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日記と小説の合わせ技、ツンデレはあまり関係ない。 あと当ブログの作品の無断使用はお止めください
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「ラブ@ポーション 剣持ちし誇り高き狼」

 

夜、夜はいい・・・満月の夜は特に良い。
静寂の続く真夜中の森を彷徨う、私にとってこれほどの愉悦はない
「そして───」
森の中の少し広がった場所、そこには一人の男が立っていた。
「グァァァアッ・・・・」
喉を深く鳴らす男の足元には鮮血が広がり、鎧を着た人間が数人倒れている。
「そこの女。逃げろ・・・」
騎士の一人が私に消え入りそうな声で言葉を吐く
おそらく普通の人間ならそれを見、聞いて恐怖を感じ、逃げだすところだが私は違う
「こんなにも早くみつかるなんてね、やはり満月の夜はいいわ」
倒れる騎士達の中にただ一人立つ男、人間のようだが少し違う・・・。人間のように二足で立ってはいるが腕から全身にかけて灰色の逆立った毛が並びその顔には鋭い牙のようなものが見える
一言で言ってしまえばそれは───狼男と呼ばれる存在
「最近この辺に現れるっていう『狼男』、あなたは人間以下?それとも違うのかしら?」
私は挑発するように言うとローブの懐中に手を突っ込みフラスコを握りこむ
「グァァァァッ!!」
狼男は私の動きをじっと見つめるように腰を低く落とし、そして右手に持った血塗られた剣を構える
「剣なんて構えての人間のおつもり?獣なら獣らしく牙や爪を使いなさい・・・よ!!」
フラスコのコルクを指で弾き狼男へと投げつける。粘着性の高い液体が入ったフラスコだ、これは受ければもう一つ用意してある中和剤なしには身動き取れなくなるほど強力な代物だ
「グシャァァ!」
狼男は投げられたフラスコに対し乱暴に剣を振り払う、その攻撃でフラスコが割れれば勝負は決する・・・
と思っていた私の予想は大きく裏切られた。
乱暴に振るわれたと思っていた剣は器用にフラスコを叩き、薄いガラスを割ることなく遥か後方へ弾き飛ばしたのだ
「ガガァァァァッ!」
「野蛮な叫び声の割りに凄い剣術じゃない」
ちょっと予想と違ったので少し焦りを感じつつも後ずさりながらローブに手を突っ込む。ゆっくり動きを止めてからやりたかったがこうなっては仕方ない
「ガグァァッ!!!」
一歩二歩下がる間に狼男は一気に距離を詰める、私が三歩目を踏み出したところで狼男はその右手に持った剣を大きく振りかざし突っ込む
「ああ、もう嫌!こうゆうギリギリってのは嫌いよ!」
振り下ろされた剣を紙一重に避け地面を転がりながらも私は狼男の大きく開けた口の中に用意しておいた丸薬を放り込んだ
「グアガァ!・・・・グアガァァァァァッァァァ!!」
効果はすぐに現れた、狼男は抗うように天に吠えたのち・・・・・・・
地面に突っ伏すように倒れこんだ、なるほどね人間の睡眠薬の量でも狼男は充分眠るわけか
「しかし・・・全く、たまには運動も必要なのかもしれないわね」
私は息を切らしながら起き上がると狼男の足を持つと引き摺りながら家路へと向った


