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『幻想少女』(仮題)
ACT4 紗雪
静寂を打ち破るように拍手をした人物がゆっくりと姿を現す
その姿は長く伸びた黒髪に深紅のメイド服、彼女は悠然とスカートを翻し私達とエルグランデ達の丁度間に立った
「あ、あいつも八豪傑の一人なのか?」
「いえ・・・八豪傑でもなければ私達の仲間でもない、おそらく彼女は」
今にも倒れそうな状態の玲人さんの問いに私は首を横に振った、それとほぼ同じにエルグランデがその女性に向って叫び声を上げる
「あああん!?てめぇ邪魔するんじゃねぇよ!!ぶち殺されてぇのか!!」
「エルグランデ様、こいつ・・・人間です」
「なんだぁとぉ?」
乙葉の言葉にエルグランデが驚きの声を上げる。乙葉と同じ“メイド”である私も同じものを感じた、黒縁のメガネに深紅のメイド服を着ているが彼女は人間だ
「人間如き雑魚がでしゃばってくるんじゃねぇ殺すぞ!」
エルグランデが叫ぶが意に介さず彼女は拍手を続けながら口を開いた
「能力者対能力者の良いデータが取れたわ、ありがとう。ついでといってはなんだけど漁夫の利で───」
深紅のメイド服の彼女はゆっくりと右手で私と玲人さんを、左手でエルグランデと乙葉をそれぞれ指差す
「“氷”の能力か“光”の能力、どちらか頂きましょうか?」
彼女のその言葉に一瞬で場に緊張が走る
「・・・ただの人間になにができるっていうんだ」
そう独り言のように玲人さんが呟いた。ほんの先程まで彼は人間だった、その言葉は苦しみや恨み言のようにさえ聞こえてくる
けど事実、人間である彼女になにができると言うのだろうか?
「“御主人様”、そして“メイド”・・・それに対抗する力を人間は手に入れたのよ」
「はぁ?虫けらが偉そうにしやがって邪魔するならてめぇから地獄に行きやがれぇ!!」
エルグランデが光の槍を片手で振り上げ彼女に突撃を仕掛ける、それに合わせるように彼女は静かに息を吐くと向きを直しスカートのポケットから黒色の金属でできたコネクタの取り出し・・・
「八豪傑、スティールメイデンの初陣として不足はないわ!」
メガネを外すと、腰についたバックルへと挿入する
「スティールメイデン起動!」
───It transforms to the Steel Maiden
彼女の声と機械音声がほぼ同時に辺りに響き渡り身体が光り輝いてく、その異様な光景に攻撃を仕掛けようとしていたエルグランデもその動きを止めざるをえなかった
「なにが起こるっていうんだ・・・」
玲人さんの呟きに答える言葉も見つからずただ事の成り行きを見守るしかない
「気をつけてくださいエルグランデ様、妙なエネルギーを感知しています!」
警戒するように前に立った乙葉が叫ぶ中、光が収まったとき現れた彼女は先程とは少し様相が変わっていた。深紅のメイド服は変わっていないが腕や胴、ロングスカートに黒い装甲板が頭にはメタルブラックのバイザーがついておりいかにも戦闘用といった出で立ち
「へっ、ちょっとはやれるようだが・・・八豪傑をなめるなよ!!」
「貴女にも味あわせてあげますわ、痛みの快楽を!」
彼女の姿を見るや否やエルグランデが隻腕の腕を振るい乙葉が腕に巻かれた包帯を解き両腕を大きく広げ一気に飛び掛った
「捕らえさせていただきます!」
乙葉の腕から一気に包帯が伸び彼女───スティールメイデンの身体に巻きつくとその動きを封じ締め上げていく
「・・・・・・くっ」
無言で抵抗するスティールメイデンに更に乙葉は締め付けをきつくしながら叫ぶ
「今です、エルグランデ様!!お仕置きを!!」
