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日記と小説の合わせ技、ツンデレはあまり関係ない。 あと当ブログの作品の無断使用はお止めください
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「ラブ@ポーション 歪んだ愛に嘲笑う者」


「はぁ・・・・・・。」
溜息。アルコールランプでグツグツと煮え立つ紫色の液体が入ったビーカーを眺めながら
今日何度目かという溜息をつく
「どうした今日で十六回目の溜息のようだが、やはり何を悩んでいるセルリアン?」
「あんたがそうやって心配してくれるのもこれで十五回目、いいからとりあえず放っておいてくれない?」
剣を磨きながら心配する同居人、灰色の髪の狼男スレートに適当に返事をする
「ふむ、ならいいのだがな。さて私はそろそろ狩りに行って来るとするが今晩はなにが御所望かな」
「ウサギ以外ならなんでもいいわよ、大体あんた最近狩りに行くのが趣味になってるでしょ」
煮えたぎって白い煙を上げだしたビーカーにその辺にあるよくわからない草を放り込んで混ぜながら私は答える
「うむ、狩りをして生きていくというのは中々良いものだぞセルリアン」
「はいはいそれは良かったわね」
「期待して待っているといい、君の溜息を吹き飛ばすような獲物を取ってこよう」
そう言うとスレートは白銀の剣を腰に差し小屋を出て行く、それとほぼ入れ違いになる形で見覚えのある一人の女性が小屋に入ってきた。
「にゃほーセルリアンちゃん、約一ヶ月のお久しぶり♪」
美しい金色の髪に整った顔立ち、少し尖った耳が特徴的な女性の名はシャトルーズ、エルフ族の行商人でときおり私に色んなものを売りつけにやってくるのだ
「はぁー・・・またこうゆう時に限って」
やたら耳につくシャトルーズの明るい声に私の気分は更に悪くなる。手先が器用なエルフ族の作る実験道具等は使いやすいし面白い掘り出し物も沢山ある、これらが街に行かなくても手に入るのだから便利といえば便利なんだけど正直私はシャトルーズのテンションの高さが物凄く苦手だ
「ねぇねぇセルリアンちゃん、さっきの男の人誰?彼氏?」
シャトルーズはその手に持った大きなバスケットをテーブルの上に遠慮もなしに置くと私の前に座り楽しそうに話しかけてくる
「スレートのことなら人じゃなくて狼男、最近なんだかんだで居座ってるただの番犬みたいなもんよ」
「なぁんだつまらないですね、セルリアンちゃんが恋してるんだったら応援しようと思ってたのになー」 
楽しそうに語るシャトルーズの言葉をよそに思いっきり私は嘆息する
「色恋沙汰に興味は無いわよ、そんなことより貴女は商売をしにきたんじゃないの?お喋りしたいなら他所行ってもらえるかしら?」
「あらら?いつにも増して御機嫌ナナメですねー♪そんなんじゃせっかくの可愛い顔が台無しですよ、たまには変な実験とか止めてお化粧して街に繰り出すとかしたらどうですぅ?魔術の品だけじゃなくて化粧品も私取り揃えてるんですよ」
そう言うとシャトルーズは自分のバスケットから色んな化粧品を次々とテーブルに並べていく
「ファンデーションでしょー口紅でしょー」
「そんな物は出されても邪魔なだけよ、いいからフラスコとあと隠し持っている良さげな魔術書を出しなさい」
「んもう、つれないですねー。それじゃセルリアンちゃんにもとっておきを出してもらいますからねー」
息巻くシャトルーズをよそに私は立ち上がりガラスの小瓶が並ぶ戸棚の前に立つ
「とっておきになるのかは知らないけど・・・まぁとりあえずなにが欲しいか、言ってみなさい」
シャトルーズとの取引は物々交換で行う。エルフ族のシャトルーズには人間の使う金貨などはあまり価値がない、そして私としても研究の副産物を処分できるのでこちらの方が好都合なのだ
「そうですねー胸が大きくなる薬はございますかね」
「そんなものはございませんわね、はい次」
「んーそれじゃダイエットに効きそうな薬とお肌がスベスベになる薬なんかは?」
「まぁそれならあるか」
私は戸棚から黄色と緑色の薬瓶を取り出す
「それとセルリアンちゃん、『苦しみながら死ねる薬』はあるかなー?」
シャトルーズのサラリと言った言葉に私の指が止まった
「あるにはあるけど・・・」
戸棚の奥から毒々しい青紫色をした小瓶を手に取り席へと戻る
「そんなもの何に使うのよ?」
「私久しぶりにね人間に恋しちゃったのよぉー♪」
シャトルーズは顔を赤らめてバタバタと腕を振り答える。彼女がとにかく色恋沙汰の話が好きなのは知っているが彼女自身のそんな話を聞くのは初めてだ
「そりゃよかったわね、けど質問の答えになってないわよ」
「私195年前にも人間に恋したことがあってね、ずっと愛し合っていたんですけどエルフと人間じゃ寿命が違うでしょ・・・だから彼が寿命で死んじゃったそのとき『次に人間に恋することがあったらその人が死んだとき私も一緒に死のう』って決めたんですよ」
あくまで先程までと同じ口調で淡々とシャトルーズは語る
「ふぅん、でもなんで苦しみながらなのよ」
呟きながら白煙を上げるビーカーに作品NO.555913315を流し込みガラス棒で掻き混ぜる
「死ぬときは苦しいものでしょ、私だけ楽に死んじゃったら彼が可哀想だもん♪」
シャトルーズの言葉を無視して私はビーカーの中にテーブルに転がる黒い石を放り込む
石はビーカーの中で液体と反応しクルクルと回転するとやがてボンッという音と共に黒煙となる
「それじゃセルリアンちゃん、フラスコと魔術書置いておくね♪それで約束の品を・・・」
「ちょっと待ちなさい」
商品をテーブルに置いて薬瓶を取ろうとしたシャトルーズの手を私は咄嗟に掴んだ
「あ、あれ?セルリアンちゃんどしたの?」
「エルフほど寿命が長いと嘘も平然とつくものね」
言い放ったその言葉に一瞬沈黙が流れたが直ぐに
「あららーさすがセルリアンちゃんです、よく私が嘘ついてるのわかりましたね」
と全く悪びれた様子も無くシャトルーズは微笑みを返した
「あんたの色恋沙汰の話は美談過ぎていつも胡散臭いけど、今日のは特に酷かったわ」
「あはっ、そうですかぁ?でもセルリアンちゃん、私の話全部が嘘ではないんですよ」
「はぁ?もしかしてエルフと人間との恋なんてあるとでも言うつもり?」
その言葉にシャトルーズは私が掴んだ手にもう一方の手を重ねる
「私が人間の彼を愛しているのは本当よ、でもね私が本当に愛せるのは今の彼だけなの」
そっと告げたその言葉に私はなぜシャトルーズがこの薬を欲しがるか理解した
「人間は本当に寿命が短いわ、美しさを保てるのは一瞬でしかない。195年前に思い知ったの、数十年前は心から愛してた人も老いてしまったら美しさの欠片もない・・・ならば殺してしまえば彼の美しさは永遠じゃないかってね。セルリアンちゃんに頼んだのが『苦しみながら死ねる薬』なのはね、どれだけ私が彼に愛されてるか最後に見ておきたかったの。苦しみながらそれでも愛してるって言われたときに私の心は本当に・・・」
「そんなの愛でもなんでもないわね」
言葉を遮るように掴んだ手を振り払うと立ち上がり吐き捨てる
「あら?それじゃセルリアンちゃんは本当の愛ってのを知っているの?」
「知らないし、知るつもりもないわ。用件は済んだんでしょ、さっさと帰ってくれないかしら・・・私は機嫌悪いのよ」
シャトルーズに背を向けたまま不機嫌さを前面に押し出す、ああ人間は嫌いだけどエルフも嫌いになりそうだわ
「それでセルリアンちゃん、本当にこの薬貰ってもいいの?」
「構わないわよ、別に私の知らないところで誰が死のうと関係はないから」
紫色の小瓶を手にし言うシャトルーズに対して私は青紫色の小瓶を手の中で転がしながら振り向き答えたのだった


