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日記と小説の合わせ技、ツンデレはあまり関係ない。 あと当ブログの作品の無断使用はお止めください
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「神楽坂殿は硬派の中の硬派な男ですぞ!」
小太りというかほぼメタボな体系に真っ赤なセーター、そして黒縁眼鏡が光る男と
「だ、ダメですよ御主人様お隣にご迷惑です!」
必死に男を止めようと腕にしがみついているショートに切りそろえた緑髪が鮮やかなメイドさんだった。このメタボな男にオレは見覚えがある、『リチェルカーレ』常連の一人である陸奥だ。
「誰かと思ったら陸奥じゃないか」
「奇遇ですなぁ、こんなところで神楽坂殿と出会うとは」
陸奥はそう言うと大きな口で笑う。この陸奥って奴は『リチェルカーレ』の常連客の中でも
珍しくオレのことを悪く思っていない、いやむしろ天城さんから聞いたんだがオレが硬派を
目指すことに一種の憧れを抱いているらしい・・・喜んでいいのかは正直微妙だ。
「すいません御主人様、四葉さん!!すぐに戻りますので!!」
「あらミントちゃん、いいじゃない知り合い同士みたいなんだし一緒に飲みましょう」
陸奥の腕にしがみつきながらパニックになっている緑髪のメイド、ミントを四葉が諭す。
「で、でもいいんですか?」
「いいわよね御主人様?」
「オレは全然構わないよ」
ウーロンハイを一口口にして答える。これはこれは、願ったり叶ったりな展開じゃないか?
思えば常連客が『リチェルカーレ』に来てないってことはここ『カンツォーナ』来てるというのは自ずとわかることだったな、ここは陸奥がどんなサービスを受けるかを見させてもらおう。なんたって陸奥はあれで相当な金持ちだ、『リチェルカーレ』でも来るたびに諭吉を何枚と消費してくれる上客だからその点は期待できる。

