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日記と小説の合わせ技、ツンデレはあまり関係ない。 あと当ブログの作品の無断使用はお止めください
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「スターナイトストレイブスⅡ特別編 『対決スターナイトVSスターナイト』その1」


俺、新堂景一は旧校舎の廊下を歩いていた。手に持っているのはコンビニで買った駄菓子が
一杯入っている、面倒だが買って来いって言われたしな
旧校舎と言われるだけあってあちこち老朽化されているし電気なんて付いていない
学校では旧校舎には夜な夜な女学生がでてくるとか噂になっていて普通の人間ならこの
旧校舎には寄り付きもしない。
「ま、元凶を知ってたらなんてことはないんだけどな」
元凶は旧校舎三階の一番奥、3-Cクラスにいる。俺は黙ってその元凶がいるクラスの扉を開けた。
「おいこりゃ杉崎、頼まれたもん買ってきたぜ」
「おおおっ!待ってましたぁ!」
本来いるはずのない教室の窓際に座る少女、美しい長い髪が特徴的な杉崎利恵がぴょんと立ち上がる。
「いただきますぅー♪」
俺が手渡したコンビニの袋から駄菓子を取り出し楽しそうに食べだす杉崎。俺は呆れた調子のまま向かいの席に座った。
こいつ本当に余命3ヶ月の病人かよ。
着色料一杯の駄菓子を黙々と食べる杉崎を見て思う。
この教室、『時忘れの教室』では現代科学では理解できないかもしれないが時間の流れが止まっている・・・らしい。まぁ確かに腕時計を見ると秒針がぴったりと動かないところからしても本当なんだろう
「これこれ、この口の中でパチパチするのがたまらないのよね」
「はいはい、そうですか」
口を開けてパチパチ具合を見せる杉崎を適当にあしらう、病人なら病人らしくしてろって
大体時間が止まっているということは腹も減らないんだし食事も必要ないんだからな
「それで俺が呼ばれたってことはまた『物語』が現われたんだろ?」
「あ、うん・・・そうなんだ。」
俺の言葉に杉崎は食べるのを止めて小さく頷く。
杉崎利恵、彼女にはなんか知らないが特殊な能力がある。ただでさえ時間が止まっているとか訳わからない状況だが、まぁそこは慣れってもんだ・・・俺だって初めは全く理解できなかった
杉崎利恵の能力それは“ストーリーテラー”、生まれながらに病弱だった杉崎がずっと書き溜めていた“物語”を別次元で具現化させる能力。
俺には全然元気そうに見えるが杉崎は病弱故にその力を完全に制御できてはいない
別次元に具現化された“物語”は一見俺達には関係ないようにも思えるがそれは違う
“物語”に出てくる悪役と呼ばれる存在はただその役目を終えることに異を唱え、創造主である杉崎を狙いこの俺達の世界にまで次元の壁を超えてやってくるのだ
あるものは欲望のために、またあるものは自らの命のために
杉崎は自分の制御できない能力を止めるために新しい“物語”を書いた。

───それは全ての物語を終焉に導く騎士

「真星騎士団 上の刻」、主人公の名はスターナイト
そして俺はなぁんにも関係ないのに図書委員でたまたまその「真星騎士団 上の刻」に触れてしまいそのスターナイトとやらをやらされることになった哀れなピエロってことさ
「それで、今回はどんな“あらすじ”なんだよ」
「んーそれなんだけど忘れちゃった」
「おいおい、自分で書いた話だろうが」
「だって相当昔に書いた話なんだもん、忘れちゃうよ」
おどけてみせる杉崎に「またこれか」と溜息をついた。
正直言って面倒臭いことこの上ないんだよ
「まぁまぁ行ってみればわかると思うよ、もしかしたら途中で思い出すかもしれないし!」
そう言うと杉崎は俺の目の前に手を翳す
「お前今まで一度も思い出したことないだろ・・・」
適当に相槌をうって俺は杉崎の手に合わせるように自分の手を重ねる。
「ゆっくりしていってね!!」
「しねぇよ!!さっさとその“物語”終わらしてく・・・」
言葉を言い切る前に意識が遠のく、なんか嫌な気分だ・・・永遠にこの世界に戻れないような気がして、な

