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狭いプレハブ内に激しい音が響き渡る。
なにが起こった?その激しい音は少なくともオレが殴られた音───ではなかった。
なにせ痛みを全く感じいていない、意識だって失っていない。
「なっ、馬鹿ななんでお前がっ!」
雛形がうろたえるように後ずさり、五葉が「店長!!」と叫んだところでなんとなく状況が把握できた。
「天城・・・さん?」
「待たせたな恭治、お前の意地の叫びしっかりと聞いたぜ」
振り返るとプレハブの入り口、確かに硬派のカリスマ天城仁はそこにいた。先に聞こえた音はプレハブの入り口の扉、金属製の扉のそれが飴細工のように曲りくねった音だった
「や、約束が違うぞ天城ぃ!お前は『リチェルカーレ』に残ってろと言ったはずだ!」
「ああそうだな、でもお互い様だろう?お前だって『店の権利書を渡したら五葉を返す』って約束を破ってるんだからな」
「ぐっ・・・!」
雛形は押し黙って更に後ずさる
「大体監視役のやつらはなにをしてやがる連絡もよこさないでぇ!」
「お前の仲間六十三人は全員連絡する前に叩き潰したさ。まぁ骨があったのはあの石渡ってやつくらいか、それでも二発で沈んだがな」
天城さんはレンズの細長いサングラスを外し胸ポケットにしまいこむと一歩雛形に近づく。
「安心しろどいつも気絶程度で済んでる、だがお前達はそうはいかない」
その目は怒りと殺気で満ち溢れてまさに鬼神ともいえる形相だった
そしてゆっくりと構えを作る。噂に聞いたことがある、天神拳の型・・・この構えを取った天城さんは本気だ
「お、俺は雇われただけなんだっ」
「悪かった、俺が悪かったから!」
口々言い訳を吐きながら逃げようとする手下達に雛形は後ろから容赦なく蹴りを入れる
「てめぇら逃げるんじゃねぇ!!」
「───安心しろ、初めから逃がすつもりはない!」
それは一瞬の出来事だった。天城さんは一気に距離を詰めると背中を向け逃げようとする雛形の手下二人の首根っこを掴み軽々と持ち上げると
「お前らは後だ、ちょっと退いてろ」
まるでゴミを捨てるかのよう壁に向って放り投げた。簡単に投げたように見えたが大人を二人あんな風には投げることなんてまず無理だ
「ぐへぇっ」
「あ、あわっ・・・待てよ天城、話し合おうじゃないか」
潰れた蛙のような声を上げて崩れ落ちる手下達を見て雛形は完全に戦意を無くし震え上がっていた。
「恭治お前一人で立てるか?」
「ええ、なんとか」
天城さんに支えられてなんとか立ち上がる、全身に痛みが走るが歩けないこともなさそうだ
「悪いが恭治、五葉を連れて先に帰ってくれるか?こっから先はR25指定だ、血生臭いのは五葉に見せるわけにはいかないからな」
「は、はい!」
その言葉にオレは頷き五葉の元に駆け寄る。
「待ってろ、すぐに解いてやるからな」
真っ赤になった目に涙を溜めて五葉はただ頷く。麻縄で縛られた五葉の細い腕は必死にもがいたせいか赤く腫れ上がっていた。
それが目に入って居た堪れない気持ちになる。
「よし解けた、行こう五葉」
「はい・・・」
五葉の手を引いて出口へと向う。それを確認した天城さんは静かにそしてゆっくりと雛形の頭に手を伸ばす。
「ゆ、許してくれ!?なっ?天城・・・なぁ!!」
「許すとか許さないよりも死ぬか生きるか考えたほうがいいぜ、俺の天神拳は今調整が効かないんでな」
腰を抜かして倒れている雛形の頭を鷲掴みにしたまま持ち上げている
オレはそれを見て急いでプレハブから出て扉を閉めた、別の意味で嫌な予感を感じたからだ。
───案の定、次の瞬間
「ぐるあぁがぎゃがぶるじゅらばぁばぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