「ヒャーハッハッハ!!!言われなくともまとめて仕置きしてやるぜぇぇ!!!」
エルグランデの周囲に一気に光弾が浮かび上がっていく、そこで初めてスティールメイデンとなった彼女が口を開いた
「残念ねエルグランデ、貴方の敗因はメイドを私に近づけすぎたことよ!」
その言葉と共に彼女は自らの腕に巻きついた包帯を掴むと強引にそれを自分のほうへと引き寄せ───体勢を崩した乙葉の口元を鷲掴みにする
「なっ───むぐぐっ!!」
「───さようなら」
ぽつりと呟いた彼女のその一言であっさりと勝負は決してしまった
なにが起こったか、それに真っ先に気が付いたのは乙葉の“御主人様”であるエルグランデ
「な、バカな乙葉の能力が・・・消えやがった!?」
エルグランデの周囲に浮かんでいた光弾が一気に消え去ったのだ、そのうろたえる様子に満足したのかスティールメイデンは乙葉から手を離す
「てめぇ・・・乙葉になにしやがったぁぁぁ!!!」
「え、エルグランデ様・・・な、ないんですよぉ~!」
「なにがねぇんだよ乙葉!!」
苛立ちをみせるエルグランデに乙葉が身体を震わせ頭を抑える
「わ、私の中に・・・私の中にある・・・能力が・・・き、き・・・!!」
「彼女の“光”の能力を奪わせてもらったわ、これで貴方達は戦えない」
動揺する乙葉の代わりにスティールメイデンが静かにそう、告げた
・・・“メイド”の能力を奪う能力、それを聞いた途端思わず寒気がよぎった
まさかそんな能力を持った人間がいるなんて、しかもその能力があのベルトに装着したコネクタによるものだとすれば考えは止まらない
あのコネクタは量産されているのだろうか?能力者と人間では今でも人間のほうが多い、彼らがこの装備を量産しているとすれば八豪傑、いや私達能力者だってただではすまないのではないだろうか
───そして現に、今八豪傑の一人を戦闘不能にいたらしめた
「乙葉の能力を奪っただと、ふざけるんじゃねぇ!!」
スティールメイデンは答えることなくゆっくりと腕を振り上げる
「エルグランデ・・・貴方は多くの人間の命を奪った、その罪は重い」
彼女の背後に先程までエルグランデが使っていた光弾が浮かび上がる、その様子にエルグランデの表情に明らかな焦りが見える
「自らの力を持って罪を償ってもらいましょう!!」
腕が振り下ろされ無数の光弾が一気にエルグランデへと襲い掛かる
「くっ、エルグランデ様ッ!」
その瞬間乙葉がエルグランデを庇う様に身を呈した、光弾が容赦なく乙葉の背中に当たり爆ぜていく
「あががががががっ!!」
「ちぃ、乙葉!!」
光弾を受けメイド服の背中が破れながらもふらつく乙葉をエルグランデが隻腕で抱きとめる
「エルグランデ様・・・ち、能力を失っ・・・ても、私お・・・・役に立ちます・・・・ので捨てないでくだ・・・さいっ」
「・・・くそ、こうなっちまっては撤退しかねぇか」
エルグランデは服にしがみ付く乙葉を目にして苦虫を潰した様子で言葉を吐く
「そう簡単に撤退できると思っているのですか?」
光の槍を構えいい放つスティールメイデン、戦況は明らかに彼女にあるのは間違いない
エルグランデは腕を失って手負いの上にボロボロになった乙葉を抱えている逃げるのは容易ではないはずだ
・・・だがそれでもエルグランデは不敵な笑みを浮かべスティールメイデンを挑発する
「腹立たしいが今の俺ではてめぇには勝てねぇようだ。てめぇどこの何者だぁ?」
「・・・それを知ってどうする気かしら?」
「はっ、いずれ貴様らの組織をぶっ潰しててめぇをバラバラに引き裂いてやるからよ!後悔させてやるぜぇ・・・八豪傑を敵に回したことをな!」