───意識が戻ったとき、俺はあの時忘れの教室とは全く違う世界にいた
「これがその“物語”・・・って、なんだ今度は珍しいな今の俺の世界と全く大して変わらないじゃないか」
辺りを見渡す、大体いつもはファンタジー世界っぽい話を杉崎は書くんだが
今回はどこもかしこも今の俺がいる世界と大差ないというかちょっと古臭いような
「おい、あんた!」
突然声を掛けられて思わず振り返った、そこにいたのは・・・ランドセルを背負った小学生?
「お前が僕の同級生に危害を加えた奴か!」
「は?なんだよいきなり・・・てか小学生がお前とか言うな!!」
最近の小学生ってなんだこれ、年上にこうゆう口の聞き方するのか?
「五月蝿い!お前からはこの世界の人間ではないなにかを感じる・・・先生が言ってた怪しいおじさん、お前がブラッディマジシャンの手下の残党だろっ!」
なにを言っているんだこいつ?大体俺がこの世界の人間ではないのは当然・・・そう言う前にそんなことも吹き飛ぶようなことが目の前で起きる
「変身ッ!!スターライトメタモルフォーゼ!!!」
「うっ!」
少年の体が掛け声とともに光り輝く、咄嗟に両腕でその光を遮るがそれよりも
(こいつ今スターライトメタモルフォーゼ、そう言った!)
それが気になって仕方なかった、それは俺がスターナイトに変身するときと同じ言葉じゃないか、てことは・・・
「おいこら杉崎!聞こえてるか!?」
咄嗟に俺は耳元に手を当てると時忘れの教室にいる杉崎利恵に呼びかける
『はいはーい、聞こえてるよ新堂君♪』
「なんなんだよ今度の“物語”は───」
暢気な声を杉崎に答えを取る前にその正体はその姿を光の中から現す。
光が収まる、そこに現れたのは先程の生意気な小学生ではなく真紅の鎧に包まれた騎士だった
「正義の使者、スターナイトここに見参!!」
「───面倒臭いことになりそうじゃないか!」
声を上げる真紅の騎士に負けることなく俺は叫びをあげる、そして胸ポケットから変身用の符を取り出す。
「驚くなよ小学生!世界には似た人間が3人はいるっていうがどうやらお前にも似た人間はここにいたみたいだぜ!」
「───なにっ!?」
「『星鎧』スターライトメタモルフォーゼ!!」
奴が叫んだ言葉とほぼ同じ台詞を唱える、その言葉に応じて手に持つ符は光輝き俺を包み込んでいく
「なっ・・・その言葉、どうゆうことなんだ!?」
どうなんだって言われてもなぁ、そいつは今頃駄菓子を貪っている創造主に聞いて欲しいぜ
「全てを終焉に導く者、スターナイト見参!!・・・って奴だな!」
「僕と同じスターナイトだって・・・!?」
光が収まるとともに現れた白銀の騎士にうろたえるもう一人のスターナイト、いやまぁ俺だってビックリしたぜこの展開は
『あー思い出したよ。彼は緒方涼くん、初代のスターナイト・・・といっても』
「初代のスターナイトか、てか耳元でバリバリ駄菓子食う音立てるのやめろ」
『あれ?聞こえてた?私麩菓子大好きなのっ、買ってきてくれてありがと新堂君』
「丸聞こえだ。それでこいつスターナイトってことは悪役じゃないよな」
『一応主人公、でも向こうからすれば新堂君は悪役みたいだけどね』
杉崎の言葉に初代の方を見ると確かに間違いなく敵意を持っているようだった
「プロミネンスドラゴン、そしてフリージングドラゴン!」
初代は右腕に炎を左腕に冷気を宿し構える。
「むこうは完全にやる気満々じゃないか」
『そりゃまぁ正義のメタルヒーローだからね、しかも面倒くさがりの新堂君と違って正義感たっぷりときたもんだ』
「・・・はいはい、文句の一つも言ってやりたいがちょっと今余裕ない、ぜ!」
杉崎との通信を切る。それとほぼ同時に俺の目の前を炎が掠めた
「スターナイトの偽者め!覚悟しろ!」
「ちぃ、お前とやり合うつもりはないって言っても無駄なんだろうな・・・」
乱暴に振り回す腕を交わし俺は地面を蹴り後方へと跳んで距離を離すと符を構える。
「ったく、とりあえず面倒だが一度ぶっ飛ばしてやるか!」
俺は符に力を込めて宙へと投げ放った!


