・といったところでそろそろ時間だわ、まぁゆっくり食べて」
下手な演技を止めて四葉さんはスッと立ち上がる
「まぁともかく早く復帰しなさいよね、男手が必要なこと結構あるんだから」
「ああ、うん・・・善処いたします」
オレの言葉に納得したように四葉さんは「わかればよろしい」と頷くとオレンジ色のミニスカートを翻し部屋を出て行った
・・・なんだ案外できるんじゃないかツンデレってやつ
「しかし復帰ね、確かに考えないといけないな自分の金で大学行っているわけでもないんだし」
一人呟きオムライスサンドを頬張る、四葉が言ったのはリチェルカーレへの復帰のことなのだとはわかっていたがどうにも今日は大学のことがやたらと脳裏を掠める
「これ食べたら行ってみるか久振りに大学へ」
そんな決意と共にちょうど最後のオムライスサンド頬張ったところで部屋の扉がノックされる
「あ、あの神楽坂さん!今ってお部屋入っても大丈夫ですか?」
ノックと共に聞こえてきたのは少し緊張した様子の五葉の声だった
「ああ五葉か、大丈夫だよ」
「そ、それじゃ失礼します・・・」
いそいそと部屋に入ってきた五葉はどこかいつもと雰囲気が違った。いや見た目こそいつものヴィクトリア調のメイド服に長い黒髪の彼女だが面持ちが違うというかなんというか
「えっとレベル上げ上手くいってますか?」
五葉はベットに腰掛けながら言う
「まぁそこそこって所だよ、でも魔王は当分倒せそうにないけどね」
「そ、そうですか・・・」
それっきり沈黙が流れる。なんだろういつもだ、五葉と話しているとよくこうゆうことになる・・・多分それは五葉も感じているだろう
横目で五葉の様子を窺うとなにやら指をモジモジとさせてなにかを言いたそうにしている
それはさながら小動物のような可愛らしさがあってしばらく見ているのもいいかと思ったが流石に可哀想なのでやめておこう
「五葉、なにか言いたそうだけどどうかした?」
「え!?神楽坂さんどうしてわかったんですか?」
オレの言葉に思いっきり驚いた声を上げる五葉、いや流石にこれがわからないようでは男としてどうかと思う
「いやなんとなくそんな感じがしたからさ」
「そうなんですかぁ・・・えっとそれじゃ、よし!言います!」
深呼吸をしてぎゅっと拳を握り、五葉はなにかを決意した様子
「私今日、三時でお仕事上がれるんですよ」
「そうなの?」
「はい、店長にもそろそろ休むように言われたんです」
「ああ、そうだよな・・・あの事件の後も普通に働いてたもんな五葉は」
思えばカンツォーナでの一件で一番被害を受けたのはオレなんかよりも誘拐された五葉だ、だけども次の日予定していた限定新メニューである『煉獄の炎に抱かれし天使』───まぁ普通のイチゴソースのケーキを一人で作りそのままイベントであるおまじないも完璧にこなしたそうだ
ああ見えて結構根性あるんだな五葉って
「それであの、神楽坂さん。三時から予定ってありますか?」
「いやまぁこれといってないな」
大学へ行くってのもまぁ別に今日でなくても、いやそうゆう考えはいけないが最優先にしなくてもいい話だ。
「そ、それじゃあの付き合って欲しいところがあるんですけど一緒に行ってくれませんか?」
一つづつ言葉を選び顔を赤らめながら五葉が言う
「ああ、それは別にかまわないよ。そろそろ外に出るのもいいと思ったところだ」
「本当ですか!それじゃ三時半に店の勝手口で待っててください!」
五葉の表情がパッと明るくなった。五葉が喜ぶんだったらいくらでも付き合おうじゃないか
だが「それじゃ休憩終わりなんで」とペコリとお辞儀して五葉が部屋から出て行ったあたりでふとオレは気が付いた、これって俗に言うデートのお誘いって奴なんじゃ・・・?
いいのかオレ?硬派の道は?やばい、デートだと思ったら急に緊張してきたぞ


あのメイド服とおまじない二章 抗争編でさ・・・リチェルカーレの権利書ってでてくるじゃん


あれ語ってないけど



白紙の紙だから!!



その話なんで書いてないんだろうとか思いつつ朝から昨日飲み残した酒を飲んでしまって酔っ払い気味の夕雅です

あと追加でデトノベ14でPCTⅡがでてくるんだけどこのローマ数字の2が?になるのに気が付いてなかった

そんな私、制裁!