雛形の形容しがたい叫び声が扉の向こう側から聞こえた。人間をどうやればあんな叫び声上げさせることができるのかわからないが天城さん、もう少しオレ達が離れてからにしてほしかったです。
「・・・こんなところさっさとおさらばして『リチェルカーレ』に帰ろう、な」
五葉を助け出せばこんな薄暗い所に長居は無用だ、オレ達は駆け足気味にエレベーターへと向う。
「五葉、大丈夫か?」
「・・・はい、私なら大丈夫です」
軽く笑顔を見せて五葉は答える。その様子を見て少しホッとした、下手したら今回のことは
五葉の心に大きな傷を作ったんじゃないかと心配だったんだ
「ちょうどエレベーター来てる、急ごう!」
丁度地下に停止していたエレベーターのボタンを押しそれに乗り込む。
「あの・・・神楽坂さん」
「ん?どうし・・・」
振り返りボタンを押そうと手を伸ばしたときドンっとオレの体になにかがぶつかってきた。一瞬なにがぶつかったがわからなかったが今この状況でぶつかるのは一人しかいない。
ボタンを押さないままゆっくりとエレベーターの扉が閉まる。
「い、五葉?」
五葉がオレの胸に飛び込んでいた。俯いていてその表情はわからないが少し肩が震えている、勢いあまってぶつかってきたわけじゃないな
「ごめんなさい、私・・・嘘をつきました」
「嘘・・・?」
「私全然大丈夫じゃ・・・なんかないんです、今でも怖くて・・・震えが止まらなくて」
嗚咽混じりに言葉を漏らす
「私なんかのために神楽坂さん一杯殴られたり蹴られたりされて死んじゃうんじゃないかって、怖くてでも私何もできなくて・・・」
「五葉・・・。」
オレの胸の中で咽び泣く五葉を見て胸の締め付けられる気持ちになる
こんなときオレにできることはなんだ?どんな言葉をかけてやればいい?
オレは五葉のことを知らない、どうすれば彼女の泣き顔を笑顔に変えれるのかその術を知らない
知っていることといえば唯一つ、できることといえば唯一つ・・・
「五葉、オレにできることはこんなことしかできないけど・・・」
少し屈んで五葉と視線を合わせる。こうしてようやく五葉の顔を見ることができた、すぐにオレは涙で濡れた顔を指で拭ってやる
「神楽坂さん・・・。」
オレが強ければ、天城さんみたいに強ければこんなにも五葉を悲しめることはなかった
五葉がじっと見つめる中、オレは静かに五葉の肩を抱き額をくっ付ける
「少し幸せになるおまじない、オレがかけるよ」
「おまじない・・・はいっ!」
おまじない、その言葉を聞いた五葉の表情が少し明るくなったようだ
「いくぞ、ちゃんと合わせるんだぜ」
「はいっ!」
『クオーキ クオーキ キワラケチ ラキサト ラキサト サオケスタオ』
エレベーターの中に二人の言葉が小さく響き渡る
オレと五葉、二人を乗せたエレベーターがゆっくりと静かに上昇を始めていた。
テーレッテー!!
四葉「久しぶりにタイトルっぽくおまじないかけた恭治。というかちょっと待ちなさいよ!私の妹になにしているわけ!?まぁそれは置いておいてなんだかんだで次回でメイド服とおまじない第二章抗争編最終回!やっぱり私の予想通りその15くらいだったじゃない!そんなわけで次回!メイド服とおまじない16 第二章抗争編その10!『骨折り損の草臥れ儲け?じゃないよっ!』盛り上がりの終わった消化試合だからって見ないと制裁よ!」
えーそんなわけで盛り上がったところで終わらせておいて実は前回が一番の盛り上がりだったという今回です
やばいね、ちょっと書きながら
「五葉って付き合うとするとちょっと面倒くさいな」
とか思ってしまった(;´Д`)ゴメン
いやまぁだからこそ恭治と合うんだけどもね!
とりあえず次回予告でも言ってる通り次回で抗争編最終回です、もはや消化試合で盛り上がるところはないけどね!