                                                      つづく

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『14症候群』


ああ───なんて蒼い空なんだ。
最後の日、校舎の屋上でソラを見上げる。こんなに蒼いソラはあの戦いの日以来か
いや、その話は止めよう・・・話が長くなる。
「しかしこんな暑い日に外で運動とは大変なもんだな」
金網のフェンスから見える運動場では俺のクラスのやつらが走り回っていた
なんで俺は校舎の屋上でサボタージュってるかって?
そいつは俺こと北川真樹、真の名でいうと“影咲狼牙”に運動など必要ないからだ
別に体育が嫌いだとかそんなんじゃない、決してない
まぁこれはクラスの奴等には秘密だが俺がこの学校に来たのには目的がある・・・
「いつ見ても美しい」
クラスの凡人達の中に一目を惹く美しい女性が居る。背ほどある長く美しい髪に整った顔立ち、彼女の名前は東藤沙紀、俺が今守るべき者・・・組織では光の巫女と呼ばれている
本来なら組織が保護するべきなんだろうがあいにくと彼女はまだ力に目覚めてはいない、いきなり彼女を組織で保護したところ状況が飲み込めないだろうということでその力が目覚めるまで俺が監視することになったのだ
無論俺が組織の人間だっていうのは彼女には秘密だ、あまり近づくのもあれなんで一度たりとも喋ったりしていないが俺は常に彼女のことを気にしながら行動しているんだ
「やれやれ面倒な任務だぜ」
金網に凭れ掛かり天を仰いだ。
その時だった、普段開かない屋上への扉ががちゃりと重々しい音とともに開いた
普段開かないのは本来屋上への扉は鍵がかかっているからだ。俺?俺はそこの扉の鍵を用務員のおっさんのところからしばらく拝借しているから入れるんだ
「北川君!授業はどうしたの!?それに屋上へは立ち入り禁止だって言ったでしょう?」
妙に甲高い声で叫んだのはショートボブにやたらと胸元が開いた白いスーツ姿の女性、西田麻依・・・うちの担当でもあり───
「西田先生、いや・・・ノスフェル=ドクトル上層幹部、なんですかこんなところまで」
真の名で呼び合う、組織の人間の一人でもある。一応学校の中にはこうゆう風に協力者がいたりもする
その言葉にノスフェルはハッと気が付いたように
「学び舎でその名を呼ぶのは止めなさいといったはずです北川君」
「それでなにか御用ですか先生?」
「授業をサボって・・・いえ、そんなことはいいのです。組織に反乱分子がいることは以前にもお話しましたね?
彼ら───私達は彼らをアヴェンジャー呼称してますが彼らの行動が活発になってきています」
「知らねぇよ、そんないざこざは上層部のあんたらの仕事じゃないか。大体そんな奴等上層部なら他愛もないことだろうに」
ぶっきら棒に言葉を吐き捨てる、これ以上面倒事に巻き込まないでくれ
だがノスフェルは冷静に言葉を続ける
「その反乱分子アヴェンジャーの中にはSクラスの能力者がいます、と言ってもですか?」
「なっ、Sクラスだと・・・・っ!」
Sクラスというのは組織の中でも数人しかいない強力な力を持つ能力者のことだ、そんな中に裏切り者がいるっていうのか?
「Sクラスの能力者を止めることができるのは特Sクラスである貴方の力が必要なのです」
「おいおい・・・なんの冗談だ、俺はBクラスだぜ?」
「調べはついていますよ北川君、貴方はわざと自分の能力をBクラスに落して申告してますね。」
───やれやれ、気が付いてやがったか
俺は後ろ首を掻きながらノスフェルに背を向けグラウンドを見つめる。光の巫女は100m走のタイムキーパーをやっているようだ、やはり美しい
「で、どうするんだよ光の巫女は放っておくのかよ」
「それが厄介なことに彼等の目的はその光の巫女のようです、雑魚ならばAクラスの私でも対処できますが・・・・・聞いてますか?」
「聞いてるよノスフェル、Sクラスの能力者がでたら俺が対処するってことか。けど一体Sクラスの裏切り者は誰だ?」
Sクラスといったらあの戦いで前線に出てきた奴等だ、戦うとなったらこっちも本気を出さなくちゃならねぇ
「それを知る必要はありません、現れ次第速やかに排除お願いします。それでは私は職員会議がありますので」
そう言って戻っていくノスフェ・・・西田先生の方を振り向くことなく俺は深く溜息をついた
それとほぼ同じタイミングで授業の終わりを告げるチャイムが辺りに鳴り響いていた