「それじゃ改めて乾杯ですぞ!」
『かんぱーい!』
陸奥の音頭とともにこの飲み会?は再開された。繋げたソファにオレの右隣に四葉が左隣にミントが座り更にその横に陸奥が座る、これはもうキャバクラとしかいいようがないな。
「さぁさぁドンドン飲むんですぞ!ここの支払いは硬派な陸奥にお任せあれ」
『ありがとうございます御主人様っ♪』
そう言うとビールジョッキを一気飲みする陸奥。それを盛り上げるように四葉とミントが拍手するが・・・一つ言わせてもらうとそいつは硬派でもなんでもない気がするぞ陸奥。
「けど今時硬派なんて流行んないわよ」
一息ついて、四葉がグラスを傾けながら言う。
「流行るとか流行らないとかは関係ないって、男たるもの硬派でなくちゃダメなんだよ」
「硬派ってなんか恰好良いですよね、言葉の響きが」
「そうそう・・・って言葉の響きだけかよ!」
ミントの的外れたボケに楽しくノリツッコミをするオレがいる。いかん酒の力のせいか本来この女の子に囲まれて酒を飲むという硬派と真逆の状況を楽しんでしまっているな。
「そういえばこの前港ポート劇場にマジックショーを見に行ったんですけどそうしたら近くのサーカスからライオンが逃げ出して凄かったんですよぉ」
「ミントちゃん安心するですぞ!百獣の王ライオンはこの陸奥がやっつけてやるですぞ!」
なんかのアニメにありそうな構えを取る陸奥。それを尻目にオレは一旦冷静になりメニューを手に取る。
オレはこの『カンツォーナ』に偵察に来ているんだ、それを忘れてしまっては元の木阿弥だ。
さっきまで四葉がなかば勝手に注文してたんで初めてメニューに目を通すが『リチェルカーレ』よりも少し値段が高いこととアルコール類がある以外は『カンツォーナ』のオーダーにはあまり違いはなさそうに見える。いや、あるとすればメニュー名が普通にコーヒーとか紅茶ってちゃんと書いてあるな・・・。『リチェルカーレ』なんてただの水でさえ何故か『ウンディーネの涙』とかついてるから五葉から注文受けるときいまだ「これってなんだっけ?」と聞かないといけないときがあるからな。
値段が高いのは客一人一人に四葉やミントのようなメイドさんが常時付いてくると考えると多少高くてもお釣りが来るといってもいい値段設定だろう、こればっかりはメイドが五葉一人しかいない『リチェルカーレ』にはできない『カンツォーナ』の強みだな。
「よぉーし、そろそろミントちゃん超必殺メニューをお願いするですぞ!」
「は、はぁーい御主人様ぁ!」
陸奥が勢いよくその馬鹿でかい図体をソファに乗り上げ天を指差すとミントはまるで合わせたかのようにクルっと回りながら立ち上がり
「それでは御主人様、ミントの超必殺メニューお持ちしますので少々お待ちくださいませ」
と可愛らしくスカートの摘み軽くお辞儀をしてどこかへ行ってしまった。
「なんだよ陸奥、その超必殺メニューってのは?」
手元にあるメニューを見てもどこにもそれらしきものは書いていない。
「メニューには載ってないですぞ神楽坂殿!これは担当のメイドさんそれぞれが持つ特別なメニューなのでミントちゃん自身が作りに行ったんですぞ!」
「へぇ、なるほどね」
腰に手を当て自信満々で言う陸奥にそう答えてチラリと横目でオレの担当でもある四葉を見ると
「な、なんで私があんたにゃ・・・なんかのために超必殺メニューださないといけないのよっ!」
「そんなとこで噛むなよ・・・」
また下手糞な演技で“ツンデレ”って奴を演じていた。そういえばツンデレって結局なんなのか聞いてないからよくわからないままだが、まぁいいか。
しかしこのメイドさんがそれぞれ違うメニューを持っているってのは結構凄い、全員ってのは無理だけどミントだけじゃなくて四葉のも見せてもらうのは良いかもしれないな
「それじゃオレもその超必殺メニューをお願いしようかな」
「・・・わかったわよ、あんたが可哀想だから作ってあげるわよ!ちょっと待ってなさい!」
さっき噛んだのが恥ずかしかったのか顔を真っ赤にして口早に言うとそそくさと四葉はキッチンへ行ってしまった。
「大変だな、ここのメイドさんも色々と」
陸奥と二人っきりになってオレは思わず溜息をついた。
「そうですなーしかし神楽坂も大変だとこの陸奥、思いますぞ」
「なにがだよ」
「リチェルカーレのためとはいえ硬派な神楽坂殿がカンツォーナに潜入とは大変なことですぞ」
手にフライドポテトをがっしりと握りながらさらりと陸奥は言ってのける、思わずオレは飲んでたウーロンハイを噴出しそうになった
「し、知ってたのか?」