                                             END



セルリアンちゃん話その4、咄嗟に思いついてしまったんだから仕方ないね

シャトルーズさんはなにかエルフってだけで優遇されてる感があるので悪役ってほどでもないけど嫌な感じのキャラにしましたよ、ああゆう歪んだキャラ嫌いじゃないね

たまに後書きから読む人いるから困るけど、でも書いちゃう・・・セルリアンが用意した薬の色に注目してもらえば今回の真実はすぐにわかりますよ

全然関係ないけどセルリアンが人の話を聞くときにいつも実験してるけどあれ全く意味ないです、人と面と向かって話すのが苦手なセルリアンがそれっぽくやっているだけです、そこがまた良いんだけど

でもなんだかんだで良い奴になりすぎだな最近のセルリアン、昔のセルリアンはもっと殺伐としていた・・・はず

ちなみに前回言い忘れたけどスレートさんはスレートグレイって色、シャトルーズさんはシャトルーズイエローから名前を取ってきてあります

ウィキペディアの色名一覧にはお世話になりっぱなしだわ(´-ω-`)

後名前の色と登場人物の髪の色を同じにしよう!なんて思ったけど実は一番最初のシンクが思いっきり金髪だった・・・( ;∀;) カナシイナー

一応吸血鬼編なるものを考えてはあるけどこれはとりあえずメイおまの二章を終わらせてから書きます

てか今日書かないと6月まで休みがないのでかなり厳しいぜ!!ヽ(゚д゚)ノ 
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無題
短く綺麗にまとまってるな。