反乱分子アヴェンジャーの動きがあったのは昼休みだった
各々がグループを組んで昼飯を楽しんでいる、そんな中俺は一人購買のパンを片手に教室からエスケープしようとしていた・・・・・・・・説明するまでもないが俺は別に一緒に食べる相手がいないというわけではない、元々一般人のクラスメイトと話があうわけがないのだ。もし話が合うとすれば光の巫女、東藤沙紀だけだ
が今彼女と接触するのはまずい
「えっ!なにこれぇ!!」
話がずれた、ようは突然変な声をあげた奴がいるんだよ。声を上げたのは東藤沙紀の友人のようだ、なにやらその手には便箋のようなものが握られている
「ねぇねぇこれ沙紀宛へのラブレターじゃないの?」
「ちょっと・・・声大きいって」
『ラブレター』・・・その言葉に俺の心臓が大きく波打った。いや、別にラブレターってところに反応したわけじゃなくて、なにか呪術式トラップじゃないと読んだからだ・・・・まさか奴等の仕業か!?
「これ読んじゃってもいいよね?沙紀」
「え、ダメだよ。送ってくれた人教室にいるかもしれないし」
「えー大丈夫だよ、あけちゃおー♪」
「あっ、ちょっとぉ!」
そういって東藤沙紀の友人はラブレターを開封しだす。くっ、本来ならば能力を使ってラブレターなんぞ破棄してやるんだがここは教室、皆に俺の能力を晒すわけにはいかない。俺に今できるのは教室の出入り口のところでヤキモキすることだけっ!!
「えーなになに『愛しの東藤沙紀さんへ』だってぇ、マジウケルんですけど」
「もうちょっと止めなって、書いた人が可哀想だって」
ちょっと笑いながらラブレターを読む友人を止めに入る光の巫女、しかし本当に止めて欲しいのか光の巫女
全然止める気ない感じじゃないか
「んーじゃまぁ最後だけ『どうか僕と付き合ってください、今日の夕方・・・』えーと場所が書いてあるね。やるねぇ沙紀ちゃん、でも名前書いてないねぇ」
「きっと恥ずかしいんだよ」
呪術式のトラップではなかったか。しかし俺が安堵の溜息をつこうとした矢先また沙紀の友人がとんでもないことを言い出した
「これを書いたの誰よー♪告るんならはっきり名前名乗りなさいよー♪」
その言葉にただでさえ煩いクラスが一層煩くなる。誰が書いたとかそんな低レベルなことで騒ぎ出すとはね
───やれやれ、暇なやつらだ
そりゃ光の巫女は美人だ、モテルだろう・・・少し気になるがラブレターを出した奴は哀れなものだ
彼女は光の巫女、一般人とは釣り合うわけがないのだ
相手にされない、相手にされない、相手にされない・・・・よし心の中で三回言ったんだ相手にされない、はずだ
「けど一体誰がラブレターなんて入れたんだろう?体育の前には入ってなかったのに」
不思議そうに首を傾げる沙紀にクラスメイトの一人が言う
「あれじゃね?体育の時間、北川がさぼってたじゃんよ、あいつが書いたんじゃね?」
「・・・・あ?」
クラス中の視線が俺に集中する───
「そういやラブレターが見つかったとき、真っ先に教室からでようとしてたもんな」
クラスメイトの一人がそんなことまで言い出してますます教室は盛り上がりを見せる。
だが、少なくとも書いたのは俺ではないのだ・・・そんなことをする勇気があるならとっくにやって、違う!
俺の存在を彼女には隠しておかなければならないからそんなことをするはずがないのだ
まして恋仲などありえません!!
「くっ、まさかアヴェンジャーの奴等・・・俺がみんなの前で能力を使えない事をいいことに攻撃を仕掛けてきたか。こうやって周りを洗脳し、俺に精神的攻撃を仕掛けてくるとはやるな」
誰にも聞こえないほどの小声で呟く、だが能力の使えないこの状況どう打開する?
「あー北川君かぁ、私はパスだなぁなんか変わってるし・・・沙紀はどうなのよ」
「え、そうだなぁでも私、北川君のこと全然知らないのよね」
『・・・だからこそ付き合ってみたいのよね』
そう俺には聞こえた、いや間違いなく聞こえた、聞こえてなかったとしても心の中でそうおもってたはずだ
だが許してくれ光の巫女よ、今は任務の身・・・その気持ちに答えれるのは───
「で、どうなんだよ北川!!」
クラスの不良のバカでかい声で意識が引き戻される、まったくいい迷惑だ
「どうもこうもない、僕は無関係だ」
「それはどうかな影咲狼牙」
「なにっ・・・?」
俺の言葉に反応するように教室の後ろのほうから声がする。
「君と光の巫女が無関係とは思えないね」
「南風章・・・っ!そのことは言っていけないはずだ!」
俺は叫ぶ。詰襟をきっちりしめた制服の男、南風章、真の名ガルファードは俺と同じ組織の一員だったはずだ・・・しかしなぜ光の巫女のことを言い出す?
「えっ?なに光の巫女って?」
「ククク、『なぜ光の巫女のことを本人に言う?』って顔だな」
困惑顔の沙紀に笑うのを堪えるかのように南風は続ける
「影咲狼牙は光の巫女の監視役としてこの学校に来ているんだよ、光の巫女の能力が目覚めるまで!」
「まさか南風、お前・・・!」
握った拳に力が入る。信じたくはないがここまで秘密にしたことをばらすってことは
「ガルファード、お前がアヴェンジャーになったSクラスの能力者なんだな」
「そうだ、狼牙・・・しかしいくら特Sクラスの貴様でもここで能力を使うわけにはいくまい!」
まさかガルファードが相手とはな、ガルファードはあの時の戦いのとき同じチームを組んで戦った仲間だ
強敵には間違いない、これはこっちも本気を出さなければやられるッ!
「そういえば沙紀、次の時間移動教室じゃなかった?」
「うん、音楽の時間だね。そろそろ行こう」
「あー次、音楽かー宿題あるんだよなぁ」
ガルファードとのにらみ合いが続く中クラスメイト達は口々に教室を出て行く、これから特SクラスとSクラスの戦いが始まるんだ教室から出るのは当然だ
それを見て俺はニヤリとほくそ笑んだ
「フッ、どうやら勝利の女神はこっちにあるようだぜガルファード」
「このガルファード、初めからこうなることは予測済みだ。アヴェンジャーの指示とはいえクラスメイトを人質に取るなどという卑怯なやり方は俺の流儀に反するのでな」
「あのときの戦いから変わってないな、ガルファード!」
「お前は変わりすぎたんだ狼牙、いくぞッ!!」
・・・二人の戦いは始まったばかりだ!!