ちょうど日が一番高く昇った頃、私の「狼男」の研究はあらかた終わっていた。
原因はライカンスロープ菌というものを体内に取り込んで起きる一種のアレルギー現象。魔術書で読んだ限りではライカンスロープ菌がアレルギー反応を起すものとして上げられるのは月の光、特に魔力が強くなる満月の光ということだが例外もいるようだ
「しかしまぁ狼男の正体がこんなお偉いさんだとはね」
私はベットで眠る灰色の髪を持った狼男───いまは普通の筋骨隆々の男を見て呟く
私がまだ街にいた頃、一度だけこの男を見たことがある。
それはこの街を治める国の新しい王女の誕生祭、そこで行われたパレードで美しい王女の傍で白銀の鎧を纏い凛々しく剣を構える男
その姿は一度しか見ていなかったというのに脳裏に焼きつくような美しさだった
「王国の騎士団長・・・確か名前は」
「スレートだ、スレート=グレイ、それが私の名前だ」
私の言葉に眠っていたはずの狼男───スレートがベットから身体を起こし答えた
「あら?ようやくお目覚めのようね狼男さん」
少し皮肉を込めて言う私に静かにスレートは言葉を繰り返すように呟く
「狼・・・男、やはりあれは夢ではなかったか」
「夢?もしかして狼男になっていると記憶が曖昧になるとか?」
「いやただ認めたくなかっただけだ、理性が効かなくなっていたとはいえよもや民を守るために姫君より使わされた剣で民を傷つけていたことに」
スレートは立ち上がると私に向って深々と礼をする
「私を止めてくれたこと感謝する、そして君に襲い掛かった無礼を許してくれ」
「別に感謝されることようなことはしてないわね、私は私で狼男に興味があっただけだから」
私はその辺にあった試験管を適当に火で炙りながら、溜息をついた
「ま、大して面白い成果はなかったけどね」
「違っていたら失礼だが、もしかして君があの人間嫌いの魔術師・・・なのか?」
「人間嫌いはその通りだけど、その“魔術師”って呼ぶのはやめてもらえるかしら?私にはセルリアンって名前があるんだから」
怪訝そうに言うとスレートは一言「そうか、済まなかったセルリアン」と再び頭を下げた
全く王国の偉い人にまで私のことが知れ渡っているとは、いい迷惑だわ
「あーあと先に言うけど、狼男から人間に戻せとか言われてもそれは無理だから」
「そうなのか?」
「ええ、そうよ。」
私は頷くとその辺にあった狼男の事が書かれた分厚い魔術書をスレートに投げ渡す
「読んでみればわかるけど体内に入ったライカンスロープ菌を取り除くことは不可能、となれば後はライカンスロープ菌がアレルギー反応を起こす物を取り除くしかない」
試験管を置いて私はスレートに向き直す
「本来なら取り除くとか不可能な月の光だけどスレート、貴方は少し違うから教えてあげるわ」
「少し違う?」
本を持って立ち尽くすスレートを私は指差す
「“怒り”の感情、それに反応して貴方は狼男になる。」
「怒り、そうなのか・・・。」
「ま、それがわかったからといってそう簡単にどうにかなるものでもないでしょうけど」
私は試験管にその辺に放置してあった枯れた草を適当に放り込むと再び火で炙る
「いや、自分自身の“怒り”が狼男に変化する原因というならばなんとかなる」
スレートは分厚い魔術書を机に置くと自分の胸に手を当て
「感謝する、短い間だが世話になったセルリアン」
王国式の敬礼をすると踵を返す。
それはまだ自分が人間だと言わんばかりの行動にしか私には映らない
「あら狼男さんはお散歩にどこかに行くのかしら?」
わざと皮肉を込めて言ってみる。だがスレートは振り返ることなく落ち着いた口調で告げる
「セルリアン、私はもう狼男ではない・・・人間だ。そして散歩ではない、私が狼男になって傷つけた民に謝罪しに行くのだ」
はぁ?そんなことすれば結末は決まってるじゃない
「もう私は自分の意思に反して狼男になることはないということを民に告げねばならない」
「自分が狼男の正体だなんてわざわざ言うつもり?死ぬわよ」
死ぬ、間違いなく死ぬ
「私は民を信じている、そして民の前では狼男にはならない・・・賭けてもいいぞセルリアン」
「はっ、王国の騎士団長様が賭け事なんてしていいのかしら」
「私は生来賭け事が好きでな、もし私が負けたらセルリアン君の言うこともなんでも聞いてあげよう・・・さぁどうする?」
背を向けたままのスレートに私が言う言葉なんて決まっていた
「ふん、人間なんて手のひらをすぐに返すものよ。魔物となった騎士団長様は捕らえられ張り付け刑よ、そして騎士団長様はそんな人間に怒りを感じて狼男に変身する」
「ハッハッハッそうか、セルリアン君は話を作るのが上手いな」
私の言葉にスレートは静かに振り返るとそう言い笑顔を見せた
その笑顔は曇り一つなく美しいものだった