「神楽坂殿が来るような場所ではありませんから予想だったんですが、しかしその反応を見るに私の予想は正しかったみたいですなぁ」
「正しいのは結構なことだが、あのな・・・オレが大変なのは元を辿ればお前らが全然店に来ないからなんだからな。そこんところを理解して明日からはリチェルカーレにも来るようにお前からも周りの奴らに言っておいてくれよ」
そもそも『カンツォーナ』がオープンしようがこいつらが普通に『リチェルカーレ』に来てればオレがこんなところに来る必要もなかったんだからな
「まぁ言うのは簡単ですぞ、ただカンツォーナのサービスは魅力的ですからなぁ、私もなかなか抜け出せるかどうか」
「お待たせしました、御主人様♪」
陸奥の煮え切らない返答とほぼ同じくらいのタイミングでミントが帰ってきた。その手には
ミントの緑色の髪と同じ色をしたカクテルらしきものが見える。
「ミントの特製カクテル『りゅーいーそー』でございます。それじゃ御主人様、掛声いきますよぉ」
「待ってましたですぞぉ!!」
ミントと陸奥は招き猫のようなポーズをとる。それを見てああ、なんかまた始まるんだろうなと、そしてオレも四葉に頼んじゃったんだよなぁという不安感に駆られる。
ミントは陸奥の向かいに立つと「せぇのぉ!」と掛け声をかけて
『ねこねこにゃんにゃん♪ねこにゃんにゃん♪萌え萌えにゃんにゃん♪萌えにゃんにゃん♪』
と踊って見せた。
これはまずい、可愛いのは認めるがこれを陸奥の奴もやっているのを見てしまい物凄く引いてしまった。最近は五葉でメイド服には慣れてきたつもりだが少し動揺するとはまだまだ修行が足らないな
「萌え死ぬー!萌え死ぬー!!ミントちゃん萌え死ぬよーっ!!」
「ふん、それじゃ一回死んできたらどうかしら御主人様」
ソファでジタバタしている陸奥にオレの気持ちを代弁しながら四葉が戻ってきた。その手にもつトレイにはミントとは違いカクテルではなくオムライスが乗っていた。
「これが私の超必殺メニュー『四葉風オムライス』よ。今からケチャップでハートマークを書くからしっかりと目に焼き付けなさい!」
四葉はオレの前にオムライスを置くと膝立ちでケチャップを掴む。四葉風と言っているが見るからに普通のオムライスだ、中身が変わっているんだろう気になるところだ。
「べ、別に好きで書いているんじゃないんだからね!!」
時折そんなことを言いながら四葉は慣れた手つきでケチャップでハートを書いていく。
「以外と上手なんだな」
「以外ってのは余計よ、ほら」
四葉は綺麗なハートマークを書き上げるとスプーンで一口分を取り分けオレの口元に差し出す。
「はい、あーんして」
「ちょ、ちょちょちょちょっと待った!それは無理!硬派なオレにそれは無理!」
気が付いたら思いっきり動揺して後ずさっていた。まぁ後ろはソファの背もたれなんで実際には下がれていないんだが、それを見た四葉はなにを勘違いしたのか
「なによもう、私の気持ちも知らないでバカッ!」
と顔を赤らめていた、何故だ?これもツンデレって奴なんだろうか正直パニックになりそうだった。
「・・・神楽坂殿、デレましたですぞ!」
「デレましたねぇ」
そう語りながら陸奥とミントが微笑ましそうにこちらを見ているのがなにか無性に腹が立つ
。デレましたってなんのことだよ・・・陸奥の奴め、今度『リチェルカーレ』に来たらオレの超必殺メニューを食らわしてやるからな!
「ほらほら硬派なんだから食べなさいよ」
「とりあえず硬派って言えば良いみたいに言うなっての、そもそも硬派なオレがその・・・女の子に食べさせて貰うとかするわけないだろう」
「なぁにメイド喫茶に来て言ってるのよ、郷に入っては郷に従えでしょ?硬派な男の子だったら覚悟を決めなさい!ね、ミントちゃん」
「そうですよぉ御主人様頑張ってください!」
頑張れって言われてもなぁ・・・。しかし四葉の言うことはもっともだここで愚図ってるほうが全然硬派じゃない気もする。
こんな状況前にもあった気がするがやはり覚悟を決めるしかないか。
「一口だけだからな!勘違いするんじゃないぞ、やりたくてやってるんじゃないんだからな!」
「はいはい、なんで御主人様までツンデレになってるのかしらないけど」
四葉はぐぐぃっとスプーンを差出し、オレは黙ってそれを口にした。
「ねぇ美味しい御主人様?」
「美味い、美味いっちゃ美味いんだけど・・・」
「なによ?」
オレの顔を覗き込む四葉から目を逸らしながらオレは思う。
───またオレの硬派のレベルががくっと下がったな、と