                                                    おわり

氷桜夕雅先生の次回作にご期待ください!!


「反世間運動」


僕はこの図書館の管理者としての能力を与えられている、しかしこの天空にある巨大な図書館に“通常”誰かが来ることはない。
別に僕はどうとも思ってはいない
多分図書館と言う名がいけないんだと僕は思う、明確なことを言えばここは『知識の肥溜め』・・・下の人の記憶
を淡々と溜めておく場所、誰かが来るなんてことはないんだから
「そう寂しがっていると思って来てみた!!」
なにもないところから突如として声がした、別にこれはこの辺じゃ良くあることだから一々驚かないけど時々止めて欲しいとは思ったりもする。
図書館の受付に座る僕の目の前に光り輝く白い女性が現れる、最近よく来る“お客さん”だ
女性と称したのはお客さんだからであって正直なところ見た目は小さな子供に過ぎない
「別に僕は寂しがってなんていませんよ、ここに座って管理するのが僕の存在意義ですから」
「聞いて!聞いて!最近私のことを糞神だとか糞神とか糞神とか糞神とか言う人が一杯いるの!」
「同じこと言われたなら一回で良いですよ、とりあえず糞神って言われたんですね」
「うん!!」
白く輝く少女は大きく頷く
「だから“さようなら”したの!」
「はいはい、それは凄いですね」
何も書かれていない貸出票をペラペラ捲りながら適当に相槌を打っておく、まともに相手するのは面倒だ
「それでね、それでね、なんか最近みんな『えきょろじゅー』ってのにはまってるの」
最近覚えた言葉だな、まだ言葉がしっかりと形成されてないのがその証拠だ
「『エコロジー』ってやつですね、最近文献を読みました。いいんじゃないですか大海に砂糖を撒く行為、嫌いじゃないですよ」
「なんでなんで?欲望に忠実のほうがましだよ、個々の存在が幸福であるのが一番でしょ?自分の居ない未来のためになにかする必要があるの?」
「したいからやってるんでしょう?」
僕の言葉に少女は首を横に振る
「みんなが周りが言ってるからやってるだけ、本当は自己の欲求を満たすだけ『えきょろじゅー』したよ、って言いたいだけ」
「『エコロジー』ですって。けど別にいいじゃないですかやりたいようにやらせれば・・・なにをそこまで固執するんですか?」
「偽善だから、未来のために未来のために言ってるだけで本当は今の自分の保身でしかない」
少女は両手をブンブン振りながら続ける
「『えきょかー』ってなに?そんな車をつくるくらいなら車に乗らなければ良いのに」
「そりゃまぁ移動手段として便利ですからね車って奴は、乗らないってわけにはいかないでしょ」
「『みゃい箸』って一緒に食べる人に『僕はえきょろじゅーだよ』って誇示しているだけ、あんた一人分の割り箸がなくなったところでなんにも世界は変わらないってーの!」
「随分と狭いところを言いますね、でも小さいことからコツコツとが性分な方々ですからいいんじゃないですか」
「今更そんなんじゃ間に合わないっていうの!!!えきょとかそう言えばモテるとでも思ってるんじゃないの?地球のこと考えてる?地球のこと考えてる?募金の何パーセントが本当に寄付されていると思ってる?何パーセント?100パーセントじゃないの?本当に貧しい人は救われてるの?ねぇねぇ?」
「ああ、貴女がそこまで事細かに下の人間のことを考えているとは思いませんでしたよ、そもそも救われているかどうかは貴女が一番知ってることでしょうに」
僕は降参とばかりにオーバーに両手を上げて答える
「でも今更なんなんですか?今に始まったことではないでしょう、その愚行」
「んー私も『えきょろじゅー』しようと思ったから、ちゃんと『えきょろじゅー』してない人を消したら一番の『えきょろじゅー』だよね」
「まぁ確かに」
「『えきょろじゅー』やってる感を出してる人なんかも消したらいいよね、目障りだもんね」
「それは知りませんよ、別に僕は見てませんから」
「見てるとムカムカするよー、後でやっぱり消しとけばよかったーとか思うよ?」
「なんだったら全部“さようなら”しちゃえばいいじゃないですか、貴女なら造作もないことでしょ?」
その言葉にピクリと少女を動きを止める。そして今までとは打って変わった冷たい口調で呟いた
「───そうしたら貴方の仕事がなくなるでしょ?そうしたら貴方も消さなきゃいけなくなる」
「ああ───そりゃそうだな」
僕は納得して頷き、そして溜息混じりに天を仰いだ

「最初で最後の邂逅 その2」

※この話はフィクションです、実際の人物、建物、名称とはなんら関係ありません

「・・・・・・・・。」

なん、だ・・・?
気が付いたら俺の視界の端に白い光のようなものが見えた。
それはゆっくりと俺の視界の左から右へゆっくりと動いていく、建物と比べると小さな子供ほどの大きさだ。
白い光は揺らめきながら俺の視界の丁度真ん中でその動きを止め、じわりと形作るように変化しだした
「・・・・・・・・・。」
なんだよ!と叫ぼうとしたが気が付いたら声も出なくなっている。
白い光は髪の長い女性───いや大きさ的に背丈は小学生くらいか───の形を作り出していた。