「やれやれ、案の定じゃない」
夕刻、真っ赤に染まるレンガ造り街並み
街の広場には大勢の人が集まっていた
私はそこから少し離れたところでその様子を窺っていた
「今から街を脅かす狼男の処刑を行う!!」
街の人間の一人が大声を上げる、スレートはそのなかで木の十字架に張り付けられている
ぐったりと頭を垂らし表情はわからない
「さぁこいつは我々を欺き、多くの民を傷つけてきた魔物!怒りを込め石を投げるのです!」
その声とともにスレートの処刑は始まった、もはや彼は騎士団長でもなんでもなかったのだ
はじめこそ躊躇していた街の人間も一人、二人と投げ出すと次第に投げられていく石の数は増していく
「この街の人間なんて信じるからこうなるのよ」
じっと黙って石を受け続けるスレートに静かに呟くと私は踵を返す
ああ───嫌な記憶が蘇る

私にも似たようなことがあった、そのときに誰かが手を差し伸べていてくれていたら───

「・・・ここで帰ったら、あの人間達と一緒か」
本当に迷惑な話だ。私は乱暴に髪を掻き毟るとローブからフラスコを取り出し広場に向って放り投げる
スレートの事で興味本位で街にやってきたけど街に出向くのはこれが最後だ、本当嫌なことしかないわこの街は
「な、なんだこの爆発奴の仲間か!?」
フラスコが地面に当たり砕け散ると空気と混ざり激しい音とともに爆発を発生させる
突然の出来事に街の人間はうろたえ警戒するように辺りを見渡す
「どこまでも愚かな生き物だわ、人間って」
一つ深呼吸をして群集に向けて歩き出す
「ちょっとした爆発でも怯えうろたえるほど弱いくせに、誰かに守られてなければそうやって石も投げれないくせに・・・」
ローブから青い色した液体のフラスコを取り出すとそれを高く掲げる
「な、誰だお前!」
「あんたらに名乗る名前はないわよ、道を開けなさい・・・この液体で焼け爛れたくなければね」
フラスコをチラつかせ放つその言葉に周りの人間は蜘蛛の子を散らすように私から距離を置く、私は静かにただゆっくりと十字架に張り付けになったスレートの元へと進んだ
「ごきげんようスレート王国騎士団長、いえ今はただの狼男さんかしら?」
十字架を見上げ思いっきり嫌味を込めて言葉を紡ぐ
「セルリアン、この賭け私の勝ちのようだな」
守ってきた人々に裏切られ恨み言の一つや二つ言うだろうと思っていた私にスレートは全く的外れのことを呟いた
「は?あんたなに言っているの?この状況、私が言っていたのと同じじゃない。所詮人間なんて自分の都合のいいときばっかり魔術師様だの騎士団長様だの言って必要無くなればすぐに手のひらを返す、その結果が今の貴方の・・・」
「セルリアン、私は民に対して怒りなど感じてはいないのだよ。現に私の姿は人間のままだ」
スレートは頭から血を流しながらも別れたときと同じ曇り一つ無い笑顔で答える
「民はなにも間違ってはいない、私は沢山の民を文字通り傷つけたのだからな」
「・・・そうやって貴方は民を信じているかもしれないけど民は貴方を信じちゃいないかもしれない、いえ信じてなんていないわ」
「・・・信じられているさ」
どこまでも真っ直ぐなスレートの瞳が私を捉える、思わず目を逸らしたくなるがその瞳は不思議なことにそれをさせない魅力があった
「少なくともセルリアン、君には」
その言葉と共に夕日がより一層深紅に染まっていった・・・ような気がした


                                                    END



え?蛇足は?そんなものうちにはナイアルヨ・・・


元々「え?これで終わり?」な感じで終わらすつもりでした、あとねセルリアンの話は救いがないとか前に抜かしたけどやっぱりこれくらいでいいやって感じ

ツンデレが書きたかっただけしな、この後スレートどうなったん?というのはまぁとりあえず死んではいないよ

だって次回にでてくるから(;´Д`)<サイアク

なんていうかなんでも殺せばいいってもんじゃないのよ・・・誰かが死んで感動だのなんだのってのは

Airとかだけでいいんです、毎回やるとぐだるしな「また人が死んで感動ですか?(・∀・)ニヤニヤ」ってなる


ぐだると言えばセルリアンの話は書くとどんどん次の話が出てくるのよね、いいんだよ全然いいんだけどね


メイド服とおまじないかなりほったらかしじゃん?