ちなみにその後幕間的な話を一本挟んでその次からは第三章 黎明編が始まります
黎明編は前にも言ったけどちと暗くなりがちなんでちと短めに終わるかもしれません、ただ入れたいシーンはそれなりにあるので短くなるといってもどうなるかわからないけどね。
黎明編は基本、恭治と五葉が一緒にいる話なんでイチャツキ具合とかそこは色々調整します。あと黎明編で五葉のおまじない秘密は明らかにします。なんかもうラストまで引っ張るほどのことじゃないんで
黎明編とは違い、第四章 遠征編はその分長くしようかと考えてます。
遠征編はあれです、基本明るいノリ&登場人物多目でいくつもりなんで大変だろうなぁ
というか小説自体書くのが大変だわ、私とか書きたくないときには書かなくてもいいじゃないですか
でも小説家ってのはそれなりに締め切りとかがあるわけでとりあえず書かないといけないわけで
しかもその中にある一定のクオリティは求められるわけで・・・・・・いやぁ小説家にはなりたくねぇなぁ
あと語弊の数と物の名前は知らないと大変だなぁって書いてて思う
文字だけで表現するわけじゃないですか小説って、しかもそこを細かく細かく書けば書くほど読者に今どんな感じなのか理解する材料は与えられるわけで(少ない言葉で理解できることもあるよ、もちろん)そうなると物の細部の名称、これがぱっとでないと大変なわけですよ、袖口とかな(最近袖口が広いのが好きってだけ)
今回なんか止まったエレベーターの中で恭治と五葉がおまじないをやるわけですがこのボタンを押してなくて閉まったエレベーターってのを表現するのとか迷ったよ
エレベーター乗る前でも、乗った後でもなくてしかも動いてない小さな個室みたいな状態のエレベーターの中ってなんて面倒くさいんだろう
いわば自分の思い描く世界にを表現するのに言葉を知らなければ生み出すこともままならない
けど言葉を使うのは人間だけ、世界を生み出すことができるのも人間だけなんだよなぁ
天城さん登場シーンが、凄いね!
金属の扉がひしゃげるって、お前は勇次郎かと。
「ああそうだな、でもお互い様だろう?お前だって『店の権利書を渡したら五葉を返す』って約束を破ってるんだからな」
「お前の仲間六十三人は全員連絡する前に叩き潰したさ」
↑このセリフにはスカッとした。
完璧に読んでて頭の中で準備完了した。
キター!全力で叩きのめしていいYO!と!
いやぁエレベーターのシーンは全然気にならなかった。
いつの間にか動いてても、別に読者が想像で補って情景が浮かんでくるよ。
特に今回の天城さんの扉破壊シーンと2人を乗せたエレベーターが上昇していく所は、絵に描けそうなくらいはっきり見えた。
それより俺が気になったのは、天城さんのセリフなんだなぁ……。
「些かお前達に見せるには惜しいが俺の流派、天神拳をご披露しようじゃないか」
「こっから先はR25指定だ」
↑この2つのセリフは気に入らなかった。
小物臭がするというか、強い人は「俺は強いんだ」というニュアンスのセリフを言ってはいけないと思う。個人的に。
勇次郎が蹴って、アライJrが「ジャブより速い!」っていうシーンは迫力あるけど、
勇次郎が「これがジャブより速い蹴りだ!」って言いながら蹴ったらダメなんですよ。
これが別の人のセリフ、例えば恭治のセリフだったら良いんじゃないかと。
(まさか……、使う気だ……天神拳を……!!)
(五葉に対して)「早く行こう……」
(このままここにいると、凄惨な、R25指定のシーンを拝見する事になりそうだ……)
みたいな感じの方が良いかなぁと思ってます。僕はね。。
聞かれたら別だけどね。
雛形が「監視役のやつらはなにをしてやがる」って言った後、
「全員倒れてるよ」と答えるのは自慢じゃなく、ただの返答だから。
そういうさりげない所で、すげぇカッコイイと思う。
ということで天神拳共々の台詞は恭治君に言わせました
確かに私もこれはおかしいとは思ってたので(;´Д`)
なんていうか全部書いた後に「あれ?そういえば天神拳って言葉一言もでてねぇ!!」って思って慌てて足した結果がこれだよ!
元々恭治君は天神拳とか知らない設定(そもそも天城さんの過去の活躍は実際に見ていない)だったんで本人しか言う人がいなかったと・・・雛形に言わせても良かったんだけどね
「R25指定~」ってのはデビルメイクライってゲームの「こっから先はR指定だ!」って台詞のオマージュです。
こればっかりは本人が言わないと、ってことなんで変えません
いやでもこの台詞はマジで五葉に血とか見せたくなかっただけで
強さを誇示しているわけじゃないよ、多分(多分かよ
「ああそうだな、でもお互い様だろう?お前だって『店の権利書を渡したら五葉を返す』って約束を破ってるんだからな」
この台詞は絶対「なんで天城さん勝手に来てるの?」ってツッコミがくると思ってたのでかなり前から考えておいたものです
理屈が通っててしかも渋くて恰好良いので私もお気に入りです
エレベーターが勝手に上がっていくのはいいんですよ、別に
どこぞのツンデレもどきが上でボタン押しただけだから
エレベーターに乗ってボタンを押さないってところが大変だったのよ、普通エレベーターに乗ったらまず押すじゃん、CD聞きおわったらCDケースにしまうじゃんってわけさ
つまるところナイスタックル五葉!
いやぁ天城さん人気だねぇ、あれでオタクなんだから凄いわ
本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!
名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
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