不気味に笑うエルグランデだがスティールメイデンは意に返さず失笑で返す
「やれやれスティールメイデンが完成し量産されればお前達など取るに足らない存在だということを理解できていないようですね、そんなに知りたければ教えて差し上げますよ。私は対能力者殲滅機関AMD所属 円月凛。ああ───貴方達の自己紹介は必要ないです、全て調べつくしてありますから八豪傑の七番目、光のエルグランデそして・・・」
そう言うと凛は一度だけこちらのほうに視線を動かしすぐにエルグランデへと向きなおす
バイザー越しだったが凛はこちらを見て笑みを見せた気がした
「氷のメイド、姫城紗雪。隣の御主人様は・・・ふむ流石にデータにないわね」
「・・・あってたまるかよ」
玲人さんが吐き捨てるように呟く、当然だこの人はこの戦いに私が無理に巻き込んでしまったようなものだ。
しかし対能力者殲滅機関AMD・・・そんなものの存在がこの世界にあるというのは思っていなかった、人間と共存を望んでいる私達の組織でも人間の存在は“守らなければいけない存在”と過小評価していた。それが独自の戦闘方法を編み出して能力者に対抗してくるとは
「ヒャハハハッ!対能力者殲滅機関たぁ大きく出たなぁ人間!!面白ぇ・・・!!必ず貴様の息の根を止めてやるからな、それまでせいぜい調子にのっていることだ!!」
「エルグランデ、貴様逃げられると思っているのか」
光の槍を構え叫ぶ凛に対してエルグランデが懐からなにかを取り出す
「クククッ、これ以上はてめぇの思い道理にはならねぇってことだ人間!!」
エルグランデが持っていたそれを力一杯に地面に叩きつける
それが閃光弾というのを理解したしたときには既に辺りは激しい閃光に包まれた後だった
「ヒャーハッハッハッ!!!さよならだスティールメイデン、そして氷のメイド!!」
「くぅっ!エルグランデ!!」
激しい閃光の中エルグランデの叫び声だけが響き渡った───
「大丈夫ですか玲人さん?」
「ああ・・・なんとか」
閃光が収まった頃にはどうやって逃げたのかわからないがエルグランデの姿はそこになかった
「やれやれね、こうもあっさり逃げられるとは思ってみなかったわ」
凛は静かに呟くとこちらのほうへ視線を動かす、戦いはまだ終わってはいないその緊張感だけは感じていた
「・・・やるしかないのか」
「そうとも限らないわ、貴方達は運が実に運が良い」
凛はそう言うと装着していた黒いコネクタを外した、一瞬の光の後に彼女の深紅のメイド服から装甲板が霧散していく
「変身を解いた・・・?」
「あいにくとスティールメイデンはまだ未完成でしてね、長時間の起動には耐えられない。だからこれ以上私は戦うつもりはないわ」
凛は懐からメガネを取り出しかけると私達に背を向ける
「貴方達はエルグランデとの戦いでは優位に立っていたように見えたけど実際はその逆、あのまま長期戦になれば明らかに負けていた」
「だから助けたとでも言いたいのか?」
玲人さんの言葉に凛は少し笑うようにつづける
「単純に厄介なほうから倒したというだけ、こうやって変身を解いたところで貴方達は私を攻撃することもできないほど弱っている、安心して帰還できますしね」
凛は背を向けたままゆっくりと歩き出す
「まぁ助けたと思ってもらっても構わないわ、けど勘違いしないことね・・・私達のAMDは人間と能力者との共存なんて望んでいない。いずれ貴方の能力も奪わせてもらうわ、それじゃまた逢いましょう」
私達はその場を離れていく彼女の後姿をただ見つめているしかなかった
風が辺りにざぁっと吹き荒れる、それはこれから始まる戦いを予感させるような冷たく物悲しいものだった
つづくのこれ?