「・・・・・・・。」

髪の長い少女はクビを傾げて『さよなら』と言った

正確には声は聞こえてない、少女の口の動きがそう見えただけだ

───瞬間

俺の視界はテレビを消すようにぷつりと真っ黒になり、その意識も深淵なる闇に飲まれた



「はい、カットぉ!!」
監督の声がスタジオ内に響く、その声を聞いて俺はゆっくりとその場から起き上がった。
「いやぁ良かったよ、国枝くん!!さすが期待の新星って呼ばれてるだけあるね!」
「ありがとうございます」
真っ先に駆け寄ってきた監督を適当にあしらいながら服についた埃を払う。
うざいんだよこの監督、洗ってない犬のにおいがするんだよ・・・
大体この俺、国枝実の初主演作がこいつのドラマだってのも腹立たしい。なんなんだよ、リストラされたティッシュ配りが死ぬなんて話、『現代のマッチ売りの少女』だよ!!なんて言ってたがこれのなにが面白いんだ?
自業自得ってやつだろ?それに生まれが悪いのも実力のうちってな
まぁ仕方ない、くせー野郎だがこれでも一応監督としては大御所だからな
「あ、国枝さんおつかれさまです!」
そう言ってタオルを片手に駆け寄ってきたのはメイク係の相坂、俺の今のターゲットだ。
メイク係にしては可愛い過ぎる、プロポーションも最高だ。
うざったい監督を無視して相坂からタオルを受け取るとゆっくりと歩き出す。
「相坂さんは今日も可愛いね」
「もうっ、国枝さんはいろんな人にそんなこと言ってるんですよね」
「そんなことないさ・・・ああ、そうそう」
俺は相坂に顔を近づけるとポケットから一枚の折りたたまれた紙を取り彼女の前に差し出す
「く、国枝さん顔が近いですよ・・・ってこれなんですか?」
「今夜11時ここに書いてある店に来て欲しいんだ。」
紙にはこの辺に住んでいる人間なら誰でも知っている高級バーの名前と住所が書かれている。
「あの私こんなお高いところに・・・」
「少し相談したいことがあるんだ、最近僕も色々と悩み事が多くてねダメかい?」
「いえそんなことはないです!」
顔を赤らめ頷く相坂を見て内心ほくそ笑む、単純な女だ・・・これは俺の手に落ちるのも時間の問題だな
「そうか、よかったよ・・・それじゃ僕は次の仕事があるんでお願いね」
「は、はい!おつかれさまでした」
相坂の長い髪をさりげなく撫でてオレはその場を後にした。

「すいません、取材は控えてもらいますか!!」
マネージャーの川島が叫ぶ。撮影スタジオを出た俺はマスコミに囲まれていた。
うざったいなこいつら、これじゃ車に乗るまで何分かかるんだよ
「国枝さん!いまだに婚約者の高杉遼子さんが行方不明ですが今の心境は!」
ゴミの一人がそう言ってオレにマイクを向ける。ほっとけ、その玩具はとうに壊れちまったよ!!
・・・そう、俺の婚約者であった高杉遼子という人物はもうこの世にはいない。
国民的人気アイドルってことで俺の出世の足がかりになるとおもって婚約したがあいつは俺が渡した
“気持ちよくなる薬”ってのを
『あなたが覚醒剤を使うような人だとは思いませんでした!このことは警察に話します、婚約の話も無しにしてください!!』
なんて言って糞な正義感を出すからな、あんまりうざいんで俺の薬仲間にくれてやったんだ。
そうしたらあいつらも手加減ってのを知らないからな、クスリ漬けにして仲間内で輪姦した挙句
「すいません国枝さん、あいつ死んじゃいました」
だ・と・さ!困ったもんだぜ、俺の親父が警察の上層部にいるんで手を回してもらって今は行方不明ってことになってるがこの人の粗を探して飯食ってるハイエナどもがいつ真相を暴くかわかんねぇ
そうなりゃ俺の役者人生も終わりだぜ?
「国枝さん、一言お願いします!!」
ゴミどもが集まってくる。あああ、面倒くさいな・・・だがこれも利用するのが役者ってもんかな
「すいません、今警察の人にも探してもらっているんですが・・・本当に無事に遼子には帰ってきて欲しいです」
涙でぐしゃぐしゃにした顔を見せるとゴミどもはピタリとその動きを止める、ちょろいもんだぜ
「すいません、本当にすいません!!次の仕事がありますんで!!」
マネージャーの川島が車への道を開き、なんとか車に乗り込む。まぁしかしこれで明日の一面記事はもらったな
川島も車に乗り込むと乱暴にクラクションを鳴らしゴミどもを散らし車を発進させる
「なんなんですかね、人の不幸を」
「まぁこんなにマスコミに追われるようになるってことは俺も出世したってことだろ」
「そういやネットの掲示板でも滅茶苦茶書かれてますよ」
そういって川島は自分の携帯を差し出す。
「まったく、なんだよ国枝実スレ、パート192って暇人だな・・・って!おい」
携帯の画面に目をやるとそこでは一人の“自称神”とかいうやつがやらかしくてくれていた