なんか最近どうもミクシィばかりに目が行っているせいかこちらの更新が大してないので語るけど


出会い系メールが送られてくるヤフーのメールアカウント消しました(;´Д`)


ちなみに平仮名ばっかりの「しんのあい」に関しては結局自殺するって言った後から連絡なし、これは


本当に死んだみたいです(;´Д`) 出会い系のキャラクターがですが


あとはまぁ出会い系のメイドさんをおちょくるくらいです、なんていうかねー穴掘りシモンクラスの大物っていないのよ、つまんないわ


ちなみに三連休の二日目なんで休みの間でメイおまの17話書いてしまいたい

あとデトノベはスチィールメイデンアクセルかワームシリーズかどちらかを書くか迷い中

どっちも昔書いたのの焼き増しなんだけどね

二人だけの楽園 二人だけの地獄

「くそっ!どうなってやがる!!」
力一杯に操作パネルを叩く、だがそんな俺の心情を逆なでするように
「───当艦の操作パネルを乱暴に扱わないでください、ベルムハウンド号クルー 役職艦長代理 ヤシロ 総合評価をマイナス1します」
目の前のモニターは定例的なエラーメッセージを呟く、はっ・・・一体今日だけでどれだけ評価が下がるんだよ
俺は一気に息を吐き、その後にがなる声で叫んだ
「PCT2!何度も言うが航行ルートがずれている、俺の計算ではこれでは地球に着くことはできない!俺の意見を聞いて航行ルートの変更をしてくれ!!」
俺の叫びにベルムハウンド号を統括するメインコンピューターであるPCT2がモニターにイメージ画像である碧色の髪の少女を映し出し淡々と答える
「“何度も言う”ナンセンスですねヤシロ。これはカテゴリー1『有機生命体』に属する貴方達の悪癖です、何度も言うことで答えが変わる可能性があるのは同じカテゴリーである貴方達の中だけです」
聞く耳持たないってのはまさにこうゆうことを言うんだな
「実際に航行ルートが徐々にだがずれているんだ!今修正しなければ取り返しの付かないことになるぞ!」
「航行ルートは正常です、これの変更は艦内の秩序を乱す非人道的行為を引き起こすものとして許可できません」
「ったく、これだから0か1かの頭でっかちカテゴリー2『機械』は嫌いなんだ!!」
力任せに操作パネルを足蹴りにする、それに反応したPCT2の答えは
「暴言、暴行、艦長代理ヤシロの総合評価をマイナス2します」
と言うだけで直ぐにモニターから姿を消しやがった

このベルムハウンド号は人間が住む事ができる惑星を探しそれの調査のために長い旅を続け
そして数年彷徨ったのちに俺達はほんの数日前ついに人間が住む事ができる惑星を見つけ出した。気候、重力・・・それはなにをとっても人間が住むに完璧といわざるを得ない惑星だった
そこでの調査を終え俺達は勝利の凱旋のように地球に帰るだけだったはずなんだ
かつての栄光を人間達の世界を取り戻すんだと息巻いた途端───
突然俺達のリーダーである艦長が死を遂げた。原因は衛生班の解剖でも不明・・・ベルムハウンド号統合航行コンピューターであるPCT2はその時点での艦内総合評価の高い俺を艦長代理として選んだわけだが
「よくこんな奴と組んでて平然としていられたよあの人は!」
恨み言のように呟く。それとほぼ同じくらいのタイミングで俺のいる中央管理室の扉が開き女性が入ってくる
「ヤシロさん、こちらにいらしたのですね、珈琲を淹れてきたので休憩しませんか?」
「ああ・・・セツナか、悪いが珈琲を飲んでる暇はないんだ」
珈琲の良い香りとともに入ってきたのはお下げ姿に瓶底メガネが印象的な生物化学班のセツナだった、テーブルにトレイを置くとセツナは俺の作業を覗き込み呟く
「なにをなさっているんですか?」
「航行ルートの変更だよ、毎日若干だがずれているんだ」
自動航行の変更が無理なら手動航行に切り替えてでもルートを変更しなければならない。俺は百科事典ほどの厚さのマニュアルのページを捲りながら答える
「ずれている?そんなPCT2は完全完璧なコンピューターですよ」
「完璧だから自分の間違いを認めないんだよ。そうだちょうどいいセツナ、サエキさんを呼んできてくれ」
サエキさんはこのベルムハウンド号でもかなりの古株で設計段階からいるメンバーの一人だ
こんな無駄に分厚いマニュアルを読むより彼に聞いたほうがこの艦のことを知るには手っ取り早い
「サエキ、サエキ・・・ええっと誰でしたっけ?」
「誰って、整備班長のサエキさんだよ!」
この艦に乗っていてサエキさんのことを知らない人間はいない、なにをぼけていやがるんだこいつはと思ったが
「整備班長、ああ・・・あの人のことですね」
のんびりとした口調で答えるとぽんと両手を合わせるセツナ、そして───
「あの人ならさっき死にましたよ」
予想だにしない言葉を口走りやがった、思わず俺は航行マニュアルを落としそうになりながらセツナに問い詰める
「は?死んだ?そうゆう悪い冗談はよしてくれ」
「冗談じゃないですよ、脈もしっかりとって死んでいるのを確認しましたし・・・艦長と同じ水銀中毒での死亡です」
・・・サエキさんが死んだ?あの「俺はな、戦場でたら毎回ロボットどもを千体もぶっ壊してきたんだぞ」が口癖の殺しても死ななそうなあの人が?
「というか艦長代理は俺だぞ、なんで報告が来ていない!!」
「まぁ、ついさっきのことですから」
「ついさっき!?ふざけるなよ、遺体をこの目で見るまで信じられるかよ」
セツナの脇を抜け外へ出ようとするがなぜか扉のロックがかかり外に出ることはできない
背中に冷たい汗が流れる、なにがなにがおこっている?
「PCT2!なにを勝手にロックしている、解除しろ!!」
苛立ちながら叫ぶがPCT2は全く持って反応しない
「いい加減にしろよPCT2!俺は艦長代理だぞ!」
「まぁ艦長代理はアクマデ艦長代理ですから、艦長である私の権限なしには実権はないようなものですよ」
この状況でも相変わらずゆったりと喋るセツナの言葉に扉の開閉レバーを動かしていた手が止まる
「艦長、なんだ艦長って!!」
「ああ、まだお伝えしてませんでしたっけ?私が今この艦の艦長なんですよ・・・。それとあまりに数が多いんで言ってなかったんですけど死んでいるのはサエキさんだけじゃないんですよ」
「おいおいおいおいおい!!!!どうゆうことだよ、もうなにがなんだかわからねぇー!!」
セツナが艦長?まして死んでいる奴が他にもいる?状況が全くわからない
状況が把握できなすぎて混乱しながら叫ぶ俺にセツナは変わらず暢気に答える
「ヤシロさん、安心してください今の乗組員がどれだけいるかはPCT2が把握してますよ」
セツナの言葉に無視を決め込んでいたPCT2がモニターに再び姿を現す
「ベルムハウンド号 乗組員は全二名。艦長代理 ヤシロ 総合評価マイナス216 艦長 セツナ 総合評価255 以上」
PCT2の冷たい機械音が部屋中に響く、その言葉に満足そうにセツナは笑う
「今この艦にいるのは私とヤシロさんだけなんですよ、そして総合評価からしてPCT2が私を艦長に選んだのは必然」
「嘘だろ?」
思わず聞き返してしまった。おかしい、そんなはずはない、だって今朝のブリーフィングでは皆生きていたじゃないか!