とりあえず今月中には終わらしますヽ( `・ω・´)ノ <タブン

やっぱでとのべはね、一日で書かないといかん・・・書けないと逆に毒が溜まるのよ、毒が

そんなわけでおそらく次もセルリアンの話だと思われます、短いです、まだ書いてないけど
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俺が途中まで読んだイメージでは、スレートの生死に関わらずセルリアンが助けに行くべきじゃなかったと思う……

これだとセルリアンが気になるのよ。
この状況で踏みこんでったら、セルリアンが死ぬんじゃないか?って

もしくはセルリアンは1国の軍隊以上の戦闘能力があるのか?って思ってしまう。
王国滅ぼせるくらい強いのか?
滅ぼせないけど、逃げ切れるくらいなのか?

でも、なんか、良いコンビじゃない?
セルリアンとスレート
偽悪人と超真面目


でも、たしかコレ1日で書いてないよね?
前遊びに行った時、止まってるとか言って無かったけ?

小説止めるのは、辛いね!
ストレス解消のつもりで書いてるのに、書き終わらずに仕事行くと余計ストレス溜まるんだよ。
内容が毒で無くてもキツイ。
俺が今書いてるやつなんて、止まって進んでの連続でもう辞めたくなってきたw


てかヤベーよ!!ww
何がヤベーかっていうと…………俺が今書いてるやつとキャラが被ったww
セルリアンとスレート!!
読んだら、多分「似てるわw」って思うだろう。
ただ、俺が書いてるやつは、男の方が主人公で、世界観はSF。
桜井 2010/05/23(Sun)17:18:38 編集
セルリアン「相方じゃなくて番犬だから、アレ」
スレートの処刑はなんかこうちゃんと裁判しての処刑じゃなくて街の人間による私刑みたいなもの
です、国が介入してません。さすがに国を敵に回せるほどセルリアンは強ないですからね
街の人間くらいならなんとかなります

ただセルリアンも黙って見過ごせるほど腐ってないというか過去の自分と重ねたところがあって飛び出してしまったのです

>でも、なんか、良いコンビじゃない?
セルリアンとスレート
偽悪人と超真面目

これは人間嫌いの人間と人間好きの非人間というのをやりたかった、エメラルドもそうだったんだけど消滅したのでスレートの旦那に引き継がせました


>でも、たしかコレ1日>で書いてないよね?
>前遊びに行った時、止>まってるとか言って無>かったけ?

そう、止まってたというより半ば放置してたやつ
ラストをどうするかで悩んでちと長引いてました

>小説止めるのは、辛いね!
>ストレス解消のつもり>で書いてるのに、書き>終わらずに仕事行くと>余計ストレス溜まるんだよ。

これ凄くわかるわぁ(゚o゚)今日で終わらす!って息巻いて書き終わらないと毒が溜まる・・・

>内容が毒で無くてもキツイ。
俺が今書いてるやつなんて、止まって進んでの連続でもう辞めたくなってきたw

ダメダメ諦めたら!諦めるって言わない!

>てかヤベーよ!!ww 何がヤベーかっていうと…………俺が今書いてるやつとキャラが被ったww
セルリアンとスレート!!
読んだら、多分「似てるわw」って思うだろう。
ただ、俺が書いてるやつは、男の方が主人公で、世界観はSF。

ま・じ・か(゚-゚)
まぁデトノベ第一回はLife backと似てたし全然問題なしよ
男の方がってのはスレートみたいなのが主人公でヒロインがセルリアンみたいな感じか

SFなスレート&セルリアンに超期待するわぁ(゚o゚)
ゆうが 2010/05/23(Sun)19:43:49 編集
プロフィール
HN:
氷桜夕雅
性別:
非公開
職業:
昔は探偵やってました
趣味:
メイド考察
自己紹介:
ひおうゆうが と読むらしい

本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!

名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
ツクール更新メモ♪
http://xfs.jp/AStCz バージョン0.06
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