566 自称神 2010/02/24(水) 19:08:25.76 ID:Zd8OiaJO
『行方不明になった高杉遼子は国枝実が殺したようなもんだぜ』
・・・・ほう、言ってくれるな
765 自称神 2010/02/24(水) 19:38:42.11 ID:Zd8OiaJO
『クスリの売人に輪姦されて今頃海の底、らしいぜ?』
こいつ、どこまで知ってるんだよ・・・それを知っているのは俺と売人仲間、それと警察の上層部だけのはず
誰がこの情報を漏らしているんだ、うざいな

「おい、川島・・・これどうやって書きこむんだ?」
「え?知らないんですか下のほうにありますよ」
言われるがままに携帯をいじると確かに書き込めるようになっている
・・・なにが神だ、ふざけやがって!!
マスコミよりも下、興味本位だけで動くやつらのなにが神だ。お前らがやれるのは所詮ネット上、下位世界での神だけだ
そんな奴等が俺みたいな勝ち組の足を引っ張ってるんじゃねぇ!!
俺は手早く携帯のボタンをイジってコメントを書き込んだ


「死ねよ、糞神」


・・・お前らは所詮そこで吠えるしかない負け犬ども、そんな奴の中の神などまさに糞だ
「さぁてどんな反応を示すかな?」
「なに書きこんだんですか国枝さん?」
「そいつは秘密だ」
更新ボタンを押す・・・

そこに現れた文字は

899 NONAME 2010/02/24(水) 20:18:55.16 ID:ec2Olil0
『死ねよ、糞神』

900 NONAME 2010/02/24(水) 20:18:56.11 ID:???
『本日20:20 国枝実を殺します^-^ノ』

・・・・は?なんだこれは、俺を殺すだって?

ふざけるんじゃ───

そこまで口にして突如として俺の意識は落ちた。


「・・・・・んっ?」
ゆっくりと目を開ける、俺は車の後部座席に座ったまま何も変わっていない
───いや、おかしい
車は止まっていた、俺の乗っている車だけでなく周りの車までもまるで等間隔のように並んで止まってしまっている。別に赤信号でもなんでもない道路で 足並みを揃えたように止まる車に俺はなにかを感じ取っていた
「おい、川島!なに停まってるんだよ!」
・・・と、言おうとしたが声がでない。当の川島はハンドルに突っ伏して反応がない。
まじかよ、体もどんなけ力を入れても動かないしこの状況ってあれじゃないか
あの犬臭い監督の作った話と一緒じゃないか!!
そう思った矢先、視界の左端に白い光が見えた。
ゆっくりとその光は俺の視界の真ん中にやってくる
・・・・やめろ、冗談だろ?このままじゃ俺は死ぬって言うのか?
光はゆっくりと髪の長い少女の形を作り出していく、はは・・・そこまで一緒かよ
大体あの話で死ぬのはクズ中のクズ、あんなのはいいんだよいくら死んだってよ!
だが、だがだがだが!!俺は違うだろ?クズは死んでもいいが俺はこんなところで死ぬわけにはいかねぇんだ

───やめろ、やめろ、やめろ!!

声が出ない以上白い光の少女に向って念じるしかない、だがそんなこと無意味かのように少女は近づき

「───神は“さよなら”なんて言わない」

はっきりと俺の耳にはそう聞こえ・・・・・・俺の意識はプツリと闇へ堕ちた



HAPPY END


『最初で最後の邂逅』


「〇〇です、よろしくおねがいします」

雪冷えのする駅前の大通りで俺はティッシュを配っていた。
正月も明けまだ二、三日と経っていない。
やる気などあるはずもない、ただただ黙々とティッシュを配る。

「〇〇です、よろしくおねがいします」

ティッシュを抱える腕も配る腕も寒さで悴んでいる、声もろくに出てはいない
(ちっ、どいつもこいつも受けとらねぇ)
配り始めて早一時間、思ったよりもその減りは少ない、これじゃ終わるのは夕方過ぎか

「〇〇です、よろしくおねがいします」

寒いからだ、ポケットに手を入れ足早に俺の目の前を沢山の人が通り過ぎていく。
あいつらには行き場所がある、だが俺はこの糞みたいなティッシュの山を片付けなければ家には帰れない。

「〇〇です・・・」

カップルが手を繋ぎ楽しそうに話しながら目の前を通っていく。
(なんだって・・・・こんなときに)
カップル、見たことがあるカップル。いや正確には男のほうだけだが
・・・中学校のときの同級生のSだ、間違いない
「・・・でさー」
「ったくお前は・・・」
気が付いたら俺は遠ざかっていくカップルの背中をティッシュを構えたままじっと睨んでいた。
笑ってない、思えばあいつらみたいに俺が笑ってたのはいつの日だ?