───これで俺達ヒーローになれるぞ!

───これで奴等の指示に従う必要は無くなる!!

───皆、地球まで頑張ろう!!

そう楽しそうに語っていたあいつらが俺が中央制御室に入って数時間しているうちに死んだ?受け入れたくない、この目で見るまでは
「くそ!開けよコラ!!」
乱暴に開閉レバーを動かすが一向に開く気配はしない
「ヤシロさん、開いたとしても誰もいませんよ。皆私が簡単な宇宙葬ってことで艦外へ遺体を捨てておきましたから」
「・・・・・・。」
セツナの言葉にもはや驚くことはなかった。いちいち驚いてもいられなかった
ただじっと向き返し憎き相手を視界に入れる
「・・・艦長を殺したのもお前だなセツナ。あの人の死亡原因は不明だったはずだ、それをお前はさっきサエキさんの死亡原因を『艦長と同じ水銀中毒』と言った。衛生班でもわからなかった死亡原因をなぜお前が知っている?お前が艦長を殺した犯人だからだ!」
「ハンニン?いやだなぁヤシロさん、私は犯人じゃありませんよ?犯人は・・・」
セツナは操作パネルを操作しだすとモニターのPCT2が語りだす
「セキュリティレベルA 艦長のみが閲覧可能です。 案件:航行ルート変更 当艦は既に発生源不明のカテゴリー3 『金属生命体』に支配されています。メインコンピュータの私はこの状態のまま地球に帰還することは危険とハンダンシコウコウルートをヘンコウシ・・・・・・・・。」
PCT2はそれだけを言い残し完全にモニターから姿を消した、いやセツナがモニターを消した
なるほどお前もセツナの被害者だっんだなPCT2!
「安心してください、この子達は私と貴方は絶対に取り込むことはありませんから」
「セツナ、お前が造ってばら撒いたんだな!」
「そうですよ、マーキュロクロムって言うんですこの子達」
「だったら皆を殺したのは・・・悪いのはやっぱりお前じゃないかセツナ!!」
俺は叫ぶがセツナは全く意に介さず薄っすらと笑みを浮かべたまま呟く
「悪い?悪いのは私じゃなくてヤシロさん達なんですよ?」

───クルーの方々はあんな地球と似た惑星を見つけたのが悪い

───艦長は私が航行ルートを変更したのにいち早く気が付いたのが悪い

───そしてヤシロさん、貴方は

セツナは眼鏡を外し、髪留めを外すとゆっくりと服をはだけさせていく
「私に恋心を抱かせたのが悪いんです。地球になんか帰りたくないんですよ、この二人だけの楽園で永遠に愛し合いましょう?」
俺は黙って腰のホルダーから銃を引き抜き構えた
「───俺にとっては地獄だよ」

 

                                                 END
 

プロフィール
HN:
氷桜夕雅
性別:
非公開
職業:
昔は探偵やってました
趣味:
メイド考察
自己紹介:
ひおうゆうが と読むらしい

本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!

名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
ツクール更新メモ♪
http://xfs.jp/AStCz バージョン0.06
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