次回予告!!

テーレッテー!!
恭治「カンツォーナのさまざまなサービスを受けて硬派レベルもがくっと下がったオレ。天城さんからの依頼とはいえ休日にヘヴィなことやったよな・・・。しかしまだカンツォーナとの抗争は終わっていなかった!!
次回、怒涛の急展開!!メイド服とおまじない12話、抗争編その6「ついに始まるリチェルカーレVSカンツォーナの真の戦い、そのとき恭治は!?」にクオーキ、クオーキ、キワラケチッ!」


いやぁ今回は新キャラ二人もでて大変でしたね、ついでに四葉の扱いも大変だったわ
四葉は元々はツンデレキャラだったんですけどなんかツンデレってテンプレにしかならないんで
いっそのこと「ツンデレって設定の子」にしてしまえというわけで、こうすればちょっとツンデレが下手糞でも
大丈夫!!・・・この設定を生み出してからは楽になりましたけどね

そして新キャラその1の陸奥、恭治の味方のオタクキャラが必要だったんです。
「ですぞ!」が口癖なところからまぁ元ネタはムックさんですが意外と喋らすのが難しい、難しいって言うか
ムックの口調がさ、とにかく難しいんだよね・・・あと一人称が私だったのにちょっとびっくり

新キャラその2はミントさん、陸奥と一緒に出てくるからガチャピンでいいやとおもったんで緑っぽい髪形や名前
になってますがそれ以外は別にガチャピン要素はありません、でもなんかとろそうな雰囲気の子なのであえてスポーツ万能ってことにするか!

あ・・・それと今回またよそ様の小説からキャラをゲスト出演させました、ごめんねぇ
そしておめでとうライオン君!

ねーこねこにゃんにゃん、ねこにゃんにゃん♪はゆっくりさんが某所で「ぺこぺこにゃんにゃんぺこにゃんにゃん♪」って言ってたのに微妙にはまったのでそこからアレンジしましたさ

あとメイド居酒屋に行ったおかげで今回結構書くのが楽でした、これも取材の成果ですぞ!!
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前野「俺もメイド居酒屋行きたいぜ……」
港ポート劇場が出てきたときうんこについて話すんじゃないかと冷や冷やしました。
ライオンで良かったよホント。

陸奥いいキャラだ。
四葉の崩したツンデレはもっと面白い。
だが、それより恭治が良い!!
真面目に不真面目してるサジ加減がうめえ
固いだけでも、ふざけ過ぎでもないセリフは、生きてる感じがするね。
情景が見えた。

前回から今回のラストへ向かう流れはグググッとオチに向かって畳み掛ける感じで、良いんじゃない?

あと、小説の内容と関係ないけど、ちょっと読みづらいです……。
行間ちょい広げてほしい。
桜井 2010/03/07(Sun)23:40:19 編集
恭治「いや、あんたはまず金返せよ・・・メイド居酒屋以前に」
流石にうんこの話は食事中だったんでだせにゃいw
むしろ出せるのがライオンしかいなかったんですよ、田中ヒロシはろくに手品してないで下痢糞ぶちまけてるだけだしね
あと前野はさっさと金を返せw

真面目に不真面目・・・うん、怪傑ゾロリか恭治はw
サジ加減というか最近恭ちゃんは書いてて勝手に喋りだす?ことが多くなってきたので彼自身の魅力が出てきてるんだと思う
なんにせよこの小説、恭治目線だし主人公が良いってのは嬉しい

陸奥は抗争編以降も出す予定なので期待するですぞ!!

あ、あとブログ全体の行間を開けてみました(個別に設定面倒っぽいんで
・・・・どうなのかな?感想をいただけるとありがたいです
ひおうゆうが 2010/03/08(Mon)00:45:47 編集
こんな時間に…
おおっ
行間あいてる!
早速の対応に感動。
読みやすい。

つーか、俺が夜中にコメントすると、夜中にケータイ鳴っちゃうよね……?
桜井 2010/03/08(Mon)00:57:50 編集
無題
ああ、別に寝ているときは基本マナーモードだし気にしなくていいですよ

まぁもっぱら最近は寝るの朝方だけどな、流石ニート♪

コメントがないよりはずっとましですヽ(´ー`)ノ
ひおうゆうが 2010/03/08(Mon)01:01:55 編集
プロフィール
HN:
氷桜夕雅
性別:
非公開
職業:
昔は探偵やってました
趣味:
メイド考察
自己紹介:
ひおうゆうが と読むらしい

本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!

名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
ツクール更新メモ♪
http://xfs.jp/AStCz バージョン0.06
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