・・・そしてこの差はなんだ?

俺はもう30歳だ、去年リストラにさえあってなければ今こんなティッシュ配りのバイトをすることにはならなかった。
こんなティッシュ配りなんて寒い中突っ立ってやる仕事、高校生、大学生あたりのバイトだろうが

(・・・いい歳してあんな仕事しかないのね)
(老け顔に渡されてももらわねーよ)

ティッシュを受け取らない奴らがそんな風に言っているかのように俺の顔を見て通り過ぎていく
言っている・・・じゃない、間違いなく言ってるんだ

「・・・・・・・・・・。」

自転車に空き缶を山ほど積み歩く男が通り過ぎていく。笑えない、俺だってほっときゃ何れあんな感じだ。
一日中空き缶拾って数百円の収入で人から蔑まれる人生・・・いずれ親が死に俺が一人になれば起こりうる未来・・・。
どこから俺の人生はこんなことになった?
少なくとも中学生のときはあの目の前を通り過ぎたSなんかよりも俺は上だったはずだ。
それがどこでどう違ってこんなことになっている?


俺がなにをした?


俺のなにが悪い?


オレハナニモワルクナイ

悪いのはすべて俺以外のなにかのせいだ
大学にも行けないような貧乏な家に生まれたのは俺のせいじゃない
塾にだって家が貧乏じゃなければ行けたんだ
塾にさえ行っていれば俺だって学年一位くらいとれたさ
大学だって入れてれば就職だってあの俺をリストラした糞会社みたいな所じゃなくていいところに行けた筈だ
就職だってリストラされたのは俺のせいじゃない、下手糞な経営している社長どものせいで俺がリストラされたんだ
それにあのときあの女が俺のことを振ってなれば今頃結婚して・・・子供ができてシアワセナセイカツガ

ドレモコレモオレノセイジャナイ、オレハワルクナイ

俺がなにをした?

俺のなにが悪い?

なんデ俺ダけがこんナ目にアう?ワルイノハカミカ?

神様が俺の運命をこんな不幸に決めているのか?
そうカンガエタラ無性に腹が立ってきた
親も、あの女も、糞社長も、世間もみんな神さ・・・カミが仕向けたんだ、俺を不幸にするために
今だってそうだ、カップルを、リア充なSを俺に見せて楽しんでやがるンだカみは


「死ねよ、糞神!!!!」


そう大声で叫んだ途端、俺の意識はガクリと落ちた








「・・・・・・・?」
どれくらい時間が経っているのだろうか?気が付いたら俺は地面に突っ伏していた。
なんだ突然意識が落ちたぞ、やばいな過労か?
「ふざけるな、マッチ売りの少女じゃねぇんだ・・・こんなところで死ぬかよ」
立ち上がろうとするが全身の力が入らない、手に持っていたはずのティッシュもそこら中に散らばっている。
「ティッシュ拾わねぇと」
だがいくらやっても体は起き上がらない、力をいくら込めてもピクリもしない
「あ・・・・なんだ?」
必死に体を起そうとして俺はあることに気が付いた、倒れているのは俺だけじゃないことに。
首が動かないので見える範囲でしかないが歩いている人全てが倒れていた。
Sの奴も彼女と一緒に手を繋いだまま地面に倒れこんでいる
いや・・・止まっていると表現すれば見える範囲の車もぴたりと等間隔にその場から動いていない
ここに信号なんかないはずだ、なにが起こっている?

「・・・・・・・・。」

なん、だ・・・?
気が付いたら俺の視界の端に白い光のようなものが見えた。
それはゆっくりと俺の視界の左から右へゆっくりと動いていく、建物と比べると小さな子供ほどの大きさだ。
白い光は揺らめきながら俺の視界の丁度真ん中でその動きを止め、じわりと形作るように変化しだした
「・・・・・・・・・。」
なんだよ!と叫ぼうとしたが気が付いたら声も出なくなっている。
白い光は髪の長い女性───いや大きさ的に背丈は小学生くらいか───の形を作り出していた。




「・・・・・・・。」



髪の長い少女はクビを傾げて『さよなら』と言った

正確には声は聞こえてない、少女の口の動きがそう見えただけだ

───瞬間

俺の視界はテレビを消すようにぷつりと真っ黒になり、その意識も深淵なる闇に飲まれた





SAD END
プロフィール
HN:
氷桜夕雅
性別:
非公開
職業:
昔は探偵やってました
趣味:
メイド考察
自己紹介:
ひおうゆうが と読むらしい

本名が妙に字画が悪いので字画の良い名前にしようとおもった結果がこのちょっと痛い名前だよ!!

名古屋市在住、どこにでもいるメイドスキー♪
ツクール更新メモ♪
http://xfs.jp/AStCz バージョン0.06
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