序盤のスレートとの会話が面白い。
セルリアンのセリフは全部オチがある。…って凄いよ。
この上手さは俺には無理だ。

あと、シャトルーズのヒヤっとさせられる怖さが良いね。
2面性があるキャラは、美味いシーンを作ってくれる。

紫のクスリなんて何処に登場したっけ?と思ったら最初か!
(最後が最初につながってるのは、好きです。読むのも書くのも)

次回、シャトルーズのとの会話から始まって、新キャラがメインでセルリアンに絡んだら「化物語」みたいに出来るぜ!
あの新キャラから新キャラへバトンタッチしていく形式は、取っ付きやすくて、マンネリ化しにくい。
桜井 2010/05/30(Sun)00:31:41 編集
セルリアン「オチ担当・・・」スレート「そうゆう意味じゃないぞ」
まぁ今回はさっささーって感じに書き上げたよ

いやはや毎回感想をくれてありがとうございます、書き終わらないと毒が溜まりますが感想をいただけることで打ち消されますよ!

シャトリーズとやとらと書き間違えるシャトルーズさんはなまじエルフだもんでセルリアンよりも人間をかなり下に見ているんですね
なんか虫とかなんかと同じくらいにしか考えてない
虫の足引っ張って「あ、死んじゃった。ま、いーや」くらいのレベル
悪びれた様子も泣く平然と人を殺せるキャラ、それがシャトルーズ
問い詰めたとしても「どうせ人間なんてすぐ増えるでしょ」とか言っちゃう、おおこわいこわい

>次回、シャトルーズのとの会話から始まって、新キャラがメイン>でセルリアンに絡んだら「化物語」みたいに出来るぜ!
>あの新キャラから新キャラへバトンタッチしていく形式は、取っ>付きやすくて、マンネリ化しにくい。

あーうん、まぁあれだ言いにくいことなんだがセルリアンの話は次回の吸血鬼エクル編で一旦終わらそうと思っていた人、夕雅!
化物語自体なでこスネイクしか見てない私ですがようはあれでしょ、なんか撫子の回なのにでしゃばってたあの女みたいなのが
なでこスネイクの前の話のメインだったわけだ・・・


・・・ん?てことは撫子はなでこスネイクの後にもでてくるのか?

んんっ!?そこんとこどうなんだ桜井ィィィィィィィィ!!!!


取り乱したがようはー

シャトルーズがセルリアンの小屋に「なによあれー全然効果ないじゃないプンスカ!」 ってやってきてそこに客がセルリアンに相談しにくる・・・な感じでやればいいのか、そうか・・・じゃスレートお前はまた狩りに行って来い!!お前の出番はねぇ!!

どっちにしろ一旦次回で終わります、第一部完みたいな

でどうせすぐ書くんだろうけどね
ひおうゆうが 2010/05/30(Sun)01:15:23 編集
無題
そうそう、撫子はなでこスネイクの後にも出てくるぞ。
確か、撫子との会話から始まったはず。
(あと、その2話くらい後にも電話で喋ってたかな?)


> あーうん、まぁあれだ言いにくいことなんだがセルリアンの話は
> 次回の吸血鬼エクル編で一旦終わらそうと思っていた人、夕雅!

「もう終わるかも?」とも思ってたがw
やっぱりそうだったか。
そう思ったなら止めた方がいいぞ。

「取っ付きやすく、マンネリ化しにくい」ってのは読者にとってのメリットで、書き手にプラスになる訳じゃないからな。
似たような物を書き続けても、書き手が得る物は薄い。
第一部完どころか完全終了にするべきかも知れん。
ただ、俺にとってはデトノベで一番好きな作品なので、終わるのは少し寂しい。
が、新たなる作品の誕生に期待する事もできるんだぜ。
桜井 2010/05/30(Sun)11:00:18 編集
セルリアン「これだから人間は」

千石撫子復活ッ!


千石撫子復活ッ!

まぁ単にセルリアンの話のネタが切れただけなんだが第一部完てのは
しかもちょうどいい感じに吸血鬼のエクルさんがセルリアンの昔の友達兼使用人というポジションなのでいままでの伏線を
全て回収して終了してもいいかなーと思ったわけ


まぁ別に終わらせないと別の作品が書けないわけじゃないのだが終わらすかな

ちなみに私の好きなデトノベは「美味しいラーメンの食べ方」だったりする、書いてて一番楽しかったってだけだがね
ゆうが 2010/05/30(Sun)19:36:19 編集
プロフィール
HN:
氷桜夕雅
性別:
非公開
職業:
昔は探偵やってました
趣味:
メイド考察
自己紹介:
ひおうゆうが と読むらしい

本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!

名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
ツクール更新メモ♪
http://xfs.jp/AStCz バージョン0.06
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