現在状況
所属 能力 メイド 御主人様
? 氷 紗雪 玲人
AMD 奪 円月凛 ?
八豪傑 ? ? ?
光 乙葉 エルグランデ
? ? ?
? ? ?
? ? ?
? ? ?
? ? ?
? ? ?
全員の名前も能力も決まってるんで早いところ上の表を埋めたいところだね、特に4人目とラストのキャラ付けがなかなか決まらず苦労したよ・・・
そんなわけで乙葉の出番を増やしたら玲人の出番が全くなかったことに気が付いた今日この頃、まぁいいか
スティールメイデンは昔書いたやつの流用、これを元々別のところでギャグでリメイクして使う予定だったんだけど
なんかいつの間にかこの『なんでメイド服着てるの?』ってところだけは絶対に説明しないわけわからない話にでることになってしまった、反省はしていない
ギャグの予定だったからメイド服とおまじないにもちょっとでてるしな・・・繋がってるのかって感じです
まぁ元々のスティールメイデンはカクテルパーティないの劇中劇?みたいな感じであった作品で友達のスキルマスターに登場するメイドさん、ルミカが携帯電話で変身する話。
物質の魔力情報をダウンロードして別の物にインストールすることができるキャラなんだけど変身したところで戦闘能力は変身前と変わらないというそんな設定、ようは頭で戦うキャラ
凛さんが変身するスティールメイデンはちゃんと強くなります、よかったね
まぁそれにともない能力者の追加要素として御主人様とメイドがリンク(能力展開)しているときには御主人様の身体能力が上がります、いやなんとなくね
あと最初はメイドさんは能力展開だけで戦わないつもりだったんだけど今回の乙葉みたいに技で戦います
ようはスタンドと鉄球みたいな感じだね
それでもエルグランデが弱いが大丈夫か?
→大丈夫だ、問題ない
エルちゃんは攻撃力一辺倒なキャラだから、しかも遠距離タイプだから近距離じゃ弱いのよそう思ってよ
あいつ能力者になる前なんてイギリスのロックバンドのボーカルですよ
大体八豪傑の七番目なんだから弱くていいじゃん、弱くなくてどうするよ・・・倒せないと困るよ、主に私が
でもまぁあれね、意外と弱いよ八豪傑・・・どれくらい弱いかといえば神無月の巫女のオロチ衆くらい弱いな
あいつらは本当毎回やられるだけだからなぁーしかも八人いるっぽくみせて七人しかいないしなー
まぁ八豪傑もポンポン死ぬよ、でないと終わらないしね!!
あとこの話は考え方が極端なやつばっかりでることにします
八豪傑は「人間全部殺して能力者だけの世界をつくろうず」
だし
AMDは「能力者全部殺して人間だけの世界をつくろうず」
だしね
紗雪ちゃんの組織だけは一応「人間と能力者で共存するよ!」
なわけだけど今後どうなるのかは・・・まぁ頑張れ私!
まぁ紗雪ちゃんは初登場があれだったけど本当はもっと冷徹なキャラだったはずなのよ、氷のメイドの異名があるくらいだしね・・・しょうがない、しょうがない
とりあえず玲人→紗雪→玲人みたく交互にいってるけどまぁすぐに崩れます
AMD自体は昔別の作品で作った組織名をそのまま使っちゃった!
玲人がネガティブなのは結構続きます、そして共存派が好きとか言っちゃうと・・・そのうち悲しいことになります
流石に捻くれた夕雅では共存派が生き残るような展開はしないのですねー
玲人はちゃんと活躍します、大丈夫です、今回なんて基本エルグランデと凛との対決なんで「やべ、玲人喋ってねぇ!!」と慌ててポツリポツリと呟く役追加してやってるだけなんで大丈夫!!
夕雅的にはこればっかり書いてるほうが大丈夫じゃないけどね!!
本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!
名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
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